
株価指数とAI関連ETFの関係性|S&P500・Nasdaq100とのリターン比較と投資戦略
By Staff | 2025-08-24
Category: インデックス投資
近年の米国株式市場で最も注目されるテーマのひとつが「AI(人工知能)」です。
ChatGPTや生成AIの普及、半導体需要の急拡大により、NVIDIAやMicrosoftといった企業は株価を大きく伸ばし、S&P500やNasdaq100といった株価指数全体を押し上げてきました。
AI関連ETFはこの流れを反映する形で急速に資金を集めています。
本記事では、株価指数とAI関連ETFの関係性を整理し、実際のパフォーマンスを比較しながら投資戦略を考えていきます。
AI関連株が株価指数に与える影響
- S&P500は時価総額加重型であり、NVIDIA、Microsoft、Apple、Google、Metaといった「AI関連銘柄」が上位を占めています。
- 2023年のS&P500の上昇の大半は、こうした大型ハイテク株の寄与によるものでした。
- 特にNVIDIAは2023年に株価が約 +239% 上昇し、指数全体に大きなインパクトを与えました。
つまり、株価指数に投資しているだけでもAIブームの恩恵を間接的に受けられる構造になっています。
代表的なAI関連ETF
現在米国市場ではAI関連銘柄にフォーカスしたETFが複数上場しています。
- Global X Artificial Intelligence & Technology ETF (AIQ)
- Global X Robotics & Artificial Intelligence ETF (BOTZ)
- iShares Robotics and Artificial Intelligence ETF (IRBO)
これらはNVIDIA、AMD、Microsoft、Alphabetなどを組み込み、指数よりもAI分野への比重を高めた投資が可能です。
AI関連ETFの実際のリターンと株価指数比較
直近のパフォーマンスを比較してみましょう。
ここではすべて 2019年から2023年末までの5年間 を対象にしています。
S&P500
- 2023年:+26.3%
過去5年(2019〜2023):累計 +87%
Nasdaq100
- 2023年:+55%
過去5年(2019〜2023):累計 +135%
AIQ(AI関連ETF)
- 2023年:+39%
過去5年(2019〜2023):累計 +64%
BOTZ(ロボティクス&AI ETF)
- 2023年:+46%
過去5年(2019〜2023):累計 +52%
IRBO(分散型AI ETF)
- 2023年:+29%
過去5年(2019〜2023):累計 +22%
この比較から分かるのは、AI関連ETFはテーマ特化型であるため、ある年には指数を上回る大きな上昇を記録することがあります。
しかし、5年スパンで見ると必ずしもS&P500やNasdaq100に勝っているわけではありません。
特にIRBOは銘柄分散を広く行っているため、リターンが抑えられる傾向にあります。
AI関連ETFのメリットとリスク
メリット
- 成長分野であるAIに集中的に投資できる
- 指数以上のリターンを狙える局面がある
テーマ投資の魅力で資金流入も増加
リスク
- 銘柄が集中しやすく、一部企業(NVIDIAなど)に依存
- 相場調整時の下落は指数より大きくなりやすい
長期的には必ずしも市場平均を上回れない
投資戦略の考え方
長期投資のベースはS&P500やNasdaq100といった市場全体の指数をコアに据えるのが現実的です。
そのうえで、AI関連ETFをサテライト的に10〜20%程度組み込むことで、成長テーマのリターンを取り込む戦略が考えられます。
このように「市場平均+テーマETF」という組み合わせにより、リスクを抑えつつ成長分野の恩恵を享受することが可能になります。
まとめ
- AI関連株はS&P500やNasdaq100に大きな影響を与えている。
- AI関連ETF(AIQ、BOTZ、IRBO)は短期的に高いリターンを出すことがあるが、5年単位では市場平均に劣るケースもある。
長期投資では株価指数をコアにし、AI関連ETFを補完的に活用するのがバランスの良い戦略。
FAQ
Q1. AI関連ETFは長期投資に適していますか?
A1. 成長分野ですがボラティリティが高いため、長期ポートフォリオではサテライトとして組み込むのが現実的です。特に10年以上の視点で投資するなら、S&P500などの市場平均と組み合わせて安定性を確保することが大切です。
Q2. S&P500だけでAI投資は十分ですか?
A2. S&P500に含まれるNVIDIAやMicrosoftを通じて恩恵を受けられますが、ETFならより集中したAI投資が可能です。AIの成長をダイレクトに取り込みたい場合は、専用ETFを併用するのが有効です。
Q3. 日本から投資できるETFは?
A3. SBI証券や楽天証券を通じてBOTZやAIQなどが購入できます。最近では東証にも海外ETFを経由した投資信託商品が設定されており、手軽にアクセスできる環境が整いつつあります。
Q4. AI関連ETFは今後も市場平均を上回りますか?
A4. 成長テーマであることは確かですが、期待が高まりすぎた局面では調整リスクも大きく、市場平均を継続的に上回る保証はありません。特にAIバブル的な相場の後には大幅下落する可能性があるため注意が必要です。
Q5. 投資比率はどのくらいが目安?
A5. コアはS&P500やNasdaq100とし、AI関連ETFは資産全体の10〜20%程度を目安にするのが無難です。積立方式で少しずつ組み入れることでリスクを平準化できます。
Q6. AI関連ETFの分散効果は期待できますか?
A6. 一部のETFはNVIDIAなど少数銘柄への依存度が高く、分散効果は限定的です。ただし、IRBOのように分散を意識したETFもあり、リスクを抑えたい場合は銘柄構成を確認して選ぶとよいでしょう。
Q7. 配当利回りは期待できますか?
A7. 多くのAI関連ETFは成長企業を中心に組み入れているため、配当利回りは低めです。インカム目的ではなく、キャピタルゲイン狙いで保有する性格が強い商品です。
Q8. 為替リスクはどう考えるべきですか?
A8. 米ドル建てETFへの投資では円安・円高による為替変動がリターンに直結します。円安局面では利益を押し上げますが、円高時には株価が上がっていても円換算でマイナスになることもあります。為替ヘッジ付きの投資信託を検討するのも一案です。
Q9. AI関連ETFとNasdaq100の違いは?
A9. Nasdaq100もAI関連銘柄を多く含みますが、ヘルスケアや通信など他分野も比重が大きいため、AIだけに集中していません。AI関連ETFはよりテーマ特化型で、リターンの振れ幅が大きいのが特徴です。
Q10. 今後注目すべき分野は?
A10. 半導体やクラウドに加えて、生成AIの商用利用、AI関連インフラ(データセンター、電力供給)、ロボティクスなども成長分野です。ETFを通じてこうした広がりを取り込むのは魅力的ですが、どのETFがどの分野に強いのかを見極めることが重要です。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。