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クリスマスラリー(サンタクロースラリー)の過去実績と株価指数の傾向

By Staff | 2025-08-25

Category: インデックス投資

米国株式市場には「クリスマスラリー(サンタクロースラリー)」と呼ばれる有名なアノマリーがあります。

 

これは 12月の最終5営業日と翌年の最初の2営業日、合計7営業日にかけて株価が上昇しやすい傾向のことを指します。

 

この現象は「年末ラリー」と混同されることもありますが、年末ラリーが11月末から12月全体の強さを指すのに対し、クリスマスラリーはより限定的な日程での上昇を意味します。

 


 

サンタクロースラリーの起源と注目点

 

この言葉を広めたのは、米国の投資家向け年鑑「ストック・トレーダーズ・アルマナック」を刊行したイェール・ハーシュ氏です。

 

彼は1960年代にこの現象を紹介し、以降多くの投資家に注目されるようになりました。

 

市場関係者の間では次のような要因が背景にあると考えられています。

 

  • 年末に向けた税金対策の売りが一巡し、買い戻しが入る
  • 機関投資家の取引が減り、個人投資家主体の買いが株価を押し上げる
  • 新年に向けた楽観的な投資心理
  • 年末年始の資金流入やボーナス投資

 


 

過去の統計と株価指数の動き

 

過去のデータでは、サンタクロースラリーは比較的高い確率で発生しています。

 

  • 1969年以降のデータによると、S&P500はサンタクロースラリー期間において 約70%以上の確率で上昇
  • 平均リターンは +1.3〜+1.5%程度 とされており、わずか7営業日という短さを考えると注目に値します。
  • 小型株のラッセル2000やテクノロジー株が多いNasdaq100は、この期間にさらに強い上昇を示す年が多い傾向があります。

 


 

過去の具体的な事例

 

1991年末〜1992年初頭


湾岸戦争後の回復期待から、S&P500はサンタクロースラリー期間に +3.6% の上昇。典型的な成功例でした。

 

2008年末(リーマンショック後)


金融危機の影響で市場全体が低迷していた中でも、サンタクロースラリー期間は小幅ながらプラスで終えました。

 

市場心理を改善させる小さな光となりました。

 

2018年末〜2019年初頭


12月全体はFRBの利上げ懸念で −9.2% と急落しましたが、サンタクロースラリー期間は反発し、翌2019年は +28% という強気相場に転じました。

 

ラリーが翌年の相場を示唆する、と言われる典型例です。

 

2020年末〜2021年初頭


コロナ後の回復とワクチン期待を背景に、S&P500はラリー期間に +1.3% 上昇、Nasdaq100も +2.6% と堅調な動きでした。

 


 

サンタクロースラリーと翌年相場の関係

 

ストック・トレーダーズ・アルマナックでは「If Santa Claus should fail to call, bears may come to Broad and Wall(サンタクロースが来なければ、弱気相場がやってくるかもしれない)」という有名な言葉があります。

 

これは、もしサンタクロースラリーが発生しない場合、翌年の相場が軟調になる確率が高いとする経験則です。

 

実際に、ラリー不発の翌年は平均より低いリターンに終わるケースも確認されています。

 


 

インデックスごとの特徴

 

  • S&P500:全体的に最も安定してサンタクロースラリーが見られる指数。
  • Nasdaq100:テクノロジー株の比率が高く、特に強い上昇を見せることが多い。
  • ダウ平均:比較的堅実な動きだが、年末の調整を和らげる効果あり。
  • ラッセル2000:小型株の流動性から、サンタクロースラリーで大きく動きやすい。

 


 

投資戦略の考え方

 

サンタクロースラリーを短期で狙う投資家もいますが、必ずしも毎年発生するわけではありません。

 

投資戦略としては次のように考えるのが現実的です。

 

  • 季節性を参考にしつつも、長期投資の一部として自然に取り込む
  • ラリー不発でも狼狽せず、積立や分散を続ける
  • 翌年相場の兆しとして参考にする程度に留める
  • 小型株や成長株ETFを一部組み入れるのは一案

 


 

長期投資家にとっての位置づけ

 

サンタクロースラリーは統計的に有意な現象ですが、あくまで短期的なアノマリーにすぎません。

 

長期の資産形成を考える際には、それ自体を戦略の柱にする必要はなく、あくまで市場を理解するための補足的な知識と考えるのが賢明です。

 


 

まとめ

 

  • サンタクロースラリーは 12月最終5営業日+翌年最初の2営業日 に株価が上がりやすい現象
  • S&P500では過去70%以上の確率で上昇、平均リターンは +1.3〜+1.5%
  • 翌年相場の先行指標とされることもあるが、必ず当たるわけではない
  • 長期投資では過度に意識せず、話題として参考にする程度で十分

 


 

FAQ

 

Q1. サンタクロースラリーと年末ラリーの違いは?


A. 年末ラリーは12月全体の強さを指し、サンタクロースラリーは12月末から年初の7営業日に限定されます。

 

Q2. 毎年必ず起こるのですか?


A. 約70%の確率で発生していますが、必ずではありません。

 

Q3. 翌年の相場と関係はありますか?


A. 不発の年は翌年のリターンが低めになる傾向がありますが、絶対的な予兆ではありません。

 

Q4. どの指数で特に効果が強いですか?


A. 小型株指数ラッセル2000やNasdaq100で強い傾向が出ることが多いです。

 

Q5. 長期投資家はどの程度意識すべきですか?


A. 投資戦略を変える必要はなく、知識として把握しておけば十分です。

 

Tags: インデックス投資
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。