
DVYの配当実績と投資判断:メリット・デメリットと長期投資での活用法
By Staff | 2025-09-11
Category: 配当成長投資
米国株の高配当ETFには数多くの選択肢がありますが、その中でも長い運用実績を持つのが「DVY(iShares Select Dividend ETF)」です。
2003年の設定以来20年以上にわたり運用されており、配当実績やトータルリターンの観点から一定の評価を得てきました。
本記事ではDVYの配当実績、パフォーマンス、構成銘柄やセクター別のリスクを整理し、投資判断の参考になる情報を解説します。
DVYの基本情報
DVYはブラックロックのiSharesシリーズに属し、ベンチマークとしてDow Jones U.S. Select Dividend Indexを採用しています。
構成銘柄は約100社と、幅広く分散されているもののセクターごとの比重は特徴的です。
- 設定年:2003年11月
- 銘柄数:約100
- 経費率:0.38%(やや高め)
- 分配頻度:四半期ごと
- 直近利回り(12カ月トレーリング):約3.6%
- 過去20年以上の配当支払い実績
長期にわたる配当実績は安心感を与えますが、経費率が他の高配当ETF(VYMやSCHDなど)と比較して高い点は注意が必要です。
配当実績の特徴
DVYは2003年の設定以来、四半期ごとの分配を継続してきました。
リーマンショックやコロナショックといった相場急変時には一時的に減配したものの、その後は回復して安定的に配当を維持しています。
配当利回りは概ね3〜4%台で推移しており、安定したインカムゲインを狙いやすいETFです。
増配率の面ではSCHDにやや劣りますが、「安定配当重視」の投資スタイルには適しています。
過去のパフォーマンス
DVYの魅力は配当だけではなく、トータルリターンにおいても一定の成果を残している点です。
2025年8月末時点の年率換算リターンは以下の通りです。
- 1年:+10.0%
- 3年:+9.8%
- 5年:+15.0%
- 10年:+10.7%
- 設定来(2003年〜):+8.6%
また、カレンダーイヤーごとの実績を見ると市場環境の影響がはっきり現れています。
2020年は-4.9%とマイナスでしたが、翌2021年には+31.6%と大幅に反発。
2022年は+1.9%、2023年は+1.1%と低調でしたが、2024年には+16.2%と持ち直しました。
短期的には景気循環に左右されやすい一方、長期的にはリターンを積み重ねていることが確認できます。
セクター別のリスクと構成銘柄
DVYの大きな特徴は、セクター別の偏りにあります。
2025年9月時点での構成比率は以下の通りです。
- 金融:26.5%
- 公益:24.5%
- 生活必需品:11.1%
- 一般消費財:7.2%
- 素材:6.5%
- 通信:5.8%
- エネルギー:5.8%
- ヘルスケア:5.1%
- IT:4.8%
- 工業:2.2%
金融と公益の合計で50%以上を占めるため、金利環境や規制の影響を受けやすい点には注意が必要です。
主要構成銘柄としては、アルトリア・グループ、フォード、ベライゾン、エジソン・インターナショナル、ファイザー、シーゲイト・テクノロジー、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドなどが挙げられます。
いずれも配当実績のある企業ですが、景気や金利動向によって株価の変動リスクも伴います。
DVYのメリット
- 長期にわたり安定した配当を継続している
- 利回り3〜4%台で安定的にインカムゲインを得やすい
- ディフェンシブなセクター比率が多く、景気後退局面に強み
- 米国市場で20年以上の実績がある老舗ETF
DVYのデメリット
- 経費率0.38%は他の高配当ETFより高め
- セクター偏重が大きく、金融・公益の動向に依存しやすい
- 配当成長率は限定的で、トータルリターンではS&P500やSCHDに劣る場合がある
- 分散効果はあるが、構成銘柄数は100前後と限定的
投資判断とまとめ
DVYは「長期配当実績」と「安定的な利回り」を重視する投資家にとって魅力的な選択肢となります。
セクター偏重や経費率の高さといった課題はあるものの、20年以上にわたり安定した配当を積み重ねてきた実績は大きな強みです。
成長性や配当の増加ペースを求める場合にはSCHDやVYMが適していますが、安定感を重視するならDVYは依然として有力なETFです。
ポートフォリオ全体で役割を明確に位置づけることで、バランスの取れた投資戦略に活用できるでしょう。
FAQ
Q1. DVYの配当はどのくらいの頻度で支払われますか?
DVYは四半期ごとに分配金を支払っています。年4回の配当を受け取れるため、安定したキャッシュフローを期待できます。
Q2. DVYはNISA口座で保有するメリットはありますか?
NISAでは日本の課税が免除されますが、米国で源泉徴収される10%は差し引かれます。そのため完全な非課税ではありませんが、特定口座で保有するよりは有利になるケースが多いです。
Q3. DVYとVYMやSCHDの違いは何ですか?
DVYは歴史の長い高配当ETFで安定配当を重視していますが、経費率が高くセクター偏重があります。VYMは分散性が高く低コスト、SCHDは増配実績を持つ銘柄中心で成長性が強みです。
Q4. DVYは長期投資に適していますか?
安定した利回りを求める投資には適しています。ただし、成長や高いトータルリターンを求める場合は他ETFとの併用を検討するとよいでしょう。
Q5. DVYのリスク要因は何ですか?
最大のリスクはセクター集中です。金融と公益に大きく依存しているため、金利動向や規制リスクがリターンに影響を与える可能性があります。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。