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DVY vs DGRO:成長重視か高配当重視か、最新リターンで徹底比較

By Staff | 2025-09-12

Category: 配当成長投資

米国株ETFの中で「配当」を軸にした投資先は数多く存在します。

 

そのなかでも、iShares Select Dividend ETF(DVY)とiShares Core Dividend Growth ETF(DGRO)は、方向性が対照的な2本です。

 

DVYは高利回りを前面に出した設計で、DGROは増配の継続性に焦点を当てています。

 

投資家にとっては「今の配当収入を重視するのか」「将来の成長を見据えるのか」という選択が問われるETFともいえるでしょう。

 


 

DVYの特徴:高配当重視

 

DVYは2003年に設定された歴史あるETFで、ダウ・ジョーンズU.S.セレクト・ディビデンド・インデックスをベンチマークにしています。

 

構成銘柄は約100社と比較的コンパクトで、経費率は0.38%。その分、利回りは直近で4.5〜5%程度と高水準を維持しています。

 

2025年9月時点の上位銘柄には以下のような企業が並びます。

 

  • Altria Group(生活必需品)
  • Ford Motor(自動車)
  • Verizon Communications(通信)
  • Edison International(公益)
  • Pfizer(ヘルスケア)

 

セクター構成は金融26%、公益24%、生活必需品11%と、高配当セクターに偏重。

 

景気や金利の影響を受けやすい一方で、インカム重視には向いた設計といえます。

 


 

DGROの特徴:配当成長に注目

 

DGROは2014年に設定されたETFで、モーニングスター米国配当成長指数に連動します。

 

構成銘柄は400社以上と分散度が高く、経費率は0.08%と低コスト。

 

投資基準は「5年以上の連続増配」と「健全な配当性向」で、持続的な配当成長に焦点を当てています。

 

上位銘柄にはBroadcom、Johnson & Johnson、JPMorgan Chase、Apple、Exxon Mobilなど米国を代表する企業が並びます。

 

セクター比率は金融20%、情報技術19%、ヘルスケア17%と、成長性と安定性を兼ね備えた構成となっています。

 

利回りは2.3〜2.5%程度ですが、増配効果でトータルリターンを狙うタイプのETFです。

 


 

利回りとトータルリターンの比較

 

両ETFのリターンを実際の数字で比較すると違いが鮮明になります。

 

  • DVYの直近1年リターンは14.17%、3年平均で8.24%、5年平均で14.57%、10年平均で9.69%。設定来(2003年〜2025年)では年率8.37%程度の成績を残しています。累積では投資開始から470%以上のリターンを記録しています。

 

  • DGROは直近1年で10.11%、3年平均13.81%、5年平均12.80%、10年平均13.08%。設定来(2014年〜2025年)では年率11.7%前後と、DVYを上回る長期成長力を示しています。累積リターンも232%以上と、増配企業への分散投資の効果が現れています。

 

配当利回りではDVYが優位ですが、トータルリターンではDGROが優れた結果を示しており、「安定配当を重視するか、資産の複利成長を重視するか」で選び方が変わってきます。

 


 

投資スタイルに応じた選択

 

DVYは「今すぐ安定した配当を受け取りたい」という層に向いています。

 

退職後の生活資金や定期的なキャッシュフローを求めるケースに適しています。


DGROは「時間を味方にして配当を増やし、資産を成長させたい」長期投資家に向きます。

 

特に若年層や長期的に積み立てを行う層にとっては、将来の配当収入が拡大する魅力があります。

 


 

日本から投資する際の留意点

 

DVYもDGROもSBI証券や楽天証券といった主要ネット証券で購入可能です。

 

配当金には米国課税10%がかかり、日本国内でも課税されるため二重課税が生じます。

 

ただし確定申告で外国税額控除を利用すれば、米国で源泉徴収された10%の一部または全額を取り戻せる場合があります。


また為替リスクも重要です。円安時はドル建て配当の価値が高まりますが、円高局面では逆に利回り感が薄れます。

 

為替の影響を考慮した資産配分が必要です。

 


 

まとめ

 

DVYは高利回り重視、DGROは配当成長重視と明確な違いがあります。

 

直近の数字を見ても、DVYは高い分配金を支払う一方で成長率はやや控えめ、DGROは利回りが低い分、長期リターンで優位という構図です。

 

どちらを選ぶかは「今の配当」か「将来の成長」か、投資目的次第といえるでしょう。

 


 

FAQ

 

Q1. DVYとDGROを両方持つ意味はありますか?


→ 高配当と増配の両面を取り入れることで、短期の収入と長期の成長を同時に狙えます。

 

Q2. DGROは利回りが低いのに長期投資向きなのはなぜですか?


→ 増配を続ける企業群を中心に構成されているため、時間とともに受取配当が大きく膨らむ可能性があるからです。

 

Q3. DVYの分配金は安定していますか?


→ 高配当セクターに偏っているため、景気後退時には減配リスクがDGROより高い点には注意が必要です。

 

Q4. 日本で購入する際に注意すべき点は?


→ 為替リスクと外国税額控除の活用が重要です。

 

 

Tags: 配当株
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。