
ETF市場の成長率と今後の見通し|投資家が押さえるべきポイント
By Staff | 2025-09-05
Category: インデックス投資
ETF(上場投資信託)は、ここ20〜30年の間に急速に普及した金融商品のひとつです。
個別株と同じように市場で売買でき、同時に投資信託のように分散投資の恩恵も受けられるという「いいとこ取り」の仕組みが、多くの投資家から支持されてきました。
現在では米国市場を中心に、世界中で巨大な市場へと成長しています。
本記事ではETF市場の成長の歴史を振り返りつつ、今後の展望についても解説します。
ETF市場の成長率の歴史
ETFは1993年に米国で最初の「SPDR S&P500 ETF(通称SPY)」が上場されたことから始まりました。
その後、2000年代にはインデックス投資の普及とともに市場が拡大し、2010年代には低コスト競争や資産形成ブームの追い風を受けて急成長しました。
2020年代に入ると、個人投資家だけでなく機関投資家の資産運用にも広く活用され、ETFはグローバル金融市場に欠かせない存在となっています。
世界と米国におけるETF市場の現状
現在、世界のETF市場規模は数十兆ドルに達しており、その半分以上を米国市場が占めています。
米国ではS&P500やNASDAQに連動するETFが圧倒的に人気を集め、資産形成の王道商品となっています。
また、ETFの対象は株式だけにとどまりません。
- 債券ETF
- 不動産投資信託(REIT)ETF
- コモディティ(原油・金など)ETF
- セクターやテーマ別ETF
このように、投資対象の多様化が進み、投資家は自分の戦略に合わせて柔軟にポートフォリオを組めるようになっています。
成長を支える要因
ETF市場の成長にはいくつかの理由があります。
- 低コスト:信託報酬がアクティブファンドに比べて圧倒的に低い
- 透明性:指数に連動するため、運用内容がシンプルでわかりやすい
- 分散効果:1本で数百銘柄に分散でき、個別リスクを軽減
- 流動性:市場で株式のように自由に売買できる利便性
- 制度面の後押し:NISAやiDeCoといった制度拡充による需要増加
これらの特徴が、ETFを長期投資の中心的な手段として定着させました。
今後の見通し:ETF市場はどうなるか
ETF市場は今後も成長が見込まれていますが、その中身は変化していくと考えられます。
さらに拡大が予想される分野
- ESGやサステナブル投資:環境・社会・ガバナンスを重視するETF
- テーマ型ETF:AIやクリーンエネルギーなど成長分野に特化した商品
- 債券ETFや新興国ETF:分散の幅を広げるニーズの高まり
競争の激化
運用会社同士の競争により、信託報酬の引き下げは今後も続くと予想されます。
大手運用会社のシェア争いも一層激しくなるでしょう。
制度面の追い風
NISA制度の拡充や米国の退職年金制度におけるETF利用の広がりが、さらなる市場成長を支えると考えられます。
潜在的リスク
- テーマ型ETFの乱立と淘汰
- 流動性リスクや市場急変時の価格乖離
- 投資家が短期的な値動きに振り回されるリスク
投資家にとっての実践的示唆
ETF市場の拡大はチャンスである一方、商品選びの重要性も増しています。
- 核心部分には「広範に分散された低コストETF」を据える
- テーマ型や新興市場ETFはサテライト投資として利用する
- 長期的な資産形成を意識し、日々の価格変動に過剰に反応しない
- 為替リスクは完全には避けられないが、通貨を分散することでむしろ安定性を高められる
こうした基本姿勢を持つことで、ETF市場の成長を味方につけることができます。
まとめ
ETFは1990年代の誕生から数十年で世界規模へと成長しました。その背景には低コスト・分散・透明性といった強みがあり、今後も市場の拡大が見込まれます。
ただし、投資家にとって大切なのは「流行のETFを追いかける」ことではなく、長期的に安定したリターンを得られる商品を中心に据えることです。
ETF市場の成長とともに、多様な商品が登場する今だからこそ、冷静な選択が求められます。
FAQ よくある質問
Q1. ETFと投資信託の違いは何ですか?
ETFは株式と同じように市場でリアルタイムに売買できる点が特徴です。一方、投資信託は1日1回の基準価額で取引されます。コストや流動性を重視するならETF、積立の利便性を重視するなら投資信託、といった使い分けが可能です。
Q2. ETFは誰でも簡単に買えますか?
証券口座を持っていれば、株式と同じように取引できます。米国ETFを購入する場合でも、国内のネット証券を通じて円で注文が可能です。NISA口座を利用すれば、非課税メリットも得られます。
Q3. 成長が見込まれるテーマ型ETFは投資すべきですか?
AIやクリーンエネルギーなど魅力的な分野のETFは注目を集めやすいですが、値動きが激しくリスクも高い傾向があります。資産の中心には広範に分散されたETFを置き、テーマ型はサテライトとして少額で利用するのが現実的です。
Q4. ETFにはどのようなリスクがありますか?
市場急変時に流動性が低下し、理論価格と実際の取引価格に差が出ることがあります。また、テーマ特化型は特定セクターに依存するため、分散効果が薄い点に注意が必要です。長期投資の軸にするなら、時価総額加重型の大型ETFが無難です。
Q5. 為替リスクはどの程度考慮すべきですか?
米国ETFを円で購入する以上、為替の影響は避けられません。ただし、自国通貨だけを持ち続けることもまたリスクです。長期的には為替の変動を完全に予測するのは不可能なので、資産の一部を外貨建てにすることで通貨の分散を図るのが賢明です。
Q6. 今後ETF市場はどのくらい拡大すると考えられますか?
世界の資産運用業界では、アクティブ運用からパッシブ運用へのシフトが進んでいます。特に米国では、ETFの純資産残高が従来型投資信託を逆転するのも時間の問題といわれています。今後も長期的な成長が期待される分野です。
Q7. 初心者が最初に選ぶべきETFはどのようなものですか?
広範な市場に連動する低コストETFが基本です。代表的なのはS&P500に連動するETFや、全米株式・全世界株式に連動するETFです。こうした商品は分散性が高く、長期投資の「土台」として適しています。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。