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配当ETFとインデックスETFの併用戦略|安定収入と成長を両立する投資法

By Staff | 2025-09-12

Category: 配当成長投資

米国株に投資する際、「配当ETF」と「インデックスETF」はどちらも人気の高い選択肢です。

 

しかし、それぞれの特徴を理解せずに一方に偏ると、リターンや安定性に課題が生じることがあります。

 

配当ETFは安定収入が魅力であり、インデックスETFは長期成長の取り込みに優れています。

 

本記事では両者の違いを整理し、併用することでどのような効果が得られるのかを掘り下げます。

 


 

配当ETFとインデックスETFの違い

 

配当ETFは、株主への還元姿勢が強い企業を中心に組み入れており、定期的に配当を受け取れる点が大きな特徴です。

 

SPYDやHDVは分配利回りが3〜5%程度、QYLDやJEPIといった戦略型は7〜10%を超えることもあります。

 

安定収入を重視する人には魅力的ですが、株価成長が控えめな点には注意が必要です。

 

一方、インデックスETFは市場全体の動きを捉えることを目的としています。

 

VOO(S&P500連動)やVTI(米国全体)は代表例で、過去10年間のS&P500の年平均リターンは約10〜11%に達しています。

 

配当は1〜2%程度と控えめですが、株価上昇を取り込みやすく、長期的な資産形成に適しています。

 


 

一方に偏るリスク

 

配当ETFだけに集中すると、インカムは得やすいものの、株価上昇の恩恵を十分に享受できず、インフレに負ける可能性があります。

 

例えばQYLDは直近の利回りが約11%と高水準ですが、長期トータルリターンは年率7〜8%程度にとどまり、NASDAQ100指数の成長には大きく劣後しています。

 

逆にインデックスETFだけだと、資産は増えても定期的な収入がなく、退職後に取り崩しを行う際に相場下落と重なるリスクがあります。

 

市場平均を取り込む力は魅力的ですが、キャッシュフローを得たい投資家にとっては物足りない部分もあるのです。

 


 

併用するメリット

 

両者を組み合わせることで、弱点を補完し合うことができます。

 

  • 相場が上昇しているときは、インデックスETFが成長をけん引。
  • 相場が停滞しているときは、配当ETFが定期収入を生み出し、心理的な安心感を提供。
  • 配当はドルで入るため為替分散にもつながり、資産全体の安定性を高める。

 

例えばVYMは利回り約3%を確保しつつ、過去10年で年率約11%のリターンを実現しています。

 

VOOの成長性と合わせれば、収入と成長を両立させやすくなります。

 


 

投資ライフステージ別の戦略

 

投資目的やライフステージによって、配当ETFとインデックスETFの比率は変わってきます。

 

  • 若年層や積立期


    株価成長を最大限に取り込みたい時期なので、VOOやVTIのようなインデックスETFを中心にしつつ、VYMやHDVを少し組み入れて配当再投資を行うのが効果的です。

 

  • 中堅層や資産形成の後半


    インデックスETFと配当ETFを半々に近づけ、成長と収入のバランスを取ります。JEPIのような安定配当型を一部加えるのも選択肢です。

 

  • 退職前後や資産活用期


    定期的な収入が重要になるため、配当ETFを増やし、インデックスETFや債券ETFの比率を下げます。ただしQYLDのような高利回り型を中心に据えるのではなく、VYMやHDVといったバランス型をベースにした方が現実的です。

 


 

実際のデータ比較

 

具体的な数字で違いを確認してみましょう。

 

以下はすべて「トータルリターン(配当再投資込み)」を基準とした参考値です。

 

  • S&P500(VOO):過去10年の平均年率リターンは約10〜11%。株価成長が中心ですが、配当利回り1.5%前後を含めた数値です。
  • VYM:過去10年の平均年率リターンは約11%。株価上昇と配当再投資の両方を含んだ数字で、直近の配当利回りは3%前後。
  • QYLD:過去10年の平均年率リターンは約7〜8%。株価は横ばい傾向ですが、直近の配当利回り10%超がリターンの大部分を占めています。
  • JEPI:2020年の設定以来、年率換算で約9%のトータルリターンを記録。分配金利回りは6〜7%で、残りは株価部分のリターンによるものです。

 

このように、VOOやVYMは「株価上昇+適度な配当」でリターンを構成しているのに対し、QYLDやJEPIは「高い分配金」がリターンの大部分を占めるという違いがあります。

 

トータルリターンで比較すると、「配当ETF=インカム中心」「インデックスETF=成長中心」という性質の差がより鮮明に浮かび上がります。

 


 

税制と効率性

 

配当ETFは課税インパクトが大きく、米国で10%課税されたうえで日本でも課税されます。

 

確定申告で外国税額控除を利用すれば、米国課税分の一部または全額を取り戻せる場合があります。

 

NISA口座を利用すれば国内課税を非課税化でき、効率的に配当を受け取れます。

 

一方でインデックスETFは配当が少なく、成長による含み益が中心になるため課税繰り延べ効果を得やすいという強みがあります。

 

両者をうまく組み合わせれば、課税面でもメリットを享受できます。

 


 

まとめ

 

配当ETFは安定収入を、インデックスETFは長期成長をもたらす存在です。

 

どちらかに偏るのではなく、投資目的やライフステージに応じて併用することで、より安定的かつ持続可能な資産運用が実現できます。

 

配当で心理的安心を得ながら、市場全体の成長も取り込む「二刀流戦略」が、長期投資を成功に導く鍵となります。

 

 

Tags: 配当株
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。