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HDVの構成銘柄とセクター別リスクを徹底解説|安定配当ETFの実態

By Staff | 2025-09-11

Category: 配当成長投資

HDV(iShares Core High Dividend ETF)は、ブラックロックが運用する高配当株ETFです。

 

2011年に設定され、ベンチマークは「Morningstar Dividend Yield Focus Index」。

 

単に利回りの高い銘柄を集めるのではなく、財務の健全性をスクリーニング基準に加えている点が特徴です。

 

経費率は0.08%と低コストで、長期保有に適した商品として多くの投資家に利用されています。

 


 

最新のパフォーマンス

 

2025年8月末時点での平均年率リターンは以下のようになっています。

 

  • 1年:+7.8%
  • 3年:+11.1%
  • 5年:+11.8%
  • 10年:+9.6%
  • 設定来(2011年〜):+10.2%

 

過去数年のカレンダーイヤーごとの成績を見ると、2020年は-6.5%と落ち込みましたが、翌2021年には+19.4%と大幅に反発しました。

 

2022年は+7.1%、2023年は+1.8%、2024年は+14.2%と推移しており、市場環境の影響を受けやすい一方で、長期的には着実にリターンを積み重ねていることが確認できます。

 


 

HDVの構成銘柄

 

2025年9月時点の上位組入銘柄は以下の通りです。

 

  • エクソンモービル(XOM):8.6%
  • ジョンソン&ジョンソン(JNJ):6.8%
  • アッヴィ(ABBV):6.1%
  • シェブロン(CVX):5.8%
  • ホームデポ(HD):4.9%
  • メルク(MRK):4.2%
  • AT&T(T):4.0%
  • ペプシコ(PEP):3.9%
  • アルトリア(MO):3.6%
  • フィリップ・モリス(PM):3.6%

 

上位10社で全体の50%弱を占めており、分散度合いはVYMなどのETFに比べて限定的です。

 

大企業中心とはいえ、一部銘柄やセクターへの依存はリスク要因になります。

 


 

セクター構成とリスク

 

HDVのセクター構成はディフェンシブ色が強く、2025年9月時点での比率は以下の通りです。

 

  • ヘルスケア:23.3%
  • エネルギー:21.7%
  • 生活必需品:18.9%
  • 公益:8.9%
  • 情報技術:8.2%
  • 一般消費財:5.7%
  • 金融:5.5%
  • 通信:4.0%
  • 工業:2.4%
  • 素材:1.3%

 

ヘルスケア、エネルギー、生活必需品の3セクターで全体の60%以上を占めており、景気変動への強さと同時に集中リスクを抱えています。

 

  • ヘルスケアは需要が安定している反面、薬価規制や訴訟リスクにさらされる可能性がある。
  • エネルギーは原油価格の変動に大きく左右され、収益のブレが激しい。
  • 生活必需品は安定配当を維持しやすいが、高い成長性は期待しにくい。

 

テクノロジー比率はS&P500に比べて低いため、長期的な市場成長の恩恵を十分に取り込めないという弱点も存在します。

 


 

HDVのメリット

 

HDVの強みは「守りの高配当ETF」としての位置づけにあります。

 

  • 財務健全性を重視した銘柄選定により、減配リスクが相対的に低い
  • エネルギー・生活必需品・ヘルスケア中心の構成でディフェンシブ性が高い
  • 経費率0.08%と低コストで、配当利回りは約3.2〜3.3%
  • 株価の変動リスクは市場全体より小さく、β値は0.67と低水準

 

安定的に配当収入を得たい人にとって、有力な選択肢のひとつと言えるでしょう。

 


 

HDVのデメリット

 

一方でデメリットもあります。

 

  • 銘柄数は75と少なく、分散効果は限定的
  • 上位銘柄の比重が高く、特定企業の業績に左右されやすい
  • エネルギー依存度が高く、原油価格の急落時には基準価額や分配金が打撃を受けやすい
  • テクノロジー比率が低いため、長期的な成長分野を取り込みにくい

 

配当の安定性を求めるには適しているものの、キャピタルゲインを狙う投資には不向きです。

 


 

他ETFとの比較

 

  • VYM:580銘柄以上で分散性が高い。配当利回りはHDVより低めだが、安定した成長性を期待できる。
  • SCHD:配当成長率に優れ、長期投資家に人気。銘柄数は少ないが、財務と増配実績で選別。
  • SPYD:高利回りが魅力だが、セクターリスクや減配リスクが大きい。
  • HDV:守りに強いが、成長性ではやや劣る。

 

投資目的に応じて複数のETFを組み合わせるのも有効です。

 


 

まとめ

 

HDVは「安定的な配当」と「守りの強さ」を備えた高配当ETFです。

 

ヘルスケア、エネルギー、生活必需品を中心に構成され、ディフェンシブ性を重視する投資家に向いています。

 

ただし、セクター偏重や銘柄集中といったリスクもあるため、長期的に資産形成を目指すなら、VYMやSCHDとの組み合わせで補完する戦略が現実的でしょう。

 

 


 

FAQ

 

Q1. HDVの配当利回りはどのくらいですか?


直近の分配利回りはおおむね3.2〜3.3%程度です。市場環境や為替レートによって変動しますが、長期的に安定したインカムを期待できる水準にあります。

 

Q2. HDVの配当はどのくらいの頻度で支払われますか?


HDVの分配金は四半期ごとに支払われます。3月・6月・9月・12月に支払いが行われるため、定期的に配当収入を受け取りたい投資家に適しています。

 

Q3. HDVはどのように銘柄を選んでいますか?


HDVは「Morningstar Dividend Yield Focus Index」をベンチマークとしており、配当利回りが高く、かつ財務健全性の基準をクリアした銘柄だけを組み入れます。この点がSPYDなどのシンプルな高配当ETFと大きく異なる特徴です。

 

Q4. HDVのセクター偏重はどんなリスクがありますか?


ヘルスケア、エネルギー、生活必需品の3セクターで6割以上を占めています。ディフェンシブ性が高い一方、原油価格の急落や薬価規制など、特定セクターのリスクがETF全体に影響を及ぼしやすい構造になっています。

 

Q5. HDVの長期リターンはどの程度ですか?


2025年8月末時点の年率換算リターンは10年で+9.6%、設定来(2011年〜)で+10.2%となっています。S&P500にはやや劣後しますが、安定した配当収入を加味すれば堅実な成績といえます。

 

Q6. HDVはNISA口座で保有すると有利ですか?


NISA口座では日本での課税(約20%)が免除されますが、米国源泉徴収税10%は差し引かれます。特定口座で保有する場合でも、確定申告で外国税額控除を利用すれば、課税の一部を取り戻すことが可能です。

 

Q7. HDVは長期の資産形成に適していますか?


配当の安定性を重視する投資戦略には向いています。ただし、セクター集中度が高く成長株比率が低いため、長期での資産拡大を目指すならVYMやS&P500連動ETFと組み合わせるのが望ましいでしょう。

 

 

Tags: 配当株
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。