
暴落時でもインデックス投資を続けるべき理由【長期投資の視点】
By Staff | 2025-08-12
Category: インデックス投資
株式市場の暴落は、投資家にとって大きな精神的試練です。
ニュースやSNSでは悲観的な情報が連日流れ、「もう投資をやめて現金で持っておいた方が安心だ」と感じる瞬間も少なくありません。
しかし、過去の歴史を振り返れば分かる通り、暴落時にインデックス投資を継続することは、長期的な資産形成において極めて重要な戦略です。
一時的な下落は避けられないものの、その後の回復と成長の波に乗ることで、大きなリターンを享受できるのです。
暴落は株式市場の自然なサイクル
株式市場は過去何度も暴落を経験してきました。
- 2000年 ITバブル崩壊:S&P500は約49%下落。回復までに約7年を要しました。
- 2008年 リーマンショック:S&P500は約50%下落。しかし2013年には金融危機前の水準を完全に回復しました。
- 2020年 コロナショック:S&P500はわずか1か月で約30%下落。しかし2020年8月にはすでに暴落前の水準を超えて回復。
このように、暴落は「必ず起こる」ものですが、「必ず回復してきた」というのも歴史が示す事実です。
暴落時に投資をやめることのリスク
暴落の局面で慌てて売却すると、安値で資産を手放すことになります。
さらに深刻なのは、その後の急回復を逃してしまうリスクです。
米国の調査によれば、過去20年間(2003〜2022年)で最も上昇した10日間を逃すだけで、年平均リターンは約9.8%から約5.6%に低下するとされています。
つまり、たった数日の上昇を逃すだけで、投資成果は大きく変わってしまうのです。
投資の成否を分けるのは「市場を予測すること」ではなく、**市場に居続けること(Time in Market)**であることを忘れてはいけません。
暴落時こそ積立のチャンス
暴落は恐怖でしかないように見えますが、長期の積立投資家にとってはチャンスでもあります。
- 株価が安くなることで、同じ金額でより多くの口数を購入できる
- ドルコスト平均法により取得単価を引き下げられる
- 将来の回復局面で大きなリターンを得られる
実際に、2020年のコロナショックで積立を続けた投資家は、その後の2020年4月〜2021年末までの約90%の上昇を享受できました。
逆に暴落時に積立を止めた人は、安値で仕込む最大のチャンスを逃したことになります。
長期投資の視点で見る暴落
投資期間が10年、20年とある場合、暴落は長い投資人生の中での一時的な谷に過ぎません。
例えば、S&P500の過去50年(1973〜2023年)の年平均リターンは約10%です。
この間にはオイルショック、ブラックマンデー、ITバブル、リーマンショック、コロナショックといった数々の大暴落がありました。
それでも長期で見れば市場は成長を続けており、指数は大きく右肩上がりのチャートを描いてきました。
複利効果は「売らないこと」で最大化されます。
暴落時に投資をやめてしまうと、この複利の雪だるま効果が止まってしまうのです。
暴落に備えるためのメンタルと戦略
暴落を乗り越えるには、事前の準備と心構えが欠かせません。
- リスク許容度の見直し:暴落時でも耐えられる資産配分を決めておく
- 資産の分散:株式だけでなく債券や現金を組み合わせて変動を抑える
- 情報に振り回されない:暴落局面では過剰にニュースやSNSを追わない
これらの準備をしておけば、暴落が来ても冷静に投資を継続できます。
FAQ(よくある質問)
Q1. 暴落はどのくらいの頻度で起こりますか?
A. 過去の統計によれば、S&P500は平均して**2年に1回程度は10%以上の下落(調整局面)**を経験しています。さらに、20%以上の下落(ベアマーケット)はおよそ7〜10年に一度のペースで発生してきました。つまり「暴落は例外ではなく日常的に起こる現象」と考える方が現実的です。
Q2. 暴落はどのくらいで回復するのですか?
A. 下落幅や経済環境によって異なります。
- 2008年のリーマンショックでは、株価が元の水準に戻るまで約5年かかりました。
- 2020年のコロナショックでは、わずか5か月で回復しました。
- 2000年のITバブル崩壊の時は、回復に約7年を要しました。
つまり、短期では先が読めませんが、長期で見れば市場は常に回復してきたという事実があります。
Q3. 暴落時には買い増しした方がいいですか?
A. 余裕資金があるなら、買い増しは長期的に有効です。暴落局面では株価が割安になっているため、将来のリターンを押し上げる可能性があります。ただし「生活費まで投資に回さない」「焦って一括投資しない」ことが大切で、通常の積立に加えて少しずつ追加投資するのが現実的です。
Q4. 暴落を予測することはできないのですか?
A. プロの投資家や機関投資家であっても、暴落のタイミングを正確に予測することはできません。実際、数々のリサーチでは「市場のタイミングを計ろうとした投資家は、ただ持ち続けた投資家より成績が悪い」ことが示されています。したがって、暴落を避けようとするよりも「暴落に耐えられるポートフォリオを組む」方が賢明です。
Q5. 暴落が来ると毎回ニュースが「今回は違う」と言いますが本当ですか?
A. 確かにリーマンショックやコロナショックのとき、専門家やメディアは「これまでとは違う」と繰り返しました。しかし、結果的にはどちらも市場は回復しました。理由や背景は毎回異なりますが、「市場は常に回復してきた」という点は共通しており、長期投資の視点からは一貫した歴史的事実です。
Q6. 暴落時に現金で持っていた方が安全では?
A. 短期的には安全に見えますが、長期的にはインフレによって購買力が下がるリスクがあります。例えば、過去40年間で米ドルの購買力は約60%以上低下しています。現金だけで資産を守るのは不十分であり、株式や債券と組み合わせて長期的な成長を狙うことが重要です。
Q7. 暴落時に心が折れそうになったらどうすればいいですか?
A. 一番の対策は「長期チャートを見る」ことです。過去100年のS&P500チャートを見ると、大恐慌もリーマンも小さな谷にしか見えません。また、あらかじめ投資ルール(積立額、売却しない期間など)を決めておき、自動積立にして感情を排除することも有効です。
Q8. 日本株や新興国株でも同じ考え方が通用しますか?
A. 日本株はバブル崩壊後のように30年以上高値を更新できないケースもありました。一方、米国株は人口増加・企業成長・イノベーションの継続によって回復力が非常に高いのが特徴です。新興国株はボラティリティが大きいため、米国株を中心に据えながら分散投資をするのが一般的に推奨されます。
Q9. 暴落後の回復に乗るための具体的な行動は?
A. - 積立投資を継続する
- 暴落時に資産配分を崩さずリバランスする
- 感情的な売買を避ける
これらを守ることで、暴落後の回復局面で大きなリターンを享受できます。
まとめ
暴落は投資家にとって避けられないイベントですが、長期的な資産形成の妨げになるのは「暴落そのもの」ではなく、「暴落時の誤った行動」です。
過去の歴史が示す通り、売らずに持ち続け、むしろ安値を活用して積立を続けることが、リターンの最大化につながります。
市場が荒れるときこそ、冷静さと一貫性が求められます。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。