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米国インデックス投資でかかる税金まとめ|投資家が知るべき仕組みと節税方法

By Staff | 2025-08-17

Category: インデックス投資

米国インデックス投資は、投資家にとって分散投資や長期資産形成における強力な手段です。

 

S&P500やNASDAQ100といった米国の主要株価指数に連動するETFや投資信託は、多くの人が利用しています。

 

しかし、配当金や売却益にかかる税制は日米両国が関わるため、正しい知識を持っておくことが不可欠です。

 


 

日本居住者の米国投資に適用される税制

 

日本に住んでいる投資家が米国株やETFを保有する場合、日本の税制に基づいた課税が基本となります。

 

加えて、米国側でも一定の課税が発生するため、二重課税となるケースがあります。

 

この二重課税を調整する仕組みが「外国税額控除」です。

 

つまり、日本で生活する投資家が米国資産に投資するときは、両国のルールが複雑に絡み合うことになります。

 


 

配当金にかかる税金の仕組み

 

米国籍ETFや米国株を保有している場合、最初に米国で**源泉徴収税10%**が差し引かれます。

 

本来は30%ですが、日米租税条約によって10%に軽減されています。

 

その後、日本国内で所得税15.315%と住民税5%が課税され、合計で20.315%となります。したがって、実際に受け取れる配当金は額面よりもかなり減ります。

 

たとえば100ドルの配当が支払われた場合、米国で10ドルが差し引かれ、残り90ドルが日本側の課税対象となります。

 

日本でさらに約18ドルほど課税されるため、最終的に投資家が手にするのはおよそ72ドルとなります。

 

このように二重の課税があるため、配当投資を重視する人にとっては重要な確認ポイントとなります。

 


 

売却益(キャピタルゲイン)にかかる税金

 

一方で、売却益については米国側では課税されません。

 

非居住者扱いとなるため、米国でのキャピタルゲイン課税は免除されるのです。

 

しかし日本国内では、売却益に対して**20.315%(所得税+住民税)**が課税されます。

 

たとえばVOOを100万円で購入し、120万円で売却した場合、その差額20万円に課税される計算です。

 


 

外国税額控除の活用

 

配当金にかかる二重課税を緩和するためには、確定申告で「外国税額控除」を利用することができます。

 

これにより、米国で課税された分を日本の税金から差し引くことが可能になります。

 

ただし、全額控除できるとは限らず、所得金額や税額のバランスによっては一部のみ控除となる場合があります。

 

また、特定口座(源泉徴収あり)を利用している人は通常申告不要ですが、控除を受けるためには確定申告を行う必要がある点に注意が必要です。

 


 

NISAや新NISAを使った場合

 

2024年から始まった新NISAは、米国ETF投資にも強力なメリットをもたらします。

 

NISA口座であれば、日本国内課税分(20.315%)が非課税となるため、売却益も配当も大幅に有利になります。

 

ただし、米国での源泉徴収10%は避けられません。

 

それでも長期投資を前提とした場合、課税口座との差は非常に大きくなり、資産形成における効果が積み重なります。

 


 

投資信託とETFの違いによる課税の扱い

 

米国籍ETFと日本籍の投資信託では、課税の仕組みに違いがあります。

 

日本籍の投資信託を通じて米国株に投資している場合、配当の源泉徴収などの調整はファンドの運用会社が行うため、個人投資家が直接意識する必要は少なくなります。

 

一方で、米国ETFを直接保有している場合は、米国と日本の課税ルールがそのまま適用されるため、配当や控除の仕組みを理解しておくことが重要です。

 


 

確定申告と税務上のポイント

 

特定口座(源泉徴収あり)を利用していれば確定申告は不要ですが、外国税額控除を受けたい場合や、損失繰越を利用したい場合には申告が必要です。

 

特に損失が発生した年には、確定申告をして損失を翌年以降に繰り越すことで節税につながります。

 

投資のリターンを最大化するには、このような制度を戦略的に使いこなすことが大切です。

 


 

税金を考慮した投資戦略

 

米国インデックス投資では、税金を理解して投資商品を選ぶことも戦略の一部です。

 

たとえば配当重視のETFは課税コストが高くなりやすいため、課税口座ではキャピタルゲイン重視のETFを選び、配当型ETFはNISA口座で保有するといった工夫が考えられます。

 

税制をうまく利用することで、同じ投資額でも最終的な手取りリターンが大きく変わってきます。

 


 

まとめ

 

米国インデックス投資は魅力的な手段ですが、配当金や売却益には日米双方の課税が関わります。

 

米国の源泉徴収、日本の所得税と住民税、そして確定申告で利用できる外国税額控除や新NISAの非課税制度を理解しておくことが重要です。

 

税金を無視したまま投資を続けると効率が落ちてしまいますが、正しい知識を持てばリターンを最大化することが可能です。

 

節税も投資戦略の一部と捉え、賢く米国インデックス投資を続けていきましょう。

 


 

よくある質問(FAQ)

 

Q1. 米国ETFの配当に対して必ず二重課税されるのですか?

 

はい、米国ETFを直接保有している場合は米国で10%の源泉徴収、日本で20.315%の課税が発生します。

 

ただし、確定申告を通じて外国税額控除を利用すれば、その一部を取り戻すことが可能です。

 

すべてが控除されるわけではありませんが、長期的に投資を続けるならば申告する価値は大きいといえます。

 

Q2. 特定口座(源泉徴収あり)を使えば確定申告は不要ですか?

 

基本的には不要です。

 

証券会社が自動で納税処理を行うため、確定申告をしなくても投資を続けられます。

 

しかし、外国税額控除を受けたい場合や損失繰越をしたい場合には、あえて確定申告を選択する方が有利になるケースがあります。

 

Q3. 新NISAを利用すれば米国課税もゼロになりますか?

 

いいえ。新NISAでは日本国内の税金が非課税になりますが、米国での源泉徴収10%は残ります。

 

完全にゼロにする方法はありませんが、日本側の課税がなくなるだけでも長期的には大きなメリットになります。

 

Q4. 投資信託とETF、税金面でどちらが有利ですか?

 

一概には言えませんが、税務処理の手間を避けたいなら日本籍の投資信託、手数料の低さや商品数の豊富さを重視するなら米国ETFという選び方が一般的です。

 

税金面では投資信託の方がシンプルですが、リターン全体で比較するとETFの優位性も十分にあります。

 

Q5. 配当再投資は税金面で不利になりますか?

 

配当を受け取るたびに課税されるため、確かに複利効果は少し弱まります。

 

そのため、成長型ETFのように配当を出さず自動的に再投資されるタイプのファンドを選ぶ投資家も多いです。

 

課税口座では配当控除の影響を考慮しつつ、NISA口座では配当ETFを活用するといった戦略が有効です。

 

 

 

Tags: インデックス投資
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。