
米国利上げ局面でのインデックスパフォーマンスと長期投資戦略
By Staff | 2025-08-25
Category: インデックス投資
米国市場における利上げ局面は、多くの投資家にとって大きな関心事です。
金利が上がれば株価は下がるというイメージを持つ人も多いでしょう。
しかし実際には、利上げが必ずしも株式市場にマイナスの影響だけを与えるわけではありません。
インデックス投資においては、過去の利上げ局面を振り返ることで相場の特徴を理解することができます。
金利と株価の関係
利上げは企業や市場にさまざまな影響を及ぼします。
- 企業の資金調達コストが上昇し、利益率が圧迫されやすい
- 債券利回りが上昇し、安全資産の魅力が増すことで株式市場から資金が流出しやすい
- 成長株の将来利益がより高い金利で割り引かれるため、バリュエーションが下がりやすい
一方で、利上げが行われる背景には「経済が強い」「インフレが進行している」など、景気拡大のサインが含まれていることも多く、必ずしも株価下落の材料だけとは限りません。
過去の利上げ局面とインデックスリターン
歴史を振り返ると、利上げの影響は一様ではありません。
短期的には調整を招くこともありますが、長期では必ずしも株価の足を引っ張るとは限りません。
1994年の急速な利上げ
FRBが1年間で金利を3%台から6%台まで急速に引き上げ、市場は一時的に混乱しました。この年S&P500は約 −1.5% のリターンとなり、短期的には逆風が強く出ました。
ただし翌1995年にはS&P500が +34% 上昇し、長期的には上昇基調を維持しました。
2004〜2006年の利上げサイクル
FRBは17回連続で利上げを実施し、政策金利は1%から5.25%まで引き上げられました。それにもかかわらずS&P500は2004〜2006年の3年間で 累計+28% 上昇し、堅調な景気と企業利益の拡大が株価を支えました。
2015〜2018年の利上げ局面
リーマンショック後の景気回復を背景に、FRBは政策金利を0.25%から2.5%まで段階的に引き上げました。この間S&P500は約 +30%、Nasdaq100は +50%以上 のリターンを記録し、利上げが必ずしも株価の妨げにならないことを示しています。
2022〜2023年の急速な利上げ
インフレ抑制を目的にFRBは政策金利をほぼゼロから5%超へと急速に引き上げました。その結果、Nasdaq100は2022年に −33% と大幅下落しましたが、2023年には生成AIブームなどを背景に +55% の急反発を見せました。
S&P500も2022年に −19% 下落後、2023年は +24% と回復しています。
セクター別・インデックス別の特徴
利上げ局面ではインデックスやセクターごとに異なる反応を示します。
- S&P500:幅広い企業を含むため、全体的な影響は限定的になることも多い
- Nasdaq100:成長株が多く、金利上昇でバリュエーションが下がりやすい
ダウ平均:景気循環株を含むため、利上げ時でも比較的堅調に推移することがある
セクター別では、金融株は利ざや拡大で恩恵を受けやすい一方、テクノロジー株は逆風を受けやすい構造です。
生活必需品や公益などのディフェンシブセクターは、景気に左右されにくく安定性を保ちやすい傾向があります。
投資戦略の考え方
利上げ局面では短期的なボラティリティが増加しますが、冷静な戦略をとることでチャンスにもつながります。
- 分散投資を維持し、金融株やディフェンシブセクターを含めてリスクを分散
- 一括投資よりも積立投資を活用し、相場変動を均す
- 為替の影響を考慮し、ドル円動向も確認する
「利上げは永遠に続かない」ことを理解し、次のサイクルへの備えをする
長期投資家にとっての示唆
利上げは確かに株式市場に影響を与えますが、長期投資家にとっては一時的な出来事にすぎません。
利上げ局面と利下げ局面は周期的に繰り返され、相場全体のリターンにおいては互いに均されることが多いのです。
「利上げだから売る」「利下げだから買う」といった短期的な反応はむしろ失敗の原因となりやすく、長期的にはインデックスを持ち続けることが最も堅実な戦略です。
まとめ
- 米国利上げ局面は株価に一時的な調整をもたらすことがある
- しかし過去の事例を見ると、景気拡大期にはむしろ株価上昇が続いたケースも多い
- セクター別に異なる動きを理解しつつ、分散と積立で長期投資を継続することが重要
- 金利変動は投資判断の一部にすぎず、長期投資では深く気にしすぎる必要はない
FAQ
Q1. 利上げ直後は必ず株価が下がるのですか?
A. 必ずしもそうではありません。景気が強いときの利上げでは、株価が上昇を続けることもあります。
Q2. 利上げ局面で強いインデックスは?
A. ダウ平均やS&P500は比較的安定しており、Nasdaq100は調整を受けやすい傾向があります。
Q3. 金融株は利上げで有利になりますか?
A. 金利上昇により利ざやが拡大しやすく、金融株は恩恵を受けることが多いです。
Q4. 利上げとドル円相場にはどんな関係がありますか?
A. 利上げはドル高要因となることが多く、為替リスクを伴う投資では注意が必要です。
Q5. 利上げ局面で新規投資は控えるべきですか?
A. タイミングを計ろうとするよりも、積立投資で分散する方が安定的です。
Q6. 利上げ後に株価が再上昇するタイミングは?
A. 景気が堅調で企業利益が伸びている場合、利上げが続いても株価は回復・上昇することがあります。
Q7. 長期投資家は利上げをどの程度気にする必要がありますか?
A. 長期的には利上げと利下げのサイクルが均されるため、深く考える必要はありません。むしろ継続的な投資を続ける姿勢が重要です。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。