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バブル崩壊時の株価指数の動き|SPY・QQQ・IWM・TLT・GLDで比較する資産の明暗

By Staff | 2025-08-22

Category: インデックス投資

株式市場では「バブル」と呼ばれる過熱相場が周期的に出現します。

 

しかし、バブルが崩壊すると急激な下落を引き起こし、投資家に大きなダメージを与えます。

 

米国市場では、2000年のドットコムバブル崩壊、2008年の金融バブル崩壊(リーマンショック)、そして2021〜22年の金利上昇によるテック株調整が代表例です。

 

ここでは SPY(S&P500)、QQQ(NASDAQ100)、IWM(Russell2000)、TLT(米国長期国債)、GLD(金ETF) の動きを比較し、バブル崩壊時の特徴と投資への示唆を整理します。

 


 

各インデックスの概要

 

  • SPY:米国を代表する大型株500銘柄に連動。市場全体のベンチマーク。
  • QQQ:NASDAQ100に連動。ハイテクや成長株中心で、バブルの影響を強く受けやすい。
  • IWM:Russell2000に連動。小型株中心で景気に敏感、ボラティリティが高い。
  • TLT:米国20年以上の長期国債に投資。リスクオフ局面で買われやすい。
  • GLD:金価格に連動するETF。伝統的な安全資産で、株式が不安定な時期に資金が流入。

 

これらの動きを並べて見ることで、株式・債券・金の役割がより明確に理解できます。

 


 

ドットコムバブル崩壊(2000–2002)

 

1990年代のIT革命は株価を大きく押し上げましたが、過熱した期待は2000年に崩壊しました。

 

  • SPYはピークから底まで 約−45% の下落。
  • QQQは特に深刻で 約−80% の下落。テクノロジー株への過剰な期待が裏目に出ました。
  • IWMも小型株への資金流出で 約−50% 下落。
  • TLTは金利低下を背景に上昇し、守りの役割を果たしました。
  • GLDはまだ上場していませんでしたが、金価格は2000年代初頭から上昇トレンドへ移行していきました。

 

👉 この時期の最大の教訓は、QQQのように成長株指数は急成長する反面、崩壊時には壊滅的な下落を経験するということです。

 


 

金融バブル崩壊(2007–2009)

 

サブプライムローン問題から金融危機へと発展し、リーマンショックを引き起こしました。

 

  • SPYは 約−55% の下落。
  • QQQも大きく売られ 約−50% の下落。
  • IWMは小型株が最も弱く 約−60% の下落。
  • TLTは逃避資金が流入し 約+20% 上昇。
  • GLDも需要が高まり 約+5〜10% 上昇。

 

👉 金融システムへの不安が市場全体を覆う中、国債と金が数少ないセーフヘブンとなりました。

 


 

コロナ後の「ミニバブル」と2022年の調整

 

2020年の金融緩和によって株式市場は急騰し、2021年にはテクノロジー株中心にバブル的な上昇を見せました。

 

しかし、2022年にFRBが急速に利上げを行うと、相場は調整局面に入りました。

 

  • SPYは2022年にかけて 約−20% の下落。
  • QQQは金利上昇の影響を強く受け 約−30% 下落。
  • IWMも小型株から資金が流出し 約−25〜30% 下落。
  • TLTは逆風を受け 約−30% の大幅下落。
  • GLDはインフレ懸念で一時上昇しましたが、その後は横ばい推移。

 

👉 この局面では株と債券が同時に下落する「株・債券同時安」となり、従来のセーフヘブン戦略が通用しないリスクが浮き彫りになりました。

 


 

バブル崩壊後の回復スピード

 

  • ドットコムバブル:SPYは約7年で回復、QQQは15年以上かかった。
  • 金融バブル:SPYは約5年、QQQは4年程度で高値を更新。
  • コロナ後調整:SPYとQQQは2年程度で上昇基調に戻った。

 

回復スピードには大きな差があり、成長株中心のQQQは下落幅も大きいものの、回復時の反発力も強いことが特徴です。

 


 

投資家にとっての実践的な示唆

 

  1. バブル崩壊時の株式下落幅は非常に大きく、特にQQQのような成長株指数はリスクが高い。
  2. IWM(小型株)は景気敏感で資金流出に弱く、暴落時に最もダメージを受けやすい。
  3. TLTやGLDのような守りの資産は、過去の多くの局面で下落を和らげる役割を果たしてきた。
  4. ただし2022年のように、株と債券が同時に下落する特殊なケースもあり、固定観念に頼らない分散が必要。
  5. 長期投資においては、複数のインデックスを組み合わせ、バブル崩壊を耐えながら成長の恩恵を享受する戦略が重要。

 


 

まとめ

 

バブル崩壊は株式市場に深刻な打撃を与えるものの、その後の回復もまた歴史が示しています。

 

SPYは市場全体を反映し、QQQはテクノロジーの盛衰を映し出し、IWMは景気循環の影響を強く受けます。

 

さらにTLTとGLDは、伝統的に守りの資産として投資家の資産を支えてきました。

 

過去の事例は「暴落を完全に避けることはできないが、分散と長期投資によって乗り越えられる」という重要な教訓を与えてくれます。

 


 

FAQ

 

Q: ドットコムバブル崩壊で最も下落したのは?


A: QQQ(NASDAQ100)で、約−80%という壊滅的な下落を記録しました。

 

Q: 金融バブル崩壊とドットコムバブルの違いは?


A: ドットコムはテクノロジー株中心の崩壊、金融バブルはシステム全体を揺るがす信用危機が要因でした。

 

Q: コロナ後のバブル調整でTLTが下落した理由は?


A: 急激な利上げで国債価格が下がったためです。従来の「債券は守り」という常識が揺らぎました。

 

Q: SPYとIWMではどちらが下落に弱い?


A: IWM(小型株)がより景気敏感で、下落幅が大きい傾向があります。

 

Q: GLDはバブル崩壊時に常に上がるのか?


A: 多くの場合は上昇傾向にありますが、必ずしも常に上昇するわけではありません。インフレやドルの動き次第で変動します。

 

Q: バブル崩壊に備えた資産配分の考え方は?


A: 株式・債券・金を組み合わせ、リスク分散を徹底することが有効です。特定の資産に依存しない柔軟な配分が求められます。

 

Tags: インデックス投資
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。