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メルク(MRK)の安定配当と医薬セクターの強み

By Staff | 2025-09-14

Category: 配当成長投資

メルク(Merck & Co., MRK)は1891年創業の米国大手製薬会社で、がん免疫療法薬「キイトルーダ(Keytruda)」やワクチン事業を柱に成長を続けています。

 

世界150か国以上に展開し、医薬品業界の中でも研究開発力と収益基盤の広さで知られています。

 

製薬セクターは景気変動に左右されにくいディフェンシブ銘柄が多く、メルクもその代表格のひとつとして長期投資家から支持されています。

 


 

配当履歴の推移

 

メルクは数十年にわたり安定的に配当を支払い続けてきました。

 

2015年の年間配当は1株あたり1.81ドルでしたが、2025年には3.20ドルまで増加。10年間で約77%の増配を実現しており、年平均成長率(CAGR)はおよそ6%に達しています。

 

例えば、2015年に100株を保有していた場合、年間配当収入は181ドルでした。

 

それが2025年には320ドルに増加し、139ドルの上乗せ収入を得られる計算になります。

 


 

現在の配当利回りと水準

 

直近の四半期配当は0.81ドルで、年間換算すると3.24ドル。

 

株価水準を考慮すると配当利回りは約3.8%と、市場平均(1.5%前後)を大きく上回る安定的な水準となっています。

 

製薬セクターの中でも比較的高めの利回りであり、インカム収入を重視する投資家には魅力的な数字です。

 


 

配当性向と持続可能性

 

メルクの配当性向は近年40〜60%程度で推移しており、バランスの取れた水準にあります。

 

利益の一定割合を株主還元に回しつつ、残りを研究開発や事業拡大に再投資することで、将来の配当余力を確保しています。

 

大型薬剤キイトルーダの特許収益やワクチン事業の安定性が、今後の配当持続性を強く支えています。

 


 

投資家にとってのメリット

 

  • 直近の配当利回りは約3.8%と市場平均を大きく上回る
  • 10年間で77%の増配実績、年平均6%成長
  • 医薬セクター特有のディフェンシブ性
  • ワクチンやがん治療薬の収益基盤による安定キャッシュフロー

 

特に「安定配当+中程度の成長」を重視する投資家に適した銘柄といえます。

 


 

考慮すべきリスク

 

  • 主力薬キイトルーダの特許切れ(パテントクリフ)
  • 新薬開発の失敗や規制強化による収益圧迫
  • 米国を中心とした薬価抑制政策の影響
  • 製薬業界全体で高額な研究開発コストが継続

 

これらのリスクを考慮しつつも、セクター全体の安定性が大きな強みです。

 


 

他社との比較

 

  • アッヴィ(ABBV):高配当で成長率も高いが、配当性向はやや高め。
  • ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ):60年以上連続増配を続ける「配当王」。
  • ブリストル・マイヤーズ(BMY):利回りは高いが、増配率は控えめ。
  • メルク(MRK):利回り3〜4%台で、安定成長と配当持続性を両立。

 


 

まとめ

 

メルク(MRK)は、医薬セクターのディフェンシブ性と安定的な収益基盤を背景に、長期的に安定配当を提供してきました。

 

過去10年間で77%の増配を実現し、現在の配当利回りは約3.8%。研究開発投資を継続しつつも、今後も安定的な配当支払いが期待できます。

 

長期投資ポートフォリオにおいて、安定的なインカム収入を確保する中核銘柄の一つとして注目に値します。

 


 

FAQ

 

Q1. メルク(MRK)の現在の配当利回りはどのくらいですか?


→ 直近の配当を基にすると約3.8%で、市場平均(1.5%前後)を大きく上回ります。製薬セクターの中でも比較的高水準にあり、安定的なインカムを求める投資家に魅力的です。

 

Q2. 過去10年間で配当はどの程度増えましたか?


→ 2015年に1株あたり1.81ドルだった年間配当は、2025年には3.20ドルまで増加しました。10年間で約77%の増配、年平均成長率(CAGR)はおよそ6%です。

 

Q3. 配当性向は健全ですか?


→ 配当性向はおおむね40〜60%台で推移しており、利益と株主還元のバランスを保っています。製薬業界は研究開発に多額の資金が必要ですが、それでも配当を安定的に維持できている点は評価できます。

 

Q4. 減配リスクはありますか?


→ 現時点では減配リスクは低いとみられます。ただし、主力薬キイトルーダの特許切れや規制強化が起これば、中長期的に配当方針が見直される可能性はあります。

 

Q5. 新薬開発の進捗は配当にどう影響しますか?


→ 製薬企業にとって新薬の成功は業績に直結します。メルクはがん免疫療法やワクチン領域で強みを持っており、これらの開発・販売が順調に進めばキャッシュフローが拡大し、将来の増配余地が広がります。

 

Q6. 為替の影響は考慮する必要がありますか?


→ はい。メルクの配当は米ドルで支払われるため、円建てで受け取る場合は為替レートの影響を受けます。円高時には配当額が目減りする一方、円安時には受け取り額が増える可能性があります。

 

Q7. 他の製薬株と比べてどんな特徴がありますか?


→ アッヴィ(ABBV)は高配当で増配率も高い、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は60年以上連続増配で超安定型。ブリストル・マイヤーズ(BMY)は高利回りだが増配率は控えめ。メルク(MRK)は「安定配当+中程度の成長」でバランス型の立ち位置です。

 

Q8. 配当再投資(DRIP)戦略との相性は?


→ 配当利回りが3〜4%台で安定しており、CAGRも6%程度あるため、再投資を行うと長期的に複利効果が大きく働きます。特に老後資産形成や教育資金など、長期視点での資産運用に向いています。

 

Q9. 米国の薬価政策は配当に影響しますか?


→ 米国政府による薬価抑制政策が強化されれば、利益率の低下につながり、将来の増配余地が縮小するリスクがあります。特に政治的な議論が続く医療費問題は、製薬企業全般のリスク要因です。

 

Q10. メルクは景気後退局面でも強いですか?


→ 医薬品は生活必需品に近く、景気が悪化しても需要は大きく減りません。そのため、他業種に比べて収益が安定しやすく、配当の持続性も高いと考えられます。

 

Q11. 短期的な株価下落局面は買い場になりますか?


→ メルクのような安定配当株は、株価下落時に利回りが上昇するため、長期的に安定収入を狙う投資家にとっては投資機会になり得ます。ただし、下落要因が一時的か構造的かを見極めることが重要です。

 

Q12. メルクはポートフォリオにどのように位置づけられるべきですか?


→ 高成長株ほどのリターンは見込めませんが、安定した収益とディフェンシブ性により、ポートフォリオ全体のリスクを下げる役割を果たします。高配当ETFやバランス型戦略との相性も良い銘柄です。

 

 

Tags: 配当株 MRK
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。