
NOBL vs VIG:増配ETFの違いを徹底比較
By Staff | 2025-09-12
Category: 配当成長投資
増配株への投資は、配当収入を得ながら資産を長期的に成長させたい投資家にとって魅力的な戦略です。
その中でも代表的なETFが、NOBL(ProShares S&P 500 Dividend Aristocrats ETF)とVIG(Vanguard Dividend Appreciation ETF)です。
どちらも「増配」をキーワードにしていますが、銘柄選定の基準や構成、リターンには大きな違いがあります。
ここでは最新データをもとに両者を比較し、それぞれの特徴を掘り下げていきます。
NOBLの特徴
NOBLは、S&P500の中で「25年以上連続で増配している企業」のみを対象にしたETFです。
2025年9月時点で69社が組み入れられており、均等加重方式を採用しているため1社あたりの比率は小さく分散されています。
主な組入上位銘柄には以下があります。
- Emerson Electric
- Caterpillar
- IBM
- Cardinal Health
- Abbott Laboratories
セクター構成では、工業(23.3%)、生活必需品(21.4%)、金融(13.2%)が上位を占めており、伝統的で安定性のある産業が中心です。
配当利回りは2.5%前後で、インカム収入を意識した設計となっています。
VIGの特徴
VIGは「10年以上の連続増配」という基準を満たす企業を広く組み入れるETFです。
組入銘柄は約330社と幅広く、時価総額加重方式のためAppleやMicrosoftといった大型株の比率が高くなります。
セクター別では、情報技術(26.6%)、金融(22.5%)、ヘルスケア(14.6%)が多く、成長性と安定性を兼ね備えています。
利回りは1.8〜2.0%と控えめですが、増配余力のある企業を多く含んでいるため、長期的な配当成長に期待できます。
利回りとトータルリターンの比較
NOBLとVIGはどちらも「増配銘柄」に投資するETFですが、実績リターンには差があります。
NOBL(2025年8月末時点)
- 1年:+8.1%
- 3年:+9.6%(年率)
- 5年:+10.5%(年率)
- 10年:+10.4%(年率)
- 設定来(2013年以降):+10.6%
VIG(2025年8月末時点)
- 1年:+9.5%
- 3年:+14.9%(累積51%)
- 5年:+12.1%(累積77%)
- 10年:+12.9%(累積239%)
- 設定来(2006年以降):+9.3%(累積521%)
数字から見ても、NOBLはディフェンシブ性が高く安定した成績を示す一方、VIGは増配企業の成長性を取り込み、長期のトータルリターンで優位に立っていることが分かります。
投資スタイル別の選び方
NOBLとVIGはどちらも魅力的ですが、投資目的によって向き不向きがあります。
NOBLが向いている人
- 安定した配当と、歴史ある増配銘柄への投資を重視する場合
下落耐性を意識しつつ、比較的堅実な成長を求めたい場合
VIGが向いている人
- 成長性を取り込みながら、将来的な配当増加を重視したい場合
- 大型グロース株も含めたバランス型の増配投資を志向する場合
日本から投資する際の留意点
どちらのETFもSBI証券や楽天証券など国内のネット証券で購入可能です。
ただし、米国での10%源泉課税に加え、日本国内でも課税対象となるため二重課税が発生します。
この際に確定申告で「外国税額控除」を利用することで、米国課税分の一部または全額を取り戻せる可能性があります。
また、為替リスクも無視できません。
円安局面ではドル建て配当の価値が高まりますが、円高になると逆に目減りします。
特に配当を目的とした投資では為替変動が収益に直結するため、注意が必要です。
まとめ
NOBLとVIGはどちらも「増配ETF」という枠組みにありますが、性格は大きく異なります。
NOBL:25年以上連続増配企業に絞り、安定性重視。利回りは2.5%前後。
VIG:10年以上の増配企業を広く組み入れ、成長性と配当成長を重視。利回りは約2%だが長期リターンは優秀。
どちらが優れているかではなく、投資家が「今の安定配当」を重視するのか、それとも「将来の配当成長」を重視するのかによって選択が変わってきます。
FAQ
Q1. NOBLとVIGを両方保有するのは有効ですか?
→ ディフェンシブ性の高いNOBLと、成長性を取り込むVIGを組み合わせることで、バランスの取れたポートフォリオを構築できます。
Q2. VIGの利回りが低いのに人気がある理由は?
→ 増配率の高さと、長期リターンの実績があるためです。結果として配当収入が時間とともに拡大していく点が評価されています。
Q3. NOBLは景気後退局面に強いですか?
→ ディフェンシブ銘柄を多く含むため比較的底堅い傾向がありますが、完全に下落を回避できるわけではありません。
Q4. 日本で投資する際の課税はどうなりますか?
→ 米国源泉10%と国内課税がかかりますが、外国税額控除を活用すれば税負担を軽減できます。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。