
QYLD vs JEPI 徹底比較:高配当ETFの仕組み・利回り・リターンの違いとは?
By Staff | 2025-09-12
Category: 配当成長投資
高配当ETFの代表格としてよく名前が挙がるのが、グローバルX社のQYLD(グローバルX NASDAQ100 カバードコールETF)とJPモルガンが運用するJEPI(JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETF)です。
いずれも分配金利回りの高さで注目されていますが、仕組みや運用手法には明確な違いがあります。
ここでは両者の特徴を整理しながら、それぞれの強みと弱みを解説します。
QYLDの特徴と戦略
QYLDはNASDAQ100指数をベースに、株式を保有しながらカバードコール戦略を実行するETFです。
具体的には、保有株式に対してコールオプションを売却し、そのプレミアム収入を分配金として投資家に還元しています。
- 2025年9月時点での株価は約16.9ドル前後
- 年間分配金利回りは10%前後と非常に高水準
- 上位構成銘柄はナスダック銘柄が中心
(例:NVIDIA 9.8%、Microsoft 8.5%、Apple 7.8%、Amazon 5.6% など)
利回りは魅力的ですが、その代償として株価上昇の恩恵を得にくい点がデメリットです。
実際に10年平均年率リターンは約8.1%と、NASDAQ100指数そのもの(約9.1%)より低くなっています。
JEPIの特徴と戦略
一方、JEPIはS&P500をベースにしつつ、オプションを活用してプレミアム収入を得る仕組みを持っています。
QYLDと同じカバードコール戦略を採用しつつも、よりアクティブに銘柄選定を行っている点が特徴です。
- 2025年9月時点での株価は約57ドル前後
- 年間分配金利回りは7%前後と安定感あり
- 上位構成銘柄はグロースとディフェンシブのバランスが取れている
(例:Alphabet、Mastercard、AbbVie、NVIDIA、Microsoft など)
1年リターンは約5.5%、3年平均年率は約10.3%、5年平均年率は約10.3%と、株価の成長もある程度確保できています。
分配金水準はQYLDに劣るものの、資産価値の維持力は相対的に強いといえます。
利回りとトータルリターンの比較
両者の違いを理解するうえで欠かせないのが、利回りとトータルリターンの視点です。
QYLD
・1年リターン:約7.5%
・3年平均年率:約11.3%
・10年平均年率:約8.1%
・設定来:約7.6%(2013年設定、運用約12年)
→ 高配当を受け取りながら、株価成長は限定的。
JEPI
・1年リターン:約5.5%
・3年平均年率:約10.3%
・5年平均年率:約10.3%
・設定来:約9.0%(2020年設定、運用約5年)
→ 分配金と株価成長をバランスよく確保。
QYLDは「毎月の高配当を得る」点に特化したETFであり、長期の資産成長には向いていません。
一方、JEPIは安定配当を維持しながらも、資産価値の上昇をある程度取り込む設計です。
セクター構成の違い
QYLDはNASDAQ100を母体とするため、情報技術セクターに大きく偏っています。
NVIDIAやApple、Microsoftといったハイテク株比率が高く、配当戦略でありながらテック銘柄中心のポートフォリオになります。
一方で、JEPIはS&P500をベースにしており、金融、ヘルスケア、生活必需品などディフェンシブな銘柄も多く含まれています。
セクター分散が効いているため、下落相場での耐性はQYLDより高い傾向があります。
どちらを選ぶべきか?
結論としては、投資目的によって選択肢が変わります。
- 毎月の高配当を重視する場合 → QYLD
生活費の補填やインカムゲインを優先したい人に適している。
- 資産成長と配当のバランスを重視する場合 → JEPI
分配金はやや少なめでも、長期の資産形成を狙いたい人に向いている。
いずれにしても、両者は「オプションを活用した特殊な戦略ETF」であり、通常のインデックス投資とは性格が異なります。
投資する際には、仕組みやリスクを理解したうえで活用することが大切です。
FAQ
Q1. QYLDの分配金は減る可能性がありますか?
→ はい。オプションプレミアム収入に依存しているため、市場のボラティリティが低下すると分配金が減少することがあります。
Q2. JEPIは株価上昇の恩恵を得やすいですか?
→ S&P500の値動きをある程度反映するため、QYLDよりも株価上昇を取り込みやすい設計です。
Q3. 為替リスクはどちらにもありますか?
→ どちらも米ドル建てETFなので、円安時には受取配当が増えますが、円高局面では逆に目減りします。
Q4. 日本の証券会社から購入できますか?
→ SBI証券や楽天証券など主要ネット証券で購入可能です。ただし、分配金には米国課税10%がかかり、日本での課税と合わせて二重課税となります。確定申告で外国税額控除を行うことで一部または全額を取り戻せる可能性があります。
Q5. 長期投資で優位なのはどちら?
→ 株価成長を含めたトータルリターンで見ると、JEPIのほうが優位です。ただし、毎月の安定したキャッシュフローを求めるならQYLDの魅力は依然として大きいといえます。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。