
SPYDのメリット・デメリットを徹底解説|高配当ETFの特徴と注意点
By Staff | 2025-09-11
Category: 配当成長投資
SPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF)は、ステート・ストリートが2015年に設定した高配当ETFです。
ベンチマークは「S&P 500 High Dividend Index」で、S&P500の中から配当利回り上位80銘柄を均等加重で組み入れるシンプルな仕組みを持っています。
経費率は0.07%と低コストで、四半期ごとに分配金を支払う点も特徴です。
基本的な特徴
2025年9月時点のSPYDのデータは以下の通りです。
- 純資産総額:約481億ドル
- 組入銘柄数:80社
- 加重平均時価総額:約4,800億ドル
- P/Eレシオ:約14倍
- P/Bレシオ:約1.7倍
- 配当利回り(TTM):おおむね4〜5%
- 予想EPS成長率(3〜5年):約5.9%
このように、割安水準の大型株を中心に構成されており、配当を安定的に得られる仕組みになっています。
過去のパフォーマンス
最新のリターン実績(2025年8月末時点)は以下の通りです。
- 1年:+4.2%
- 3年(年率):+8.7%
- 5年(年率):+14.7%
- 設定来(2015年~):+9.1%
5年間では年率+14.7%と好成績を収めていますが、10年以上の実績はまだありません。
また、2020年のコロナショック時には分配金が大幅に減配されるなど、景気悪化局面では不安定になりやすい傾向も確認されています。
セクター構成の特徴
SPYDは均等加重という特性から、セクターごとに偏りが出やすいETFです。2025年9月時点の構成比率は以下の通りです。
- 不動産(REIT):22.4%
- 生活必需品:17.2%
- 金融:15.4%
- 公益:12.5%
- ヘルスケア:8.0%
- 素材:6.7%
- エネルギー:6.3%
- 一般消費財:4.0%
- 通信:3.9%
- 工業:2.4%
- 情報技術:1.4%
特に不動産や公益の比率が高いため、利回りは高い一方で、景気後退時や金利上昇局面では株価や配当に悪影響が出やすい構造になっています。
主な組入銘柄
SPYDの上位銘柄は均等加重のため、いずれも組入比率は1〜1.5%程度にとどまります。直近では以下の企業が上位に入っています。
- CVSヘルス(CVS)
- ベストバイ(BBY)
- アッヴィ(ABBV)
- HP(HPQ)
- アルトリア(MO)
- アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)
- サイモン・プロパティ・グループ(SPG)
- U.S.バンク(USB)
- APAコーポレーション(APA)
- バイアトリス(VTRS)
巨大企業への依存が少なく分散は効いていますが、銘柄数が80と限られているため、セクターリスクの影響を強く受けやすい点には注意が必要です。
SPYDのメリット
SPYDの魅力は以下の点に集約されます。
- 高い分配利回り(4〜5%前後)で安定したインカムを得られる
- 均等加重方式により特定の大型株に依存しない分散効果
- 経費率が0.07%と低く、長期投資にも適している
- シンプルなルールで銘柄選定されているため透明性が高い
高配当株をまとめて保有できるため、配当収入を重視する投資家にとって分かりやすく使いやすいETFです。
SPYDのデメリット
一方で、デメリットも見逃せません。
- 不動産や公益株などへのセクター偏重が強い
- 景気後退局面では株価下落や減配の可能性が高い
- S&P500やVTIと比べると長期的な成長性は劣る傾向
- コロナショック時には大幅な減配を経験しており、安定性ではVYMやSCHDに劣る
インカムを重視する一方で、資産形成の「核」として据えるにはリスク管理が必要です。
他の高配当ETFとの比較
SPYDを評価する際には、他の代表的な高配当ETFとの違いを理解することが大切です。
- VYM:580銘柄以上に分散され、安定性が高い。利回りはSPYDより低め。
- SCHD:財務健全性と増配実績を重視し、配当成長率では最も優れている。
- HDV:財務面で厳選された銘柄を集めており、安定志向。ただし銘柄集中度が高い。
- SPYD:最も利回りが高いが、減配リスクとセクター偏重がデメリット。
投資目的が「高利回りの配当収入」ならSPYDは有力な選択肢となりますが、長期の安定性を重視するなら他ETFとの組み合わせが現実的です。
長期投資での活用法
SPYDは短期的に高いインカムを得たい人に向いています。
老後資産の一部やセミリタイア後の配当収入源としては魅力的ですが、資産形成の中核としてはVYMやSCHDを併用し、バランスを取る戦略が望ましいでしょう。
NISAでの保有は配当が非課税となる点で有利ですが、米国源泉徴収税10%は差し引かれるため注意が必要です。
特定口座の場合でも外国税額控除を利用することで、米国課税分を一部取り戻すことが可能です。
まとめ
SPYDは高配当ETFの中でも際立った利回りの高さを誇り、配当収入を重視する投資家にとって有力な選択肢です。
ただし、セクター偏重や減配リスクという弱点もあり、長期的な安定性ではVYMやSCHDに一歩譲ります。
投資目的に応じて使い分けることが、ETF投資を成功させる鍵といえるでしょう。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。