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SPYD vs HDV:セクター構成と利回りを徹底比較

By Staff | 2025-09-12

Category: 配当成長投資

米国株式市場には数多くの高配当ETFがありますが、その中でも特に人気を集めているのがSPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF)とHDV(iShares Core High Dividend ETF)です。

 

どちらも「高配当株に投資する」という共通点を持ちながらも、セクター構成や投資手法に違いがあり、その性格の差が利回りやリスク特性に表れています。

 

本記事では、最新の構成銘柄データをもとに両者を比較し、投資判断の参考になる視点を整理していきます。

 


 

SPYDの特徴

 

SPYDはS&P 500構成銘柄の中から高配当の80銘柄を均等比率で組み入れるというシンプルな設計が特徴です。

 

均等加重型であるため、1銘柄あたりの比率はおおむね1.2〜1.6%程度となり、特定の企業に依存しない点がメリットです。


2025年9月時点の上位銘柄には、CVS Health、APA(石油・ガス)、Best Buy、Altria Group、AbbVie、HP、Archer Daniels Midlandなどが並びます。

 

セクター比率を見ると以下のようになっています。

 

  • 不動産:22.3%
  • 生活必需品:17.0%
  • 金融:15.4%
  • 公益事業:12.5%
  • ヘルスケア:8.0%
  • エネルギー:6.5%

 

特に不動産と金融の比率が高く、景気や金利の動向に左右されやすい一方で、利回りは直近で4.5〜5.0%程度と高水準を維持しています。

 

2020年のコロナショックではS&P500に比べて下落率が大きかったものの、2021年のリバウンドでは年率20%近いリターンを記録しました。

 


 

HDVの特徴

 

一方のHDVは、モーニングスター社の配当持続性スクリーニングを活用し、財務基盤が安定した企業を選定しています。

 

そのため、構成銘柄はディフェンシブ色が強くなります。


最新の上位銘柄にはExxon Mobil、Johnson & Johnson、AbbVie、Chevron、Home Depot、Merck、AT&T、PepsiCo、Altria Group、Philip Morrisといった米国を代表する企業が並びます。

 

セクター比率は以下のとおりです。

 

  • ヘルスケア:23.1%
  • エネルギー:22.0%
  • 生活必需品:18.8%
  • 公益事業:8.9%
  • 情報技術:8.1%

 

ヘルスケアとエネルギーだけで全体の45%を占める構成は、安定配当を意識した設計です。

 

直近の分配利回りは3.5〜4.0%前後で、SPYDよりやや低めですが、暴落局面では相対的に底堅い値動きを見せることが多くあります。

 

2022年の利上げ局面でも、S&P500が-18%下落する中でHDVは-1%程度にとどまり、安定感を示しました。

 


 

セクター構成の違いが生むリスクとリターン

 

SPYDは不動産・金融が多いため、景気循環の影響を受けやすく、金利上昇時には逆風となりがちです。

 

その一方で、好景気局面では利回りの高さがキャッシュフローを押し上げる効果を発揮します。


HDVはディフェンシブセクター中心で、景気後退局面に強い構造になっています。

 

特にヘルスケアや生活必需品は、経済環境が悪化しても需要が底堅く、長期安定配当を期待しやすいのが特徴です。

 


 

利回り比較と実績

 

  • SPYD:4.5〜5.0%前後。2023年の分配金総額は約1.76ドルで、株価比利回りはおよそ4.8%。

     

  • HDV:3.5〜4.0%前後。2023年の分配金総額は約3.19ドルで、株価比利回りはおよそ3.7%。

     

直近5年間のトータルリターンを見ると、SPYDは年率平均約7%、HDVは約8%と拮抗しており、必ずしも高利回りのSPYDが優位というわけではありません。

 

安定したセクター構成がHDVのリターンを支えていることがわかります。

 


 

日本から投資する際の注意点

 

SPYDやHDVといった米国ETFは、SBI証券や楽天証券など主要ネット証券を通じて購入できます。

 

ただし、分配金には米国で10%の源泉課税が課され、日本でも課税対象となるため、いわゆる二重課税の問題が発生します。

 

この際に活用できるのが「外国税額控除」です。

 

確定申告を行うことで、所得や税額に応じて米国で引かれた10%の一部、あるいは全額を日本の税額から控除できる場合があります。


また、為替リスクも忘れてはいけません。

 

円安のときはドル建て配当の受取額が増える一方で、円高局面では逆に受取額が目減りし、利回り効果が薄れることになります。

 

米国ETF投資を検討する際には、税制と為替の両面を意識することが大切です。

 


 

まとめ

 

SPYDは高配当を強く打ち出し、不動産や金融を中心にリスクを取る設計。

 

HDVはディフェンシブなセクターを重視し、安定的な配当を狙う設計。

 

どちらを選ぶべきかは、利回りの高さを取るか、それとも安定性を重視するかによって変わってきます。

 

両者を組み合わせることでセクター分散を図る方法も有効です。

 


 

FAQ

 

Q1. SPYDとHDVを同時に保有するのは意味がありますか?


→ セクター構成が異なるため、組み合わせることでバランスが取れ、リスク分散効果を期待できます。

 

Q2. 高利回りのSPYDは長期投資に向いていますか?


→ 利回りは魅力的ですが景気に左右されやすいため、安定配当を求める長期投資家にはHDVの方が適している場合があります。

 

Q3. HDVは利回りが低いのに人気があるのはなぜですか?


→ 財務健全性を重視した銘柄選定により、減配リスクが低く安定性が高いためです。

 

Q4. 為替ヘッジ付きのSPYDやHDVはありますか?


→ 基本的には米国ETFは為替ヘッジなしで提供されています。国内証券会社が設定する投資信託型でヘッジ付き商品がある場合もあります。

 

Tags: 配当株
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。