
サマーラリーの傾向と株価指数|夏相場の実績とインデックス投資戦略
By Staff | 2025-08-25
Category: インデックス投資
株式市場には「サマーラリー」と呼ばれる季節的なアノマリーがあります。
一般的に夏場は取引が薄く株価が伸び悩むとされますが、7月から8月にかけて上昇するケースもあり、「セル・イン・メイ」と対比して語られることが多い現象です。
もっとも、こうした短期的なアノマリーは長期投資に大きな意味を持つものではありません。
数週間の値動きは長期リターンにほとんど影響せず、積立や分散を続ける投資家にとっては参考程度に知っておけば十分です。
サマーラリーとは何か
サマーラリーとは、夏の数週間から数か月の間に株価指数が上昇しやすい傾向のことを指します。
明確な定義はありませんが、多くの場合は 7月から8月にかけての上昇局面 を意味します。
背景にはいくつかの要因があります。
- 第2四半期の好決算が発表され、株価を押し上げる
- 夏の消費や旅行需要増加が経済を刺激する
- 投資家心理が夏休み前に楽観的になりやすい
- 金融緩和期には資金流入が強まり、株価上昇を後押しする
過去の統計と株価指数の傾向
米国市場の長期統計を見ると、7月は年間の中でも比較的強い月に位置づけられます。
- 1928年以降のS&P500の平均7月リターンは +1.6% 前後
- Nasdaq100はテクノロジー株決算が集中するため、夏場に大きく上昇するケースが多い
- ダウ平均は安定的で、サマーラリー効果はやや薄め
- ラッセル2000など小型株指数は資金流入があれば大きく跳ねるが、ボラティリティも高い
過去の具体的な事例
2009年夏
リーマンショック後の回復期待が強まり、S&P500は7月に +7.4% 上昇。
市場全体に「危機を脱した」という安心感が広がりました。
2013年夏
FRBが量的緩和を継続する姿勢を示し、株式市場は安定。
Nasdaqは7月から8月にかけて +8.3% の上昇を記録しました。
2020年夏(コロナ後)
パンデミックの影響で大きく下落した後、テクノロジー株主導で急反発。
Nasdaq100は7月〜8月で +20%以上 上昇し、史上でも特に強いサマーラリーとなりました。
2022年夏
インフレ懸念で乱高下しましたが、7月にはS&P500が +9.1% 上昇。
これは1970年以来最大の7月上昇率となり、投資家心理を大きく改善させました。
インデックスごとの特徴
- S&P500:7月の平均リターンがプラス傾向で、サマーラリーの中心的な指数。
- Nasdaq100:決算シーズンで大きな値動きを示し、サマーラリーが顕著に現れやすい。
- ダウ平均:比較的安定した動きで、サマーラリー効果は薄いが堅調な年も多い。
- ラッセル2000:小型株が買われやすく、大きく上昇する年がある一方で下落もあり変動が激しい。
サマーラリーとセル・イン・メイの関係
「セル・イン・メイ(Sell in May and go away)」では5月から10月は株価が軟調になると言われますが、実際には7月に強いリターンを示す年が多いことから、この格言とサマーラリーは一見矛盾するように見えます。
しかしセル・イン・メイは平均的な統計に基づくもので、全ての年に当てはまるわけではありません。
サマーラリーはその中で「例外的に強い時期が存在する」ことを示すものであり、両者は補完的に理解するのが適切です。
投資戦略の考え方
サマーラリーを狙った短期投資は可能ですが、毎年必ず起こるわけではありません。
むしろ長期投資の観点では次のような姿勢が重要です。
- 季節性に依存せず、インデックス積立を継続する
- 決算シーズンに注目しつつ、安定した投資方針を維持する
- サマーラリーが起こらなかったとしても狼狽せず、長期的に保有を続ける
- 夏場のボラティリティ上昇に備え、ポートフォリオを分散しておく
長期投資家にとっての位置づけ
サマーラリーは統計的に裏付けのある現象ですが、短期的なアノマリーに過ぎません。
資産形成においては、夏の数週間の株価上昇よりも、長期的な経済成長や企業収益の拡大がはるかに重要です。
長期投資家にとっては、サマーラリーを無理に狙うのではなく、「起こればラッキー」程度に捉えつつ、積立や分散を続けることが最終的な成果につながります。
まとめ
- サマーラリーは7月〜8月に株価が上がりやすい傾向を指す
- S&P500の7月平均リターンは歴史的に +1.6% 前後
- 2009年や2020年のように顕著な上昇を示した年も多い
- 長期投資では過度に意識せず、継続的な投資を守ることが最も有効
FAQ
Q1. サマーラリーは毎年必ず起こりますか?
A. いいえ。強い年もあれば2011年や2015年のように夏場に下落した年もあります。
Q2. サマーラリーとセル・イン・メイは矛盾しませんか?
A. 一見矛盾しますが、セル・イン・メイは平均的な傾向で、サマーラリーはその中の例外的な上昇局面を示します。
Q3. どの指数でサマーラリーが顕著ですか?
A. 特にNasdaq100やラッセル2000で強い傾向が見られることが多いです。
Q4. サマーラリーを狙った短期売買は有効ですか?
A. 成功する年もありますが、外れる年もあるためリスク管理が必要です。長期投資では意識する必要はありません。
Q5. サマーラリーは為替にも影響しますか?
A. 強い株高局面ではドル高に振れる場合がありますが、為替要因は株式より複雑で一概には言えません。
Q6. 日本市場でもサマーラリーは見られますか?
A. 日経平均も夏場に上昇した年はありますが、米国市場ほど明確な統計的傾向は確認されていません。
Q7. 長期投資家はどの程度意識すべきですか?
A. 季節性を参考程度に留め、戦略を変える必要はありません。インデックスを長期で持ち続けることが最も有効です。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。