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米国市場依存リスクを減らす分散投資戦略|国際ETFと資産クラスの活用法

By Staff | 2025-08-22

Category: インデックス投資

米国株式市場は世界最大であり、S&P500やNASDAQに連動するETFは長期投資の中心的な存在となっています。

 

これまでのリターンを見ても、米国市場を軸にしたインデックス投資は効率的な資産形成の手段といえるでしょう。


しかし、資産を米国に集中させることはリスクも伴います。為替の変動、米国特有の政治リスク、さらには景気循環の影響を強く受けやすい点は見逃せません。

 

投資をより安定させるには「米国依存度を下げる工夫」が必要です。

 


 

為替リスクへの対処法

 

ドル建て資産に投資する以上、円高・円安は避けられないリスクです。

 

たとえば円高局面では、米国株が上昇しても円換算のリターンが小さくなることがあります。

 

これを軽減する方法としては、次のようなものがあります。

 

  • 為替ヘッジ付きの投資信託を一部活用する
  • 円建てとドル建て資産をバランスよく保有する
  • 定期積立を行い、ドルコスト平均法で為替の影響を平準化する

 

長期投資においては完全に回避するのは難しいものの、複数の手段を組み合わせることで為替リスクを抑えやすくなります。

 


 

地域分散の重要性

 

米国市場の成長力は魅力的ですが、世界全体で見れば投資機会はさらに広がっています。

 

地域分散を取り入れることで、米国特有のリスクを和らげることができます。

 

先進国株式インデックスETF

 

  • iShares MSCI EAFE ETF(EFA)
  • Vanguard FTSE Developed Markets ETF(VEA)

     

これらは米国を除いた欧州、カナダ、オーストラリアなどの先進国株式に投資でき、比較的安定した成長を取り込めます。

 

新興国株式インデックスETF

 

  • iShares MSCI Emerging Markets ETF(EEM)
  • Vanguard FTSE Emerging Markets ETF(VWO)

     

成長余地は大きいものの、ボラティリティが高いため、ポートフォリオ内での比率は控えめにするのが無難です。

 

全世界株式インデックスETF

 

  • Vanguard Total World Stock ETF(VT)

     

このETF1本で先進国と新興国を網羅でき、簡単にグローバル分散を実現できます。

 

米国外株式インデックスETF

 

  • Vanguard Total International Stock ETF(VXUS)

     

米国を除いた世界株式に投資できるため、米国依存度を下げたいときに効果的です。

 

💡これらのETF(EFA, VEA, EEM, VWO, VT, VXUS)は楽天証券をはじめSBI証券やマネックス証券など日本の大手ネット証券で購入可能です。

 

海外口座を開設しなくてもアクセスできる点は大きなメリットといえます。

 


 

資産クラスの分散でリスクを補強

 

株式だけでなく、他の資産クラスを組み合わせることでリスクをさらに分散できます。

 

  • 債券ETF(AGG、BND、TLTなど):株式下落局面で価格が安定しやすく、守りの資産として機能
  • REIT ETF:不動産市場へ投資でき、インフレ耐性を高められる。代表例はVNQ。ただし楽天証券では取扱いがなく、SBI証券やマネックス証券など一部証券会社や海外口座(IBKR等)を通じて購入が可能
  • コモディティETF(GLDなど):金など実物資産を保有することで、株式市場の下落リスクを緩和

 

このように複数の資産を組み合わせると、米国市場に依存しすぎないバランスの取れたポートフォリオを作ることができます。

 


 

ポートフォリオ例

 

分散の取り入れ方をイメージしやすくするため、いくつかの例を示します。

 

  • 米国株70% + VXUS20% + 新興国株10%
  • S&P500 60% + VT30% + 債券10%
  • 米国株50% + VXUS20% + VT15% + 債券10% + REIT5%

 

投資目的やリスク許容度に応じて調整できますが、米国だけでなく国際ETFや債券を組み込むと、下落耐性が高まります。

 


 

米国市場を完全に避ける必要はない

 

世界株式指数を見れば、米国企業が全体の半分以上を占めています。

 

そのため、米国市場を完全に排除するのは現実的ではありません。

 

重要なのは「依存度を理解し、他の資産や地域とバランスを取る」ことです。

 

米国株を中心に据えながらも、世界の投資機会を取り入れることで、長期的に安定したリターンを目指せるでしょう。

 


 

まとめ

 

  • 米国市場は魅力的だが、依存しすぎはリスクになる
  • 為替リスクにはヘッジやドルコスト平均法で対応可能
  • 国際ETF(EFA, VEA, EEM, VWO, VT, VXUS)は国内証券で購入できるため手軽に分散可能
  • REITやコモディティも組み合わせればさらに安定性を高められる
  • 米国株を軸にしつつ、世界全体の成長を取り込むことが長期投資の鍵となる

 


 

FAQ:米国市場依存リスクと分散投資に関するよくある質問

 

Q1. 米国株に集中投資するとどんなリスクがありますか?

 

A. 最大のリスクは為替変動と米国特有の景気・政治リスクです。円高になるとドル建て資産の価値が目減りしますし、米国の金融政策や大統領選挙の結果が株価に大きく影響する可能性もあります。米国市場が世界経済の中心であるため、ショック時の影響は他国株式よりも大きくなるケースもあります。

 

Q2. 国際ETFは日本の証券会社から買えますか?

 

A. はい、EFA、VEA、EEM、VWO、VT、VXUSなど主要な国際ETFは楽天証券・SBI証券・マネックス証券といった国内大手ネット証券で購入可能です。海外口座を開設しなくても利用できる点はメリットといえるでしょう。ただしREIT ETF(VNQなど)は一部の証券では取り扱いがないため、確認が必要です。

 

Q3. REIT ETFのように国内証券で買えない商品はどうすればいいですか?

 

A. 国内証券で取扱いがないETFを購入したい場合、インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)などの海外証券口座を利用する方法があります。手数料や口座管理に一定のハードルはありますが、幅広いETFにアクセスできる点は大きな魅力です。

 

Q4. 為替リスクを完全に避けることはできますか?

 

A. 完全に避けるのは難しいですが、為替ヘッジ付き投資信託や外貨建て資産と円建て資産を組み合わせることで影響を軽減できます。また長期投資ではドルコスト平均法を活用することで、円高・円安の局面を均して投資できます。

 

Q5. 米国以外に分散するとリターンが下がるのでは?

 

A. 短期的には米国株よりパフォーマンスが劣る場合もありますが、長期的にはリスク分散効果により安定したリターンを得やすくなります。米国市場だけに依存すると下落時のダメージが大きいため、分散によるリスク低減はリターンの安定化につながります。

 

Q6. どのくらいの比率で国際ETFを組み込むべきですか?

 

A. 明確な正解はありませんが、一例として米国株60〜70%を軸にし、残りを国際ETFや債券、REITなどで補う形が一般的です。リスク許容度が低い場合は債券比率を増やし、成長を重視する場合は新興国株ETFを少し増やすといった調整も可能です。

 

Tags: インデックス投資
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。