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バリュー株指数の最近のパフォーマンス|S&P500とのリターン比較と投資戦略

By Staff | 2025-08-24

Category: インデックス投資

米国株式市場において、バリュー株とグロース株のどちらが強いかは長年の議論テーマです。

 

バリュー株は「割安株」とされ、安定した収益基盤を持ち、配当を重視する企業が多く含まれます。

 

代表的な指数としては Russell 1000 Value Index や S&P 500 Value Index があります。

 

2020年代に入り、コロナ禍や金利環境の変化を背景に、バリュー株の相対的な強さが注目される局面もありました。

 

しかし直近では再びグロース株が市場をリードしており、S&P500全体との比較で見るとバリュー株の立ち位置が明確になります。

 


 

バリュー株指数とは何か

 

バリュー株指数は、以下の基準をもとに銘柄を分類して構成されます。

 

  • PER(株価収益率)が低い
  • PBR(株価純資産倍率)が低い
  • 配当利回りが相対的に高い

 

代表的な指数は以下の通りです。

 

  • Russell 1000 Value Index:米国大型株のうち割安銘柄を抽出

     

  • S&P 500 Value Index:S&P500の中からバリュー特性を持つ銘柄を選定

 

どちらもエネルギー、金融、生活必需品などの比率が高く、ディフェンシブ性が特徴です。

 


 

最近のパフォーマンスの振り返り

 

2020年〜2021年

 

コロナショック後、テクノロジー株が急騰しグロース優位の展開が続きました。

 

Russell 1000 Valueは2020年に +2.8% にとどまり、同期間のS&P500(+18.4%)に大きく劣後しました。

 

2022年

 

金利上昇とインフレ進行で環境が変化。テック株が売られ、バリュー株が見直されました。

 

  • Russell 1000 Value:+0.2%

     

  • S&P500:-18.1%


    → この年はバリュー株がグロースや市場平均を大きく上回り、防御力の高さを示しました。

     

2023年

 

AIブームを背景にグロース株が再び強さを見せる一方、バリュー株は出遅れ。

 

  • Russell 1000 Value:+11%前後

     

  • S&P500:+26%前後


    → グロース株中心の上昇に押され、バリュー株は市場平均に劣後。

     

直近5年リターン(2019〜2023)

 

  • Russell 1000 Value:約 +47%

     

  • S&P500:約 +87%


    → 長期比較では依然として市場平均に届いていないことが分かります。

     


 

セクター別の影響

 

バリュー株指数の成績はセクター構成に強く左右されます。

 

  • エネルギー株:原油高局面ではリターンに大きく寄与
  • 金融株:金利上昇で追い風だが、景気後退時には不安要素
  • 生活必需品・ヘルスケア:安定的だが市場全体がリスクオンのときは出遅れる傾向

 

つまり、景気循環や金利動向によってパフォーマンスに明確な差が出やすいのが特徴です。

 


 

グロース株との比較で見える特徴

 

  • グロース株(特にテック・AI関連)は短期的な急成長がリターンを押し上げる
  • バリュー株は急騰こそ少ないが、暴落局面での下落幅が抑えられやすい
  • 2022年のような市場環境ではバリュー株が「守りの資産」として機能

 

つまり、バリュー株は市場平均に勝つ年もあるが、長期的にはS&P500の方が優位であることが過去のリターンから見て取れます。

 


 

投資手段としてのバリュー株ETF

 

米国市場ではETFを通じてバリュー株指数に投資できます。

 

  • Vanguard Value ETF (VTV):運用規模最大級、経費率0.04%と低コスト
  • iShares Russell 1000 Value ETF (IWD):幅広い大型株に投資可能
  • SPDR Portfolio S&P 500 Value ETF (SPYV):コスト重視のバリューETF

 

国内ネット証券でも多くが購入可能ですが、もし取り扱いがない場合は Interactive Brokers (IBKR) を利用することで選択肢が広がります。

 


 

今後の展望

 

  • 金利が高止まりする場合:グロース株が調整し、バリュー株に資金がシフトする可能性
  • 景気後退局面:ディフェンシブ性のあるバリュー株が相対的に強い
  • AIやテックの成長持続:再びグロース株が市場を牽引し、バリューは劣後する可能性

 

つまり、バリュー株指数は長期的にS&P500を上回るのは難しいものの、相場環境次第で強みを発揮できる場面は多く、ポートフォリオの安定性を高める手段となります。

 


 

まとめ

 

  • バリュー株指数は割安株を中心に構成され、ディフェンシブ性が特徴
  • 2022年はS&P500を大きく上回ったが、2023年は劣後
  • 過去5年の累計リターンではS&P500に明確に劣る
  • 長期投資では市場平均を中心にしつつ、景気局面に応じてバリュー株ETFをサテライト活用するのが現実的

 


 

FAQ

 

Q1. バリュー株指数は長期でグロース株より不利ですか?


A1. 過去20年で見るとグロース株が優位ですが、景気循環局面ではバリューが優位に立つ年もあります。

 

Q2. バリュー株ETFは配当狙いに向いていますか?


A2. 配当利回りはグロースETFより高めで、インカム投資にも適しています。

 

Q3. バリュー株と高配当株は同じですか?


A3. 重なる部分は多いですが、バリューは割安度を重視し、高配当は利回りを重視する点で異なります。

 

Q4. 日本の証券会社で買えるバリュー株ETFは?


A4. VTV、IWD、SPYVは主要ネット証券で取り扱いがあります。

 

Q5. 投資比率はどの程度が適切?


A5. コアはS&P500とし、バリュー株ETFは資産の5〜15%程度を目安に補完的に組み込むのが一般的です。

 

 

Tags: インデックス投資
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。