
VOO vs SPY vs IVV徹底比較|選ぶべきS&P500 ETFは?
By Staff | 2025-08-20
Category: インデックス投資
この記事の結論
S&P500に連動するETFの代表格であるVOO・SPY・IVVは、いずれも長期投資の「コア資産」として非常に優秀です。
パフォーマンスの差はほとんどなく、実際の選び方はコスト・流動性・使い勝手によって変わります。
- 長期積立なら、信託報酬の低いVOOやIVVが有力候補
短期売買やオプション取引を考えるなら、圧倒的流動性のSPY
3本の基本情報
VOOはVanguardが運用する低コストETF、SPYはState Streetが運用する世界最大規模のETF、IVVはBlackRockが運用するiSharesブランドで人気があります。
3本ともS&P500指数に連動していますが、ETFの仕組みに微妙な違いがあります。
特にSPYは「ユニット・インベストメント・トラスト(UIT)」という形態を採用しており、VOOやIVVのように貸株収益を還元できない点が特徴です。
コストの比較
信託報酬は次の通りです。
- VOO:約0.03%
- IVV:約0.03%
SPY:約0.0945%
数字だけを見ると、VOOとIVVが圧倒的に低コストです。
SPYは流動性の高さで人気を保っていますが、長期積立でコストを意識するならVOOやIVVが有利です。
また、日本から投資する場合は信託報酬のほかに為替手数料や証券会社の売買手数料、米国市場でのスプレッドといったコストも発生します。ただし、為替コストはどこで投資しても避けられませんし、長期保有が前提であれば売買手数料やスプレッドの影響は限定的です。
長期保有ではこれらのコスト差が資産形成に大きく影響します。
流動性とスプレッド
SPYは世界で最も取引されるETFのひとつで、出来高・板の厚さともに圧倒的です。
スプレッド(売買価格の差)も狭く、短期売買や大口取引でも安心感があります。
特にトレーディングやオプション取引を行う投資家にとっては、この高い流動性は大きな魅力です。
一方、VOOやIVVも十分な流動性を持っており、日常的な売買や長期保有には全く支障がありません。
荒れた相場ではSPYほどの安定感は劣る場合がありますが、長期投資家が積立やホールドを続ける上では問題になることはほとんどありません。
分配金とトラッキング差
3本とも四半期ごとに配当(分配金)を支払います。
日本の投資家の場合、原則として配当は現金で受け取ることになり、米国で行われているDRIP(自動再投資制度)は利用できません。
再投資を希望する場合は、自分で配当金を使って買い増す必要があります。
また、VOOやIVVは「オープンエンドETF」の仕組みを採用しており、保有株式を貸し出すことで得られる貸株収益をファンドに還元できます。
一方SPYはUIT型のためこの仕組みがなく、結果としてVOOやIVVの方がトータルの実効利回りがわずかに高くなる可能性があります。
トラッキングエラーについては3本とも指数に忠実ですが、VOOとIVVはより効率的な運用構造を持ち、長期的に見るとSPYより良好な結果を出すケースもあります。
長期パフォーマンスの比較とシミュレーション
過去10年程度のデータでは、3本の差はほぼゼロに近いです。
ただし、信託報酬の差が20〜30年と積み重なると、数十万円から数百万円の差になる可能性があります。
例えば、毎月5万円を年率5%で20年間積み立てた場合、将来価値はおよそ2,050万円になります。
ここで信託報酬の差が0.06%(SPYとVOO/IVVの差)あるとすると、20年間で最終的に約20万〜30万円の差が生まれる計算になります。
これは一見小さく見えますが、長期積立を続ける投資家にとっては無視できない金額です。
つまり「短期売買ではSPYの流動性が有利」「長期積立ではVOOやIVVのコスト差が効く」という構図になります。
日本の投資家が気をつけるべき点
配当課税は米国で10%が源泉徴収され、日本側でも課税されます。
NISAを使えば日本側の課税は非課税になりますが、米国課税10%は回避できません。
課税口座の場合は外国税額控除を活用することで軽減可能です。
VOO・SPY・IVVはいずれも為替ヘッジなしなので、円高局面では基準価額が下がるリスクがあります。
タイプ別のおすすめ
- コスト最優先で長期積立 → VOOまたはIVV
- 短期売買やオプション取引重視 → SPY
NISAでシンプルに積立 → 証券会社の再投資機能を確認のうえVOOまたはIVV
FAQ
Q:VOOとIVVはどう違う?
A:どちらも低コストで差は僅かです。証券会社のサービスや取引環境で選ぶのが現実的です。
Q:SPYはなぜ人気?
A:世界一の流動性を持ち、短期売買やオプション取引で圧倒的に使いやすいためです。
Q:NISAなら配当は全部非課税?
A:日本側の課税はゼロですが、米国の10%は残ります。
Q:為替ヘッジ版はある?
A:この3本はすべて為替ヘッジなしです。
Q:積立に向いているのはどれ?
A:コストの低いVOOやIVVが有利です。SPYは積立よりも売買向きです。
Q:どれを選ぶか迷ったら?
A:迷ったらVOOで問題ありません。Vanguardブランドの安心感と低コストが強みです。
Q:円高局面ではどうすべき?
A:一括投資を避けて積立を続けるのが基本戦略です。円高は安く買えるチャンスとも言えます。
Q:配当を再投資する方法は?
A:自動再投資は証券会社によって対応が異なります。非対応の場合は受け取った配当を自分で買い増す必要があります。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。