
VYM vs SCHD:どちらが長期投資に有利か?配当ETFを徹底比較
By Staff | 2025-09-11
Category: 配当成長投資
VYMは2006年にバンガードが設定したETFで、FTSE High Dividend Yield Indexに連動します。
特徴はなんといっても「広い分散」で、400銘柄以上に投資しているため、個別企業リスクが薄まります。
経費率はわずか0.06%と非常に低コストで、配当利回りはおおむね3%前後。
過去10年のリターンは年率約8〜9%程度で、安定感はあるものの、S&P500にはやや劣後する傾向があります。
ただし、長期で安定したインカムを提供する点は大きな強みです。
SCHDの特徴
一方、SCHDは2011年にチャールズ・シュワブが設定したETFで、Dow Jones U.S. Dividend 100 Indexに連動します。
こちらは厳選した約100銘柄に集中投資しており、ROEや配当成長履歴、財務健全性といった基準で選ばれています。
配当利回りはVYMよりやや高めの3.5〜4%程度。
さらに過去10年のリターンは年率11〜12%と、VYMを上回ってきました。
増配率が高い銘柄を多く含むため、配当金が時間とともに成長していく点も魅力です。
投資戦略の違い
両者の違いは「広く分散するか」「厳選するか」という点に集約されます。
VYM:400銘柄以上に広く分散し、リスクを抑えた安定志向
SCHD:約100銘柄に集中し、財務健全性と成長性を重視
この違いがリターンにも表れ、VYMは安心感が強く、SCHDは配当成長力が期待できるという特徴を持ちます。
過去リターンと配当成長の比較
数字で見てみましょう。過去10年間のトータルリターンは、VYMが約+140%(年率換算で8.9%)、SCHDが約+220%(年率換算で12%前後)と差が出ています。
配当金の成長率でも違いは明確です。
VYMの配当は安定していますが、伸び率は年率5%前後。一方、SCHDは直近10年間で年率10%近い増配を続けています。
つまり、将来の配当収入を重視するならSCHDが優勢です。
リスクとボラティリティ
リスク面も確認しておきましょう。
VYM:銘柄数が多いため分散効果が強く、ボラティリティはやや低め
SCHD:集中度が高いため、特定セクターの影響を受けやすい
とはいえ、2022年の下落局面では両者とも市場全体よりも下落を抑えており、高配当ETFならではのディフェンシブ性が発揮されました。
日本からの購入可否
VYMは楽天証券やSBI証券など主要ネット証券で購入可能ですが、SCHDは一部の日本の証券会社では取り扱いがありません。
楽天証券では購入できず、他の大手証券でも同様に制限されているケースがあります。
そのため、SCHDに投資したい場合はインタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)などの海外証券口座を利用する必要がある場合があります。
この点は実際に投資を検討する際に大きな差となるため、事前に自分の利用している証券会社での取り扱い状況を必ず確認しておく必要があります。
投資家タイプごとの適性
どちらが有利かは、投資目的によって変わります。
VYMは「より広い分散で安定的な配当収入を得たい人」に向いています。
SCHDは「配当成長を重視し、長期的にトータルリターンを高めたい人」に適しています。
また、両者を組み合わせることで安定と成長のバランスを取ることも可能です。
長期投資での結論
長期投資という観点では、配当金の成長力とトータルリターンの高さからSCHDに軍配が上がるケースが多いでしょう。
ただし、より分散を効かせた安定感を求めるならVYMも魅力的です。さらに、日本からの購入環境を考慮すると、入手しやすさではVYMに分があります。
最終的には投資目的に加え、自分が利用している証券会社での取り扱い状況も含めて判断するのが現実的です。
まとめ
VYMとSCHDはどちらも低コストで魅力的な高配当ETFですが、その性格は大きく異なります。
安定性を重視するならVYM、成長と複利効果を重視するならSCHD。
ただし、日本国内での購入可否も考慮すべき要素であり、SCHDを選ぶ場合は海外口座の利用が必要になる場合があります。
シンプルにどちらかを選ぶのではなく、ポートフォリオ全体のバランスと実際の購入環境を踏まえて判断することが大切です。
FAQ
Q1. VYMとSCHDの過去10年のトータルリターンに大きな差はありますか?
はい。VYMは年率約8〜9%、SCHDは11〜12%前後と、SCHDの方が高いリターンを示してきました。特に増配率の高さがリターンの差につながっています。
Q2. 配当利回りだけを見るとどちらが有利ですか?
直近ではSCHDの方がやや高い利回り(3.5〜4%程度)を示すことが多いですが、大きな差ではありません。むしろ「将来の配当成長」をどう評価するかが重要です。
Q3. セクター構成に違いはありますか?
VYMは金融、ヘルスケア、消費財など幅広く分散されています。SCHDは情報技術や工業株など、配当成長力のあるセクターへの比重が高めになる傾向があります。
Q4. 大きな下落局面ではどうでしたか?
VYMもSCHDも市場全体に比べて下落をある程度抑える傾向がありました。ただし、SCHDは銘柄数が少ない分、特定セクターの影響を強く受ける可能性があります。
Q5. 為替リスクはどちらに投資しても同じですか?
はい。どちらも米国ETFのため為替リスクは共通です。円高時に評価額が下がる点は注意が必要です。
Q6. 長期投資で再投資する場合、複利効果が大きいのはどちらですか?
配当成長率が高いSCHDの方が、再投資による複利効果が期待できます。特に10年以上の投資期間では差が広がりやすいです。
Q7. 信託報酬の面では違いがありますか?
どちらも0.06%と低コストで、信託報酬に関しては大きな差はありません。
Q8. 両方に分散投資するのは合理的ですか?
はい。VYMの安定性とSCHDの成長性を組み合わせることで、バランスの取れたポートフォリオを構築できます。
Q9. 日本のネット証券で両方とも買えますか?
VYMは楽天証券やSBI証券などで購入可能ですが、SCHDは取り扱いがない場合が多いです。IBKRなどの海外口座を使う必要が出てくる点に注意してください。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。