
配当成長インデックスの魅力|NOBL・VIG・SCHDの実績と日本からの投資方法
By Staff | 2025-08-22
Category: インデックス投資
米国株式市場には、安定した配当を支払い続け、さらに毎年増配している企業を集めた「配当成長インデックス」というカテゴリーがあります。
こうしたインデックスに連動するETFは、長期投資において「安定」と「成長」の両方を兼ね備えた投資対象として注目されています。
特に市場が荒れた局面でも底堅さを発揮し、投資家に安心感を与えてきました。
配当成長インデックスとは
配当成長インデックスは、増配実績を重視して銘柄を選定する株価指数です。代表的なものに以下があります。
S&P 500 Dividend Aristocrats:25年以上連続で増配している企業で構成
S&P 500 Dividend Kings:50年以上連続増配を続ける超優良企業群
これらに連動するETFとしては、NOBL(Dividend Aristocrats ETF)、VIG(Vanguard Dividend Appreciation ETF)、SCHD(Schwab U.S. Dividend Equity ETF)などが広く知られています。
ただし注意点として、SCHDは日本の証券会社(楽天証券等)では取り扱いがない場合が多く、購入したい場合はインタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)などの海外ブローカー口座を利用する必要があります。
魅力① 安定したキャッシュフロー
配当成長株に投資する最大のメリットは、定期的なキャッシュフローが得られることです。
たとえばNOBLは2020年のコロナショック時に株価が一時的に下落しましたが、その後も配当は安定して支払われ、増配傾向は崩れませんでした。
さらに配当を再投資することで複利効果が働き、長期的には市場平均を上回るリターンにつながる可能性があります。
魅力② インフレに強い
物価が上昇しても、増配企業は利益成長に応じて配当を引き上げます。
そのため、投資家の実質購買力を守る効果があります。米国の高インフレ局面であっても、VIGやNOBLは配当成長によってインフレの影響をある程度吸収できた点は大きな強みです。
債券のように利払いが固定されてしまう資産とは異なり、増配株はインフレに対応しやすい特徴を持っています。
魅力③ 長期的なリターン
過去データを見ると、配当成長インデックスは安定したリターンを残してきました。
NOBL(Dividend Aristocrats ETF)
過去10年(2014~2024年)の年率リターンは約10%(配当込み)。S&P500(SPY)の約11%にはわずかに劣りますが、2022年のような下落相場ではSPYが▲18%となったのに対し、NOBLは▲6%にとどまりました。VIG(Vanguard Dividend Appreciation ETF)
過去15年で年率約10.5%。特にリーマンショック以降の回復局面で力強さを発揮し、再投資込みのトータルリターンではS&P500に匹敵。SCHD(Schwab U.S. Dividend Equity ETF)
設立以来のリターンは年率12%以上。高配当かつ増配銘柄を組み合わせる戦略により、2022年にはプラスリターンを確保し、市場平均を大きく上回りました。ただし前述の通り、日本の証券会社から直接投資できない場合がある点には注意が必要です。
魅力④ 投資心理の安定
投資における大きな課題のひとつは「市場の荒れに耐えられるかどうか」です。
配当成長ETFは下落局面でも配当が入り続けるため、投資家は心理的に冷静さを保ちやすくなります。
配当を再投資すれば複利効果が働き、退職後のインカム源としても活用できます。
注意点と課題
もちろん配当成長インデックスにも課題があります。
- セクター偏り:生活必需品、ヘルスケア、公益株などが多く、ハイテク株は少なめ。
- 高成長株の除外:無配当で急成長中の企業は対象外。GAFAの一部は組み入れられないこともある。
- 短期的なパフォーマンスの差:市場が強気相場の時には、グロース株中心のS&P500に劣後するケースもある。
投資戦略への組み込み方
配当成長インデックスは単独でポートフォリオの中心に据えるよりも、S&P500やVTIと組み合わせることで安定性を高めるのがおすすめです。
- コア資産:VOOやVTI(市場全体への投資)
- サテライト資産:NOBLやVIGで配当成長株を補完
- インカム重視:SCHDは魅力的だが日本のネット証券では購入困難。どうしても投資したい場合はIBKRなど海外ブローカーを検討する価値あり。
こうすることで、市場平均の成長性と配当成長株の安定性を両立できるでしょう。
まとめ
配当成長インデックスは、単なる「配当狙い」ではなく、長期にわたり成長と安定を両立させる投資手段です。
特に相場が不安定な時期には強みを発揮し、配当込みのリターンでは市場平均を大きく上回る局面もあります。
ETFを利用すれば手軽に投資できますが、銘柄によっては日本の証券会社で購入できないものもあるため注意が必要です。
長期資産形成を目指す投資家にとって、有力な選択肢のひとつと言えるでしょう。
FAQ:配当成長インデックス投資に関するよくある質問
Q1. 配当成長ETFと高配当ETFの違いは何ですか?
A. 高配当ETFは「現在の配当利回り」を重視して銘柄を選びます。一方、配当成長ETFは「長期的に増配を続けられる企業」を中心に構成されます。短期的な利回りは高配当ETFのほうが高い場合がありますが、長期的な安定成長を狙うなら配当成長ETFが適しています。
Q2. 配当成長ETFはS&P500よりもリターンが低いのですか?
A. 通常の強気相場では、グロース株を多く含むS&P500のほうが高いリターンを出すこともあります。しかし、2022年のような下落局面ではNOBLやSCHDが市場平均を大きく上回る成績を残しました。長期的に見ると、リスク調整後のリターンで優位性が発揮されやすいのが特徴です。
Q3. 日本の証券会社からでも投資できますか?
A. NOBLやVIGはSBI証券・楽天証券などで取引可能です。しかしSCHDは取り扱いがない場合が多いため、どうしても投資したい場合はIBKRなど海外ブローカーを利用する必要があります。
Q4. 配当は自動的に再投資されますか?
A. 米国ETFの配当は原則として現金で支払われます。日本の証券会社では自動再投資(DRIP)が使えないケースが多いため、受け取った配当を自分で再投資する必要があります。これを続けることで長期的な複利効果が期待できます。
Q5. 初心者はどのETFから始めればいいですか?
A. 「市場全体への分散」を重視するならVIGが適しています。配当利回りを重視するならSCHDが候補になりますが、日本の証券会社では買えないためIBKR口座が必要です。よりシンプルに始めたい場合は、まずVOOやVTIを保有し、その上でNOBLやVIGを組み合わせるのが堅実なアプローチです。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。