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Oklo、2025年第2四半期で受注容量14GW超に拡大 Aurora高速炉と燃料リサイクルで市場開拓加速

By Staff | 2025-08-12

Category: マーケット情報

米Oklo Inc.(NYSE: OKLO)は2025年8月11日、6月30日までの第2四半期決算を発表しました。


同社は金属燃料高速炉技術を用いた小型原子力発電「Auroraパワーハウス」の商業化を進め、ビルド・オウン・オペレート(BOO)モデルによる電力・熱の直接販売を主軸に、クリーンで安定したエネルギー供給を目指しています。


今四半期は受注容量の急拡大、規制進展、戦略的買収など、商業化に向けた基盤固めが進みましたが、事業は依然として先行投資段階にあり、赤字が続いています。

 


 

1. 財務概要

 

  • 現金・現金同等物+有価証券:6億8,296万ドル(前年末から約2.4倍増)
    → 6月の公募増資で4億4,160万ドルを調達
  • 純損失(上期):3,449万ドル(前年5,131万ドルから赤字幅縮小)
  • 営業キャッシュアウト(上期):3,071万ドル(前年1,704万ドル)
  • 累積赤字:1億6,960万ドル
  • 2025年通期営業キャッシュアウト予想:6,500万〜8,000万ドル

     

費用増加は主に人員拡大と事業準備に伴うもので、R&D費用は前年比+34.3%、G&A費用は+146.9%となりました。

 


 

2. 事業モデルと戦略

 

  • BOOモデル:自社で設計・建設・所有・運営し、電力・熱を直接販売(PPA契約)。
  • 垂直統合(燃料リサイクル):使用済み核燃料を再利用可能な燃料に変換する技術を開発中。
  • ターゲット市場:ビル・交通・産業の電化需要、発展途上国の空調需要、データセンター電力需要。

     

このモデルは安定的な長期収益とプロジェクトファイナンスの柔軟化を狙います。

 


 

3. 技術・燃料

 

  • Auroraパワーハウス:15〜75MWe(将来100MWe以上対応)で運転可能、金属燃料高速炉設計。
  • 燃料柔軟性:新燃料または再生燃料に対応。
  • 燃料供給確保:米国エネルギー省(DOE)アイダホ国立研究所から高濃縮低濃度ウラン(HALEU)5トンを取得。
  • 潜在的エネルギー資源:米国の使用済み核燃料に約12億BOE相当のエネルギーが存在すると試算。

     


 

4. 規制進展・プロジェクト状況

 

  • COL申請準備:米原子力規制委員会(NRC)によるフェーズI事前評価を完了、「重大な欠陥なし」と判定。
  • サイト権利:DOEからアイダホ国立研究所(INL)サイトの使用許可取得。
  • 初号機予定地:アイダホ州(2027年末〜2028年初稼働予定)、施工業者にKiewitを選定。
  • 他拠点展開:オハイオ州南部に2基建設予定、アラスカ州アイリエルソン空軍基地への供給契約。

     


 

5. 商業パイプラインの拡大

 

  • 受注容量(LOI+MPA):1万4,100MWe(2023年7月比+2,000%)
  • 大型契約:Switch Data Centersと12GWのマスターパワー契約(企業向けPPAとしては最大級)。
  • 主要顧客LOI:Equinix、Diamondback Energy、Prometheus Hyperscaleなど。
  • 追加LOI:データセンター向け750MWe分。

     


 

6. 戦略的買収(Atomic Alchemy)

 

  • 買収額:2,840万ドル(現金90万ドル+株式2,740万ドル)
  • 目的:医療・産業・防衛・AI向けラジオアイソトープ供給事業に参入。
  • 主要プロジェクト
    • Abundantia(2026年収益化予定、精製ラジウム)
    • Meitner(多目的同位体生産炉による同位体供給)
  • 規制対応:ラジオアイソトープの取扱・製造・販売に必要なNRCライセンス取得進行中。

     


 

7. 主なリスク

 

  1. 規制不確実性:原子炉設計・建設・運転の許認可取得時期は不透明。
  2. コスト構造:燃料・鋼材など資材価格、建設費の変動に直接影響を受ける。
  3. サプライチェーン:地政学リスク・インフレによる遅延やコスト上昇。
  4. 世論依存:原子力発電に対する政治的・社会的支持の喪失リスク。
  5. 内部統制の弱点:複雑な取引処理に関する重大な不備を指摘、2025年末までに是正予定。

     


 

8. 今後の見通し

 

  • 短期:COL申請の本格化、初号機建設準備、PPAの契約化。
  • 中期:Aurora燃料製造施設の稼働、データセンター需要向けのマルチサイト展開。
  • 長期:燃料リサイクル事業・ラジオアイソトープ事業の収益化による収入多角化。

 

 

Tags: 個別株 OKLO
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「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。