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アッヴィ(ABBV)の高配当戦略:医薬品セクターで輝く配当成長株

By Staff | 2025-09-14

Category: 配当成長投資

アッヴィ(AbbVie, ABBV)は、2013年にアボット・ラボラトリーズから分社化して誕生した米国製薬大手です。

 

免疫疾患や腫瘍領域を中心に強力な製品群を展開し、世界的な医薬品メーカーの中でも収益力の高さで知られています。

 

特に関節リウマチ治療薬「ヒュミラ(Humira)」は長年トップセラーとなり、同社の成長をけん引しました。

 

一方で、ヒュミラの特許切れを見据えて、スカイリジ(Skyrizi)やリンヴォック(Rinvoq)など新世代の薬剤を積極的に育成。

 

さらに美容医薬品ボトックスを持つアラガンを買収するなど、事業の多角化も進めています。

 


 

配当実績の推移

 

アッヴィは分社化以降、力強い増配を続けています。

 

2015年の年間配当は2.02ドルでしたが、2025年には6.47ドルまで拡大しました。

 

10年間で約220%増加し、年平均成長率(CAGR)は約12.3%に達します。

 

例えば2015年に100株を保有していた場合、当時の年間配当収入は202ドルでした。

 

それが2025年には647ドルに増え、10年間で445ドルの増収となります。

 

単なる高配当株にとどまらず、配当成長株としての魅力が際立っています。

 


 

高配当戦略の魅力

 

直近の四半期配当は1.64ドルで、年間換算6.56ドル。

 

株価水準を考えると配当利回りは約3%前後と、市場平均を大きく上回ります。

 

さらに安定的な増配を続けているため、単なる「高利回り」ではなく「高配当+配当成長」の両方を兼ね備えています。

 

特に製薬セクターは景気変動に左右されにくい点が強みです。

 

景気後退局面でも医薬品需要は一定水準を維持するため、安定したキャッシュフローが確保されます。

 

その結果、配当を途切れさせずに支払い続けられる余地があります。

 


 

財務状況と配当持続性

 

注意すべき点は配当性向の高さです。

 

アッヴィはおおむね60〜80%台と高めの水準にあり、利益の大部分を配当に回しています。

 

このため、利益が減少した場合には増配余地が限られるリスクがあります。

 

とはいえ、同社は強力なフリーキャッシュフローを生み出しており、研究開発や負債返済を行いながらも配当を支払う力を持っています。

 

新薬群が順調に拡大していることもあり、当面の配当持続性は高いといえるでしょう。

 


 

投資家にとってのメリット

 

アッヴィの投資メリットは以下の点に集約されます。

 

  • 配当利回り3%前後の高水準を維持
  • 10年間で220%増配、CAGR12.3%超の実績
  • 医薬品需要に支えられた景気耐性の強さ
  • 新薬群の成長による今後の増配余地

 

長期的に見れば、安定したキャッシュフローと新薬の拡大によって配当成長を続ける可能性が高いと考えられます。

 


 

リスクと注意点

 

一方で、以下のようなリスクも存在します。

 

  • ヒュミラの特許切れによる売上減少
  • 新薬開発の成功・失敗が業績を大きく左右
  • 米国政府による薬価引き下げ政策の影響
  • 高い配当性向による柔軟性の低下

 

投資家は、これらのリスクを織り込んだ上で、配当収入と成長性をどのようにバランスするかを判断する必要があります。

 


 

他の配当株との比較

 

  • コカ・コーラやP&Gは利回りは2〜3%台で安定性重視。アッヴィは同等利回りながら増配率で大きく上回る。
  • ジョンソン・エンド・ジョンソンは幅広い事業分散が強み。アッヴィは免疫・腫瘍領域に特化し成長ドライバーが明確。
  • メルクやブリストル・マイヤーズと比べても、アッヴィの配当成長力は際立っている。

 


 

まとめ

 

アッヴィ(ABBV)は、配当利回り3%前後を維持しながら過去10年で220%の増配を実現した製薬株です。

 

配当性向は高めであるものの、強固なキャッシュフローと新薬群の成長によって持続的な配当戦略を維持しています。

 

特許切れリスクや政策要因には注意が必要ですが、「高配当+高成長」という二つの魅力を併せ持つ銘柄として、長期投資におけるポートフォリオの中核候補となる可能性があります。

 


 

FAQ

 

Q1. アッヴィの現在の配当利回りはどのくらいですか?


→ 直近では約3%前後で、市場平均を上回る水準です。短期的な高利回りというよりも、長期的な増配によるインカム拡大を狙えるのが特徴です。

 

Q2. 過去10年でどの程度増配しましたか?


→ 2015年に1株あたり2.02ドルだった年間配当は、2025年には6.47ドルまで増加しました。これは約220%の増配で、年平均成長率(CAGR)はおよそ12.3%に相当します。

 

Q3. 配当性向が高いのはリスクになりますか?


→ 配当性向は60〜80%とやや高めで、利益の大部分を株主還元に回しています。そのため利益が減少した場合には増配の余地が狭まりますが、アッヴィは強力なフリーキャッシュフローを持つため、短期的には持続可能と考えられます。

 

Q4. ヒュミラの特許切れは配当に影響しますか?


→ ヒュミラは売上の柱でしたが、特許切れによる売上減少は既に織り込み済みです。その穴を埋める形でスカイリジやリンヴォックが成長しており、配当への大きな影響は限定的と見られます。

 

Q5. 他の製薬株と比べた際の特徴は何ですか?


→ ジョンソン・エンド・ジョンソンは事業分散による安定性、メルクは免疫治療薬による成長性が特徴です。アッヴィは「高配当+高い増配率」の両立が際立ち、配当重視の投資家にとって魅力的です。

 

Q6. 長期投資に適していますか?


→ 高配当を維持しつつ成長も狙えるため、配当再投資戦略や長期保有に非常に適しています。景気後退局面でも医薬品需要は底堅く、安定したインカムが期待できます。

 

Q7. 配当以外の株主還元はありますか?


→ アッヴィは自社株買いも積極的に行っており、総還元性向はさらに高い水準です。配当と自社株買いを組み合わせることで、株主価値を多方面から高めています。

 

Q8. 為替リスクは考慮すべきですか?


→ 米国株投資であるため、日本円に換算する際には為替変動が影響します。円高局面では配当収入が目減りする可能性があるため、為替ヘッジの有無も投資判断に関わります。

 

Q9. 今後の増配余地はどの程度ありますか?


→ 現状の配当性向は高いものの、新薬の売上拡大とフリーキャッシュフローの増加によって、今後も中長期的な増配が可能と見られます。二桁成長は難しくても、5〜7%程度の年平均増配は十分に期待できます。

 

Q10. 短期的な株価下落局面は投資機会になりますか?


→ 特許切れや薬価政策などで株価が調整する局面はあり得ますが、長期的には増配とキャッシュフローが株価を下支えします。中長期保有を前提とする投資家にとって、下落局面は仕込みのチャンスとなる可能性があります。

 

Q11. 医療政策の変更によるリスクは?


→ 米国政府が医薬品価格の引き下げを進める可能性は常にあります。ただしアッヴィは幅広いポートフォリオを持つため、単一薬剤への依存度が低下しつつあり、リスク分散が進んでいます。

 

Q12. 配当を再投資した場合の効果は?


→ 過去10年間で配当が約3倍以上になったことを考えると、再投資による複利効果は極めて大きいです。高い増配率を背景に、長期で保有すれば資産形成に大きく寄与します。

 

 

 

Tags: 配当株 ABBV
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。