アマゾン(AMZN)2025年第3四半期決算|売上1,801億ドル、AWSと広告が成長を牽引
By Staff | 2025-11-01
Category: マーケット情報
アマゾン・ドット・コム(NASDAQ: AMZN)は2025年10月30日に2025年第3四半期決算(対象期間:2025年7月〜9月)を発表しました。
前年同期比で売上が大きく伸びた一方、営業利益はほぼ横ばいとなる結果でした。
四半期全体の業績概要
今回の決算では、売上と純利益の伸びが確認されましたが、費用増の影響が営業利益を抑えました。
・売上高:1,801億ドル(前年同期比+13.4%、前年:1,589億ドル)
・営業利益:174億ドル(前年同期比+0.1%)
・純利益:212億ドル(前年同期比+38.2%、前年:153億ドル)
・1株当たり利益(EPS):1.95ドル(前年:1.43ドル)
純利益増の背景として、AI企業「Anthropic(アンソロピック)」投資による評価益102億ドルが大きく貢献しています。
セグメント別:ECとクラウド事業の動き
アマゾンは大きく三つの事業に分かれ、それぞれが異なる課題と成長を示しました。
・北米事業:売上1,062億ドル(+11.2%)、営業利益48億ドル(前年:57億ドル)
・国際事業:売上409億ドル(+14.0%)、営業利益12億ドル(前年:13億ドル)
・AWS(クラウド):売上330億ドル(+20.2%)、営業利益114億ドル(前年:104億ドル)
AWSは引き続き2桁成長を維持し、利益面への貢献度も大きいことが分かります。
売上構成:広告とサードパーティサービスが存在感
アマゾンは多角的な収益構造を持ち、主要項目は以下の通りです。
・オンラインストア:674億ドル(+9.8%)
・サードパーティセラー向けサービス:425億ドル(+12.2%)
・AWS:330億ドル(+20.2%)
・広告サービス:177億ドル(+23.5%)
・サブスクリプション:126億ドル(+11.5%)
・実店舗:56億ドル(+6.7%)
特に広告売上は、前年同期比で約34億ドル増加しており、成長源のひとつとして定着しています。
営業利益が伸び悩んだ要因:一時費用の集中
今四半期は営業利益174億ドルと前年並みでしたが、その背景には以下の費用増があります。
・FTC(米連邦取引委員会)との和解費用:25億ドル
・人員削減関連費用:18億ドル
いずれも北米セグメントを中心に計上され、短期的に利益を押し下げる形となりました。
AI・AWSへの大型投資が加速
アマゾンは将来の成長につながる分野への資金投入を継続しています。
・設備投資額(1〜9月累計):923億ドル
(前年同期:552億ドル → 約371億ドル増)
・AI企業Anthropicへの投資評価額:累計約237億ドル
・サーバー耐用年数を6年 → 5年へ短縮
→ Q3の減価償却費が3.92億ドル増加
これらは短期の費用増につながる一方、AWS競争力強化を目的とした取り組みです。
財務基盤と現金創出力
アマゾンは依然として強い財務体質を維持しています。
・営業キャッシュフロー(直近12ヶ月):1,306億ドル
・長期負債:507億ドル(前年末:526億ドル)
借入余力の高い信用枠を確保しつつ、現金創出力が維持されている点が特徴です。
規制・税務リスクの動向
国際展開するアマゾンは各地域で異なる法規制の影響を受けています。
・米・英・カナダ:独占禁止法訴訟が複数進行
・イタリア:罰金が11.3億ユーロから7.52億ユーロに減額
・インド/ルクセンブルク:税務関連争いが継続中
これらは潜在的な費用発生リスクとして存在しています。
会社見通し:2025年Q4ガイダンス
アマゾンは次期(年末商戦を含む第4四半期)について、次の計画を示しました。
・売上予想:2,060億〜2,130億ドル
・営業利益予想:210億〜260億ドル
前提として、大型の買収や新たな法的和解を除いています。
まとめ
2025年第3四半期のアマゾンは、
・売上が前年同期比で約212億ドル増
・AWSと広告事業が引き続き2桁成長
・AI・クラウド領域への投資が本格化
・営業利益は一時費用の影響で横ばい
といった特徴が見られました。
国際的な規制対応は課題となりますが、売上の多様化とクラウド事業の伸びによって、事業規模は拡大基調にあります。
次の決算では年末商戦の影響が反映され、事業の季節性がどのように表れるかが注目ポイントとなりそうです。
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「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。