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Apple(AAPL)2025年度決算|売上4162億ドル・サービス事業が成長を牽引【中国は続落】

By Staff | 2025-11-01

Category: マーケット情報

Apple(NASDAQ: AAPL)は2025年9月末に終了した2025年度決算を発表しました。

 

四半期ではサービスとMacが安定した成長を維持し、通期では売上と利益が堅調に伸びました。

 

一方で、中国市場の弱含みや規制リスクの高まりが明確になった1年でもあります。

 


 

第4四半期(Q4)レビュー:サービスとMacが下支え

 

Appleは四半期単体の詳細な数値を示していませんが、次の動きが強調されています。

 

・サービス事業の売上が引き続き増加
・Mac販売が好調で、高価格帯モデルが貢献
・iPhoneはプロモデル中心に安定推移
・ウェアラブルは前年を下回る
・中国市場の競争環境が厳しい状態が継続

 

粗利益面では、サービス売上の構成比増により、為替や関税要因を一部吸収した形です。


holidayシーズン前としては堅調な内容と言えます。

 


 

通期(2025年度)通算業績:売上4162億ドル、純利益1120億ドル

 

2025年度の主要指標は次の通りです。

 

・売上高:4162億ドル(2024年:3910億ドル → +6%)
・営業利益:1330億ドル(1232億ドル → +8%)
・純利益:1120億ドル(937億ドル → +19%)
・希薄化後EPS:7.46ドル(6.08ドル → +23%)
・粗利率:46.9%(46.2% → +0.7ポイント)

 

純利益の増加幅が大きい理由として、前年欧州関連税務の一時負担が影響した反動が挙げられます。

 


 

製品カテゴリ別:サービスの拡大とウェアラブルの鈍化

 

売上構成の変化が明確となった年でした。

 

・サービス:1092億ドル(961億ドル → +14%)
・Mac:337億ドル(300億ドル → +12%)
・iPhone:2096億ドル(2012億ドル → +4%)
・iPad:280億ドル(267億ドル → +5%)
・ウェアラブル等:357億ドル(370億ドル → -4%)

 

サービス事業が全体の26%まで拡大し、粗利益ベースでは4割超を占める水準に到達しています。


ハードウェアに比べ高収益であり、財務改善の柱となりました。

 


 

地域別業績:日本と欧州が牽引、中国は2年連続減少

 

地域別の通期売上は次の通りです。

 

・日本:287億ドル(250億ドル → +15%)
・欧州:1110億ドル(1013億ドル → +10%)
・アジア太平洋(その他):337億ドル(307億ドル → +10%)
・米州:1784億ドル(1670億ドル → +7%)
・中国:644億ドル(670億ドル → -4%)

 

中国ではiPhone販売競争の激化が影響しましたが、Mac販売は一部回復傾向があります。

 


 

粗利率とコスト構造:サービスが全体を押し上げ

 

2025年度は製品とサービスの収益性の差が拡大しました。

 

・サービス粗利率:75.4%(73.9% → 改善)
・製品粗利率:36.8%(37.2% → 低下)

 

新関税の影響が製品部門に残る一方、高粗利のサービスがポートフォリオ全体を改善させています。

 


 

競争環境:強力なブランドでもシェアは少数派

 

Appleは自社の市場定義について、あくまで競争の中心にあると強調しています。

 

・スマホ、PC、タブレット、ウェアラブルいずれも世界市場で少数派シェア
・価格競争が激しく、差別化の持続が不可欠
・模倣や特許侵害リスクへの懸念も継続

 

高価格帯戦略が維持できるのは、ブランド力と垂直統合モデルによる差別化が前提です。

 


 

サプライチェーン:高効率と高リスクの両立

 

Appleの製造戦略は引き続きアウトソーシングが中心です。

 

・製造は主に中国、インド、韓国、日本、台湾、ベトナム
・一部コンポーネントは単一サプライヤー依存
・直接販売40%、間接販売60%が継続

 

非常に効率的な一方で、供給停止リスクには敏感な構造です。

 


 

法規制と訴訟リスク:複数地域での監視下に

 

現在 Apple が直面している主な動きは以下の通りです。

 

・米司法省によるスマホ市場での独禁法訴訟
・EUのデジタル市場法違反で5億ユーロ制裁(控訴中)
・Epic Games訴訟で不利な判断と刑事判断の審査対象となる可能性
・Google検索契約への間接影響の懸念

 

規制強化はサービス収益モデルに影響を及ぼすリスクがあると指摘されています。

 


 

地政学リスク:関税が粗利益を圧迫

 

2025年第2四半期以降に導入された米国の新関税により、

 

・製品コスト上昇の継続
・アジア集中サプライチェーンへの圧力増大

 

といった課題が明確化しました。

 


 

株主還元:総額1047億ドルの規模に

 

・自社株買い:893億ドル
・配当:154億ドル
・新たな1000億ドル枠を承認済み(2025年5月)

 

キャッシュフローが潤沢で、政策面では依然積極姿勢が継続しています。

 


 

まとめ:高い収益性を維持する一方で、外部環境は複雑に

 

2025年度のAppleは次の点が特徴です。

 

・サービスが成長と利益率改善の中心
・ハードウェアの成長は地域により強弱が分かれる
・中国市場は引き続き競争環境が厳しい
・関税や規制による外部リスクが増大
・効率と脆弱性が共存するサプライチェーン構造が継続

 

Appleは依然として世界トップクラスの収益モデルを維持しているものの、今後の事業運営は、政策や規制動向の影響を慎重に見極めながら行う必要があると考えられます。

 

Tags: 個別株 AAPL
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投資忍者 プロフィール

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「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。