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アーテジアン・リソーシズA(ARTNA)の配当実績と今後の投資展望

By Staff | 2025-09-18

Category: 配当成長投資

アーテジアン・リソーシズA(Artesian Resources Corporation Class A、ティッカー:ARTNA)は、米国デラウェア州を中心に水道事業を展開する公益企業です。

 

生活に欠かせないインフラを担うため、景気変動に左右されにくい安定したキャッシュフローを生み出しています。

 

公益株は一般的に成長性よりも安定性が重視され、配当を軸とした長期投資に適していると考えられます。

 

ここではARTNAの配当実績、利回り推移、そして将来の投資展望について詳しく見ていきます。

 


 

ARTNAの事業概要と特徴

 

ARTNAは約30万人の顧客に上水道サービスを提供しており、規制当局の監視下にあるため料金改定は制限される一方で、事業の独占性が確保されています。

 

水道事業は景気に左右されにくく、人口動態やインフラ需要といった長期的なテーマに支えられており、安定性と持続可能性を兼ね備えています。

 

さらに、近年はESG投資の観点から水資源の重要性が高まっていることも追い風です。

 


 

配当の基本データ

 

直近の配当データを整理すると以下のようになります。

 

  • 直近1年(2024年)の年間配当総額:1.1821ドル
  • 予想配当(2025年):1.23ドル前後
  • 直近株価(2025年9月時点):約32.3ドル
  • 予想年間配当利回り:約3.8%
  • 配当性向:55.6%

 

配当性向が50%台である点は健全性を示しています。

 

利益の半分程度を株主還元に充て、残りを設備更新や成長投資に回していることになります。

 


 

配当履歴の推移

 

ARTNAは長期にわたり安定配当を継続してきました。

 

具体的な増配実績を確認すると、緩やかながらも右肩上がりの傾向が見えます。

 

  • 2008年:年配当0.707ドル
  • 2015年:年配当0.873ドル
  • 2020年:年配当1.005ドル
  • 2024年:年配当1.182ドル
  • 2025年予想:1.23ドル

 

この間の10年平均増配率は年2〜3%台と控えめですが、金融危機やパンデミックといった不況期にも減配していない点が特筆されます。

 


 

株価とトータルリターンのイメージ

 

配当だけでなく、株価の推移も投資判断には欠かせません。たとえば、

 

  • 2015年初頭に株価約22ドルで100株(約2,200ドル)を購入したと仮定します。
  • その後10年間で株価は約32ドルに上昇し、含み益は約1,000ドル。
  • 同期間に受け取った累計配当はおよそ10ドル超/株、合計1,000ドル前後。

 

結果として、投資元本2,200ドルに対して約2,000ドルのリターンを得ており、トータルリターンは90%程度に達します。

 

年率換算すると6%台後半の水準で、公益株としては十分に堅実な成果といえます。

 


 

今後の成長要因

 

ARTNAの将来性を支えるポイントは以下の通りです。

 

  • 水道インフラ需要の継続:人口動態により水の需要は減らない
  • 設備更新・拡張投資:老朽化インフラ更新による収益基盤強化
  • 規制当局による料金改定:安定的なリターンを確保しやすい
  • ESG投資資金の流入:環境面での評価が高まり投資家需要が増す

 

公益株であるため爆発的な成長は期待しにくいですが、長期的に着実な配当成長が見込めます。

 


 

リスク要因

 

もちろんリスクも存在します。

 

  • 規制産業ゆえの成長制約
  • 金利上昇局面でのセクター全体の逆風
  • 設備投資負担によるキャッシュフロー圧迫
  • 水資源や環境リスクへの対応コスト

 

特に2025年時点ではフリーキャッシュフローがマイナス圏にある点には注意が必要です。

 

長期的には利益と配当を維持できるかどうかが重要なポイントです。

 


 

投資戦略の視点

 

ARTNAは大きな株価上昇を狙う銘柄ではなく、安定配当を目的にポートフォリオに組み入れるのが適切でしょう。

 

公益株はインフレ局面では相対的に不利になることがありますが、長期的に配当を受け取りながら安定収益源として位置付けることができます。

 

VTIやVOOのようなインデックスETFと併用することで、分散投資効果を高める戦略も考えられます。

 


 

FAQ

 

Q1. ARTNAの配当利回りは他の公益株と比べてどうですか?


直近の利回りは約3.8%と、米国公益株全体の平均(3%前後)よりやや高めです。安定性と利回りのバランスが取れているといえます。

 

Q2. これまで減配はありましたか?


直近20年以上にわたり減配はなく、むしろ緩やかな増配を継続しています。

 

Q3. 配当再投資をするとどのくらい効果がありますか?


仮に過去10年間配当を再投資していれば、年率リターンは6%台後半から7%台に向上する試算です。

 

Q4. 公益株は金利上昇に弱いと聞きますが?


金利が上がると債券の利回りが魅力的になり、公益株の相対的魅力は下がりやすいです。ただし、ARTNAは配当成長と規制産業の安定性があるため、長期保有の観点ではリスク分散の役割を果たせます。

 

Q5. ポートフォリオにおける位置づけは?


大きな値上がり益を狙うよりも、長期的なインカムゲインを狙う安定枠として適しています。

 


 

まとめ

 

アーテジアン・リソーシズA(ARTNA)は、安定配当を長期的に受け取りたい投資家にとって有力な選択肢です。

 

過去の実績を見る限り、景気変動に強く、減配リスクが低い点は大きな魅力です。

 

利回りも3.8%前後と公益株としては水準が高く、配当性向も無理のない範囲に収まっています。

 

成長性は控えめですが、堅実な資産形成の一助となる銘柄といえるでしょう。

 

 

Tags: 配当株 ARTNA
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。