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アプターグループ(ATR)の累進配当と投資妙味|32年連続増配の安定感

By Staff | 2025-09-18

Category: 配当成長投資

アプターグループ(AptarGroup、ティッカー:ATR)は、化粧品・医薬品・食品向けパッケージング分野で世界的に事業を展開する米国企業です。

 

同社の最大の特徴は「累進配当」を掲げ、32年連続で増配を続けている点にあります。

 

利回り自体はそれほど高くないものの、安定的な増配方針と持続可能な事業モデルに支えられた長期投資妙味が魅力です。

 


 

企業概要と事業モデル

 

ATRは、日用品や医薬品に欠かせないディスペンサー、ポンプ、エアレス容器などを製造・供給しています。

 

世界的な消費財ブランド企業を顧客に持ち、日常生活に直結した需要を背景に安定した収益基盤を築いています。

 

  • 化粧品やスキンケア市場での需要拡大
  • 医薬品向けディスペンサー分野でのシェア拡大
  • 環境配慮型パッケージ(リサイクル可能素材)の需要増加

 

こうした要素が同社の中長期的な成長を支えています。

 


 

配当の基本データ

 

直近の配当指標は以下の通りです(2025年9月時点)。

 

  • 年間配当額(予想):1.92ドル
  • 配当利回り:約1.43%
  • 配当性向:約30%
  • 配当頻度:四半期ごと
  • 連続増配年数:32年

 

利回り自体は公益株や高配当ETFと比べると低めですが、配当性向が30%前後と余裕があり、増配余地が大きい点が投資家にとって安心材料となります。

 


 

配当履歴の推移と安定性

 

ATRは2000年代以降も一度も減配せず、着実に配当を引き上げてきました。

 

  • 2008年:年配当1.14ドル
  • 2015年:年配当1.14ドル(増配率4.5%)
  • 2020年:年配当1.44ドル
  • 2023年:年配当1.58ドル
  • 2024年:年配当1.72ドル
  • 2025年予想:1.83ドル

 

この間の10年配当CAGR(年平均成長率)は約3%前後。

 

大幅な増配ではないものの、確実に積み上げている姿勢が評価されています。

 


 

株価推移とトータルリターン

 

ATRは株価の成長力と配当成長の両方を兼ね備えています。

 

例えば2015年に株価約70ドルで100株(約7,000ドル)を購入した場合、2025年9月時点では株価が約134ドルに上昇し、評価額は13,400ドルとなります。

 

さらにこの10年間で累計配当は1,500ドル超を受け取ることができ、トータルでは約14,900ドル。

 

投資元本に対して2倍以上となり、年率換算で約7%台のリターンを実現した計算になります。

 

S&P500と比べると若干劣るものの、ディフェンシブな事業モデルと減配リスクの低さを考慮すると、十分に堅実な投資成果といえるでしょう。

 


 

成長要因と将来性

 

ATRの成長を支える要素は以下の通りです。

 

  • 世界的な消費財市場の拡大とブランド企業からの継続的需要
  • 医薬品分野でのディスペンサー需要増(高齢化社会・新薬開発の影響)
  • 環境配慮型パッケージの採用増加による新規需要
  • グローバル展開による地域分散効果

 

これらは短期的な景気変動に左右されにくく、累進配当の基盤を支えています。

 


 

リスク要因の整理

 

ATRへの投資では、以下のリスクも考慮する必要があります。

 

  • 為替変動リスク(売上の多くを海外から得ているため)
  • 原材料価格(プラスチック・金属など)の高騰によるコスト圧迫
  • 消費財市場全体の景気感応度
  • ESG規制による追加投資負担の可能性

 

短期的にはマージン圧迫要因となる場合もありますが、配当性向の低さがクッションとなり、安定的な増配が続く可能性は高いと考えられます。

 


 

投資妙味

 

ATRの投資妙味は、利回りよりも「累進配当」と「堅実な成長性」にあります。

 

  • 高配当ではないが、32年連続増配で信頼性は極めて高い
  • 配当性向が低いため、今後も増配余地がある
  • 株価上昇とインカムを組み合わせたトータルリターンは堅実
  • 長期投資ポートフォリオの「安定成長枠」として位置付け可能

 

特に、インカムとキャピタルゲインのバランスを重視する投資家にとって、ATRは有力な選択肢といえるでしょう。

 


 

FAQ

 

Q1. ATRの配当利回りはどのくらいですか?


直近で約1.4%と低めです。ただし、累進配当方針により着実な増配が期待できます。

 

Q2. 減配リスクはありますか?


配当性向が30%前後と低いため、利益減少局面でも減配リスクは小さいと考えられます。

 

Q3. ATRは高配当株として分類されますか?


高配当株というよりは「配当成長株」に分類されます。利回りは低いですが、増配余地が大きい点が特徴です。

 

Q4. 配当再投資をするとリターンはどのくらい改善しますか?


過去10年間で配当を再投資していた場合、年率リターンは7%台から8%前後に改善する試算です。

 

Q5. ATRのポートフォリオでの位置づけは?


安定したインカム源というよりも、キャピタルゲイン+配当成長を狙う「安定成長株」として活用できます。

 


 

まとめ

 

アプターグループ(ATR)は、32年連続で増配を続ける「累進配当企業」として、長期投資家に安心感を与える存在です。

 

利回りは高くないものの、配当性向が低く、今後も増配余地が十分にあります。

 

株価も堅実に成長を続けており、インカムとキャピタルゲインを組み合わせた総合的なリターンが期待できる銘柄です。

 

ATRは、米国株ポートフォリオにおける「安定配当成長枠」として有用であり、短期的な値動きよりも長期的な資産形成を重視する投資戦略に適した選択肢といえるでしょう。

 

 

Tags: 配当株 ATR
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。