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アメリカン・ステイツ・ウォーター(AWR)の72年連続増配と安定配当の魅力

By Staff | 2025-09-18

Category: 配当成長投資

アメリカン・ステイツ・ウォーター(American States Water、NYSE: AWR)は、カリフォルニア州を中心に水道事業を展開する公益企業です。

 

長期契約による収益の安定性、人口増加による需要の底堅さに支えられ、長期投資家にとって安心感のある銘柄のひとつとされています。

 

特に有名なのが72年連続の増配実績で、これは米国市場でも最長クラスに位置づけられています。

 

公益株は「安定した配当」と「景気変動に左右されにくい収益構造」が魅力ですが、その中でもAWRは配当政策の一貫性において際立っています。

 


 

配当実績と利回りの水準

 

2025年9月時点での株価は71.75ドル、年間配当は2.02ドルで、利回りは約2.8%です。

 

公益株全体の平均利回り(約3.7%)と比べると低めですが、その分、長期的に着実な増配を続けてきた点に強みがあります。

 

  • 配当利回り(FWD):2.81%
  • 配当性向(FWD):57.9%
  • 連続増配年数:72年
  • 配当支払い頻度:四半期ごと

 

例えば2023年の年間配当は1.655ドルでしたが、2024年には1.791ドルに引き上げられました。

 

さらに2025年の見込み配当額は2.02ドルと、着実な成長が続いています。

 


 

長期にわたる増配の軌跡

 

AWRは過去10年以上にわたり、ほぼ毎年増配を実施してきました。

 

2015年の年間配当は0.874ドル、2020年には1.28ドル、そして2024年には1.791ドルにまで拡大しています。

 

この10年間で配当額は2倍以上となり、年率換算でおよそ7〜8%の成長を遂げている計算です。

 

この間、リーマンショックやコロナ禍といった経済危機を経ても一度も減配せず、むしろ安定した増配を積み重ねたことが投資家からの信頼を高めています。

 


 

株価推移とトータルリターン

 

公益株は株価上昇の派手さこそありませんが、配当込みで見ると堅実なリターンを提供してきました。

 

例えば2015年初頭にAWR株を1株あたり約35ドルで購入し、10年間保有したと仮定すると、2025年時点で株価はおよそ71.75ドルに到達しています。

 

この間に受け取った累計配当は約13ドル程度となり、合計で85ドル前後のリターンとなります。

 

元本に対して約2.4倍に成長した計算で、年率換算で6〜7%台のリターンを実現したことになります。

 


 

今後の成長可能性

 

AWRの将来性を考える上で、次の要素が重要です。

 

  • 米国西海岸の人口増加に伴う水需要の拡大
  • インフラ更新・設備投資による長期的な収益成長
  • 軍事施設向け長期契約による安定収益源
  • ESG投資資金の流入による公益株の再評価

 

短期的な成長スピードは限定的ですが、「確実に増配してくれる」という安心感こそAWRの最大の魅力です。

 


 

考慮すべきリスク要因

 

もちろんリスクも存在します。

 

  • 規制産業ゆえの成長制約:料金改定は当局の承認が必要
  • 金利上昇局面での逆風:公益株は債券の代替と見なされやすい
  • 水資源リスク:干ばつや気候変動による水供給への影響
  • 設備投資負担:更新コストが財務に重くのしかかる可能性

 

投資する際には、これらのリスクを踏まえたうえでポートフォリオ全体のバランスを考えることが重要です。

 


 

投資家にとっての位置づけ

 

AWRは短期的な株価上昇を狙う銘柄ではありません。

 

しかし、数十年単位で安定したインカムゲインを積み重ねるという目的には最適です。

 

  • 配当を毎年増やしてきた「信頼の実績」
  • 株価下落時にも配当が投資家を支える安心感
  • 高配当ETFやインデックス投資と組み合わせることでポートフォリオを安定化

 

こうした点から、AWRは長期投資における「守りの資産」として位置づけるのが妥当でしょう。

 


 

FAQ

 

Q1. AWRの配当利回りは高い方ですか?


→ 公益株平均の3.7%に比べると低めですが、連続増配72年という安心感が利回りの低さを補っています。

 

Q2. これまで減配はありましたか?


→ ありません。むしろ景気後退期でも増配を続けています。

 

Q3. 株価が大きく上がる可能性はありますか?


→ 公益株なので急騰は期待しにくいですが、長期的に安定成長していく可能性があります。

 

Q4. 金利上昇局面での影響は?


→ 債券の代替と見られるため株価は弱くなりがちです。ただし配当は維持される傾向があります。

 

Q5. 投資戦略上の活用方法は?


→ ポートフォリオの安定部分を担う「コア資産」として組み込むのが有効です。

 


 

まとめ

 

アメリカン・ステイツ・ウォーター(AWR)は72年連続の増配実績を誇り、米国市場でも屈指の安定配当株として知られています。

 

配当利回りは突出して高くありませんが、着実に積み上げられる増配が長期的な資産形成に寄与します。

 

短期的な値上がり益を求める投資には向かないものの、長期的なインカムゲインを重視する投資家にとっては大変魅力的な銘柄です。

 

安定性と確実性をポートフォリオに組み込みたいなら、AWRは検討に値する選択肢となるでしょう。

 

 

Tags: 配当株 AWR
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。