
バンク・オブ・アメリカ(BAC)の配当実績を徹底解説:大幅減配から増配基調へ
By Staff | 2025-09-16
Category: 配当成長投資
米国大手銀行株の中でも、バンク・オブ・アメリカ(BAC)は投資家から広く注目される存在です。
世界的な金融機関としての規模や収益力に加え、配当を通じて株主還元を続けてきた点が魅力となっています。
本記事では、過去の大幅な減配から近年の増配基調まで、BACの配当実績を具体的に振り返り、その投資妙味とリスクを整理します。
1. 世界有数の金融機関としてのBAC
バンク・オブ・アメリカは米国4大銀行の一角を占め、リテール銀行業務から法人サービス、投資銀行まで幅広い事業を展開しています。
2025年現在、総資産規模は8,000億ドル超、EPSは3.41ドルと安定した収益力を維持しています。
こうした基盤が配当支払いの裏付けとなっています。
2. リーマンショック後の大幅減配
BACの配当史を語る上で欠かせないのが、2008年〜2009年にかけての金融危機です。
2008年には年間2.24ドルの配当を支払っていたものの、2009年にはわずか0.04ドルへと98%以上の減配を余儀なくされました。
多くの銀行株と同様に金融危機の直撃を受け、配当重視の投資家にとって大きな痛手となった時期です。
3. 配当回復と増配トレンド
その後、2010年代半ばから徐々に配当を回復。
2015年には年間0.20ドル、2020年には0.72ドルへと拡大しました。
さらに直近では2023年に0.92ドル、2024年には1.00ドルと増配を続けています。
2025年予想では1.12ドルとされており、リーマンショック時の水準からは大きく持ち直しました。
- 2015年:0.20ドル
- 2020年:0.72ドル
- 2024年:1.00ドル
- 2025年予想:1.12ドル
10年で約5倍以上の配当成長を実現しており、長期保有投資家にとっては着実なインカムゲイン増加を享受できています。
4. 現在の配当利回りと配当性向
2025年9月時点でのBAC株価は約50ドル前後、予想配当1.12ドルに基づく配当利回りは約2.2%です。
これはS&P500平均と同水準かやや上回る水準であり、銀行株としては安定感のある数値です。
さらに配当性向は約30%にとどまっており、利益の範囲内で十分に支払える水準にあります。
無理のない配当政策が続いていることは安心材料といえるでしょう。
5. 配当成長を支える要因
- 金利環境:FRBの利上げ局面では利ざやが拡大し、収益増加が期待できる
- 自社株買い:BACは配当に加え自社株買いも実施しており、総還元性向で見ると株主への還元姿勢は強い
- 財務健全性:Tier1自己資本比率の確保やバランスシート改善が配当の安定を支える
こうした要因が配当の持続性を高めています。
6. 投資家にとってのメリット
BACの配当投資には以下の利点があります。
- 安定した四半期ごとの配当収入
- 米国経済成長や金利上昇局面での収益改善余地
- 10年スパンでみた高い増配率によるインカムゲインの成長
実際に2015年に1万ドル投資し、そのまま配当を受け取った場合、年間配当額は当初の約40ドルから2024年時点では200ドル以上に拡大しています。
7. リスクと注意点
もちろんリスクも存在します。
- 景気後退局面では貸倒引当金の増加が利益を圧迫する
- 金利低下局面では利ざや縮小により収益性が落ち込む
- 金融規制強化やストレステストの結果によっては配当増額に制限がかかる可能性
- 円建て投資家にとっては為替変動による影響も大きい
過去の大幅減配が示すように、銀行株は景気と規制の影響を強く受ける点に注意が必要です。
8. 長期投資における位置づけ
BACはリーマンショック時に大きな痛手を受けましたが、その後は増配を続けており、現在では堅実な配当株としての性格を強めています。
高配当株というよりは「増配株」として位置づけられ、長期的にインカムゲインを伸ばしていく戦略に向いています。
まとめ
バンク・オブ・アメリカは2009年の大幅減配という苦い歴史を持ちながらも、近年は安定的に配当を拡大してきました。
現在の利回りは2%台と突出して高いわけではありませんが、増配余地や財務健全性を踏まえると、長期的な資産形成において検討に値する銘柄です。
FAQ
Q1. バンク・オブ・アメリカの配当は今後も増え続ける可能性がありますか?
→ 保証はできませんが、利益水準や自己資本比率を踏まえると増配余地はあります。過去10年で年平均約7%前後の増配率を示しており、長期的には配当成長株として期待できます。
Q2. リーマンショック後に配当がほぼゼロになったのはなぜですか?
→ 不良債権処理や巨額損失により利益が圧迫され、資本規制も強化されたためです。当時は年間配当が2.24ドルから0.04ドルに大幅減配されました。
Q3. 現在の配当性向は安心できる水準ですか?
→ 約30%と無理のない水準です。銀行株は景気変動の影響を受けやすいものの、利益の範囲内で配当を支払っている点は評価できます。
Q4. 他の米銀大手と比べると配当はどうですか?
→ JPMorgan(JPM)やWells Fargo(WFC)と比べると利回りは同水準かやや低めですが、安定性や増配実績では見劣りしません。むしろ増配ペースでは堅実な印象があります。
Q5. BAC株を長期保有するとどの程度の配当収入が期待できますか?
→ 例えば2015年に100株(当時の年間配当総額20ドル相当)を購入した場合、2024年には年間100ドルまで増加しています。約10年で5倍の配当成長です。
Q6. 銀行株特有のリスクはありますか?
→ 景気後退による貸倒引当金の増加、規制強化、金融危機リスクなどがあります。リーマンショック時の大幅減配がその典型例です。
マーケット概況
最新記事
カテゴリー
タグ
個別株 ETF 基礎知識 インデックス投資 成長株 配当株 米国債 PLTR NVDA AMZN AVGO MSFT META AAPL GOOGL TSLA NFLX UNH GS AMD COIN IBM INTC OKLO IONQ JNJ KO PG PEP MCD XOM CVX TXN CSCO MMM CAT ABBV BMY MRK VZ T WMT TGT LOW HD SHEL PM MO JPM BAC WFC BLK TROW BK AMGN GILD ABM ADM ADP AFL ALB ALRS ANDE AOS APD AROW ARTNA ATO ATR AWR BANF BDX BEN ORCL
投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。