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ベクトン・ディッキンソン(BDX)の増配力と株主還元:53年連続増配の安定性

By Staff | 2025-09-18

Category: 配当成長投資

ベクトン・ディッキンソン(BDX)は、米国を拠点とする世界的な医療機器メーカーであり、注射器、輸液セット、診断機器、カテーテルなど幅広い製品を供給しています。

 

病院や研究機関に欠かせない存在で、世界中の医療インフラを支える役割を果たしています。

 

医療需要は景気に左右されにくく、安定した収益基盤を築ける点が長期投資家から高く評価されています。

 


 

配当の基本データ

 

2025年9月時点での株価は約187ドル、年間配当は4.16ドル、利回りは約2.2%です。

 

ヘルスケアセクター全体の平均利回り(1.5%前後)と比べても高めの水準にあります。

 

配当性向は27.9%と余裕があり、利益に対して無理のない範囲で配当を支払っています。

 

  • 配当利回り:約2.2%
  • 配当性向:約28%
  • 四半期ごとに安定して配当を支払い
  • 医療セクターの平均利回りを上回る

 

つまり、高利回り株ではないものの「持続可能な増配力」が最大の魅力です。

 


 

配当履歴と増配実績

 

BDXは53年連続で増配を続けており、米国市場でも「Dividend Aristocrats(配当貴族)」を超える存在として知られています。

 

  • 2015年の年間配当:2.46ドル
  • 2020年の年間配当:3.20ドル
  • 2024年の年間配当:3.89ドル
  • 2025年の予想配当:4.16ドル

 

10年間で配当は約70%増加しており、年平均成長率(CAGR)はおよそ5%前後。

 

世界的な金融危機やコロナ禍といった不安定な局面でも増配を維持した点は、企業の安定性を示す証拠といえるでしょう。

 


 

株価推移とトータルリターン

 

株価も長期的には堅調に推移しています。

 

仮に2015年初頭に株価約140ドルで100株(約1万4,000ドル相当)を購入していた場合を考えます。

 

  • 2025年時点で株価は187ドルに上昇し、評価額は1万8,700ドルに
  • 含み益は約4,700ドル(+33%)
  • 10年間で受け取った配当総額はおよそ3,500ドル
  • 配当を含めたトータルリターンは約8,200ドル(投資元本比+58%)

 

配当を再投資していれば年率6〜7%程度のリターンとなり、S&P500平均に近い水準を維持しつつ、医療セクターらしい安定感を得られます。

 


 

株主還元の全体像

 

BDXの株主還元は配当だけでなく、自社株買いも併用しています。

 

大規模M&A(例:CR Bard買収)の後も配当増額を止めなかった点は、株主還元を重視する経営姿勢を示しています。

 

また、キャッシュフローが安定しているため、今後も増配余地が十分に残されています。

 


 

成長要因と今後の展望

 

BDXの成長を支えるのは世界的な医療需要の拡大です。

 

  • 高齢化による慢性疾患や医療サービス需要の増加
  • 新興国における医療インフラ整備の進展
  • 感染症対策や検査需要の持続
  • R&D投資と新製品開発による収益拡大

 

これらの要因は短期的な景気変動に左右されにくく、長期的に安定成長を後押しするでしょう。

 


 

リスク要因

 

投資に際しては以下のリスクにも注意が必要です。

 

  • 為替変動リスク(海外売上比率が高い)
  • 医療保険制度改革や価格規制の影響
  • M&Aによる負債増加と統合リスク
  • 技術革新による競争激化

 

ただし、配当性向が低く、財務も比較的健全なため、減配リスクは限定的と考えられます。

 


 

投資戦略の視点

 

BDXは「高配当株」ではなく「連続増配株」としての位置づけが適切です。

 

  • 利回りは2%台と適度な水準
  • 増配実績が長期投資の安心材料
  • 医療セクター特有のディフェンシブ性
  • 成長株ポートフォリオを補完する安定枠として活用可能

 

特に、安定配当と株価の中長期成長を両立させたい投資家に適しています。

 


 

FAQ

 

Q1. BDXの配当利回りは高いですか?


利回りは約2.2%で、米国株としては中程度です。高配当ではないものの、医療セクター平均を上回り安定性が魅力です。

 

Q2. 減配の可能性はありますか?


配当性向が28%と低いため、急激な業績悪化がない限り減配リスクは小さいと考えられます。

 

Q3. BDXの配当再投資をするとどのくらい効果がありますか?


過去10年間で配当再投資を続けていれば、年率6〜7%程度のトータルリターンを達成できた可能性があります。

 

Q4. 医療株は景気後退に強いといえますか?


医療需要は景気に左右されにくいため、一般的にディフェンシブ性が高いといえます。BDXもその恩恵を受けています。

 

Q5. 他の医療株と比べた強みは何ですか?


ジョンソン&ジョンソンやアボットと比べても、BDXは注射器や検査機器といった基盤製品のシェアが高く、安定性に優れています。

 

Q6. BDXは長期投資に向いていますか?


53年連続増配の実績は長期投資家に安心感を与えます。長期的な配当成長と安定収益を狙う投資に適しています。

 


 

まとめ

 

ベクトン・ディッキンソン(BDX)は53年連続で増配を続ける稀有な企業です。

 

利回りは中程度ながら、配当成長力と医療需要の底堅さを背景に、長期投資先として十分な魅力を備えています。

 

景気変動に強いディフェンシブ株として、安定した配当と緩やかな株価成長を両立させたい投資家にとって、有力な選択肢となるでしょう。

 

 

 

Tags: 配当株 BDX
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。