
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)の配当実績と長期投資の魅力
By Staff | 2025-09-16
Category: 配当成長投資
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)は、米国最古の銀行の系譜を持ち、現在では世界最大級の資産管理銀行として知られています。
単なる銀行業務にとどまらず、機関投資家向けの証券管理、決済サービス、カストディ業務(資産保管・管理)を中心に展開しています。
カストディ業務とは、投資信託や年金基金、保険会社などが保有する膨大な有価証券や資産を安全に保管し、配当や利息の受け取り、権利行使の代行、決済処理などを行うサービスです。
金融市場のインフラを支える役割を担っており、取引そのものを支える不可欠な仕組みといえます。
その安定的なビジネスモデルから、株価の大きな成長性は限られる一方、配当を重視する投資家からは一定の評価を受けています。
配当の長期推移と金融危機での減配
BKの配当は基本的に安定していますが、2008年から2009年にかけての金融危機では例外的に大幅な減配を余儀なくされました。
- 2008年の年間配当は0.96ドル
- 2009年は0.51ドルへと約47%の減配
- 四半期配当も0.24ドルから0.09ドルに引き下げ
この動きは、当時の金融セクター全体の混乱を象徴しています。
多くの米銀が無配または大幅減配に追い込まれる中、BKも例外ではありませんでした。
ただし、その後は着実に回復し、2015年には年間0.68ドル、2020年には1.24ドル、そして2024年には1.78ドルへと増配を続けています。
2025年予想では年間2.12ドルと見込まれており、長期的には増配基調を維持していることがわかります。
直近の配当政策と財務の健全性
BKは現在、予想年間配当額が2.12ドル、予想配当利回りは約2.0%前後となっています。
配当利回りとしては米国の大手銀行の中で突出して高い水準ではありませんが、安定性の高さが評価されています。
- 配当性向は約28.7%と健全な範囲に収まっている
- 営業キャッシュフローは380億ドル超と安定的に推移
- 預かり資産を基盤とした収益モデルのため、景気循環の影響を比較的受けにくい
こうした財務面での余裕から、今後も大幅な減配リスクは低く、中長期的には持続的な増配が期待できる状況といえます。
他の米銀との比較
BKの配当政策を理解するには、他の大手銀行との比較が参考になります。
- JPMorganやBank of Americaは配当利回りが3%前後とBKより高めですが、融資や投資銀行業務に依存するため景気変動の影響を受けやすい面があります。
- 一方でBKはカストディ業務が中心で、預かり資産残高に基づく手数料収益が大部分を占めるため、より安定的な収益構造を持っています。
つまり、配当利回りは低めでも「配当の持続可能性」という点ではBKは優位性を持つといえます。
株価推移とトータルリターンの具体例
株価成長率は高くありませんが、配当込みのトータルリターンで見るとBKは堅実な成果をもたらしています。
例えば2010年に株価約30ドルで100株を購入していた場合:
- 投資額は約3,000ドル
- 当時の年間配当は0.36ドル前後で、年間36ドル程度の配当収入に過ぎませんでした。
- 2024年の年間配当は1.78ドルとなり、100株で178ドルを受け取れる計算になります。
14年で配当は約5倍に増えており、株価も現在107ドル前後に上昇。
投資額3,000ドルが1万ドル以上に膨らみ、さらに配当収入の成長を加味するとトータルリターンは十分に魅力的です。
投資家にとっての位置づけ
BKは典型的な「高配当株」ではありませんが、以下の特徴を持つため安定配当を重視する投資家にとって有用な選択肢となります。
- 減配リスクが低く、安定配当が期待できる
- Payout Ratioが低いため、今後も増配余地がある
株価の急成長は望みにくいが、守りのポートフォリオに適する
今後の展望とリスク要因
今後の成長は、資産運用業界全体の拡大と金融市場の安定に依存します。
- 預かり資産が増えることで手数料収益は拡大する可能性が高い
- 金利低下局面では収益の一部が圧迫される可能性
- 世界的な金融規制の動向にも左右される
ただし、他行に比べてバランスシートは堅実であり、安定的に配当を支える基盤を持っている点は大きな強みです。
まとめ
- 2009年の金融危機で大幅な減配を経験したが、その後は回復基調
- 直近の配当は1.78ドル(2024年)、2025年予想では2.12ドル
- 配当利回りは約2%だが、健全な財務に支えられた持続性が魅力
- 高成長株ではないが、安定収益を重視する長期投資家に適した銘柄
FAQ
Q1. BKは過去にどの程度の減配を経験したのか?
2009年には年間配当を0.96ドルから0.51ドルへ引き下げ、約47%の減配を実施しました。これはリーマン・ショックの影響を直接受けた結果です。
Q2. 現在の配当は安全か?
Payout Ratioが約30%にとどまり、キャッシュフローも安定しているため、現状では減配リスクは低いと考えられます。
Q3. 同業他社と比べた配当の魅力は?
利回りは低めですが、カストディ業務を中心に安定収益を確保しているため、持続性では優れています。JPMやBACと比較するとリスクが抑えられている点が特徴です。
Q4. 長期投資でどのようなリターンが期待できるか?
株価上昇は限定的ですが、配当の増加により長期的なトータルリターンは安定して積み上がります。10年以上の保有で配当収入は数倍に成長してきました。
Q5. BKを保有する上でのリスクは?
世界的な金融不安や金利低下局面では収益が圧迫されやすく、短期的には株価が下落する可能性があります。ただし長期的には配当を中心に堅実なリターンを期待できる銘柄です。
マーケット概況
最新記事
カテゴリー
タグ
個別株 ETF 基礎知識 インデックス投資 成長株 配当株 米国債 PLTR NVDA AMZN AVGO MSFT META AAPL GOOGL TSLA NFLX UNH GS AMD COIN IBM INTC OKLO IONQ JNJ KO PG PEP MCD XOM CVX TXN CSCO MMM CAT ABBV BMY MRK VZ T WMT TGT LOW HD SHEL PM MO JPM BAC WFC BLK TROW BK AMGN GILD ABM ADM ADP AFL ALB ALRS ANDE AOS APD AROW ARTNA ATO ATR AWR BANF BDX BEN ORCL
投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。