← トップ

米国債はどれくらい安全?信用格付けとリスクを徹底解説

By Staff | 2025-06-16

Category: 米国債

米国債は「世界の基軸資産」と呼ばれ、多くの国・機関・個人投資家が保有しています。

 

一方で、財政赤字の拡大や政治的な不確実性など、リスク要因も存在。

 

この記事では米国債の安全性を多角的に検証し、投資判断の参考となる情報を提供します。

 


 

米国債とは何か?基礎知識の確認

 

  • 発行体:米財務省(U.S. Department of the Treasury)が発行。
  • 種類:短期のT-Bill(1年未満)、中期のT-Note(2~10年)、長期のT-Bond(10年以上)。
  • 利払い:定期的にクーポン利息を支払い、満期日には額面金額を償還。
  • 流動性:世界最大規模の債券市場であり、売買が活発。

     


 

信用格付けとは?主要格付け機関の解説

 

信用格付けは、債務不履行(デフォルト)の可能性を評価する指標。

 

  • S&P(スタンダード&プアーズ)
  • Moody’s(ムーディーズ)
  • Fitch(フィッチ)
    中でも「AAA」(S&P/Fitch)や「Aaa」(Moody’s)は最高ランクを示し、デフォルトリスクが極めて低いとされます。

     


 

米国債のリスク要因

 

  1. 金利変動リスク
    • 金利上昇時は既存債券価格が下落(利回りと価格は逆相関)。

       

  2. 為替リスク
    • 保有通貨がドル建てのため、ドル円レートの変動で円ベースの評価額が変動。

       

  3. 政治リスク
    • 債務上限問題や財政政策の行き詰まりによる市場混乱。

       

  4. インフレリスク
    • インフレ率上昇で実質利回りが目減り。

       


 

信用格付けの歴史的推移と最新2025年格下げ事例

 

  • 2011年:S&Pが米国の長期格付けをAAAからAA+に引き下げ。
  • 2023年:FitchがAAAからAA+に格下げ。
  • 2025年5月16日:Moody’sが米国の長期格付けをAaaからAa1へ一段階引き下げ、見通しを「安定的」に変更。これは3大格付け機関そろって米国格付けを最高位から格下げした歴史的な出来事です。

     

この動きは、連続する財政赤字の拡大や金利負担の増加を背景に、米国債のリスクを再評価した結果といえます。

 


 

他国債券との比較で見る相対的な安全性

 

  • 日本国債(JGB):信用格付けはJGBの大半がAA−前後。利回りは極めて低いが、少子高齢化と借金の大きさが懸念材料。
  • ドイツ国債(Bund):格付けAAA、ユーロ圏の安全資産とされる。米国債と同様、政治的安定性が強み。
  • 新興国債券:高い利回りが魅力だが、デフォルトや為替変動リスクが大幅に上昇。

     

相対的に見て、米国債は依然として「主要先進国中トップクラス」の流動性と信用を維持しています。

 


 

投資家への提言:リスク管理とポートフォリオ組成

 

  • デュレーション管理:金利上昇局面では短期債中心にシフトし、価格変動リスクを抑制。
  • 分散投資:他国債や社債、株式との組み合わせでリスクを分散。
  • 為替ヘッジ:為替変動が気になる場合、ヘッジ付き債券ETFや為替フォワードを検討。
  • クレジットスプレッド注視:米国債と社債の利回り差をチェックし、市場のリスク許容度を把握。

     


 

まとめ:米国債は本当に「安全」か?最終判断のポイント

 

米国債は最大の流動性と世界共通の基軸通貨ドルによる後ろ盾がある一方、財政赤字・金利負担の増加という構造的課題も抱えています。

 

特に2025年ムーディーズによる最新の格下げは、今後の借入コストや市場心理に影響を与える可能性が高いと言えるでしょう。

 

投資家は格付けの動向だけでなく、金利・為替・政治の各リスク要因を総合的に判断し、適切な分散とヘッジ戦略を講じることが重要です。

 

 

 

Tags: 米国債
マーケット概況
Profile Image
投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。