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Coinbase、2025年第2四半期決算で純利益14億ドル超 デリバティブ強化と国際展開が成長牽引

By Staff | 2025-08-12

Category: マーケット情報

米大手暗号資産取引所の**Coinbase Global, Inc.(NASDAQ: COIN)**は2025年7月31日、6月30日までの第2四半期決算を発表しました。


純利益は前年同期比で大幅増を記録し、安定した収益成長と国際展開の進展を示しましたが、規制・訴訟・セキュリティ面でのリスクは依然として高い状況です。

 


 

1. 四半期業績概要

 

  • 売上高(Net Revenue):14.2億ドル(前年同期比+3%)
  • 純利益(Net Income):14.3億ドル(前年3,615万ドルから急増)
  • 調整後EBITDA:5.12億ドル(前年5.96億ドルから減少)
  • 営業費用:15.2億ドル(前年11.1億ドルから37%増)
  • プラットフォーム預かり資産(AOP):4,250億ドル(前年比+63%)

     

売上は前年同期比で小幅増加にとどまったものの、純利益はCircleのIPO関連の評価益など特殊要因もあり急増しました。

 

一方、営業費用は大幅に増加しており、特に「データ流出事故(Data Theft Incident)」関連の顧客補償・法務費用が突出しました。

 


 

2. 収益構造の変化

 

(1) 取引収益(Transaction Revenue)

 

  • Q2 2025:7.64億ドル(前年同期比▲2%)
  • コンシューマー取引収益は16%の取引量増にもかかわらず減少。原因は取引手数料率の低下(簡易取引から高度取引への移行、Coinbase Oneユーザー増加による)。
  • 機関投資家取引はデリバティブ取引の増加で半年累計では増加。

     

(2) サブスクリプション & サービス収益

 

  • Q2 2025:6.56億ドル(前年同期比+9%)
  • 主な牽引役はUSDC関連収益(Q2で+38%、半年累計+44%)。
  • ステーキング報酬収益は暗号資産価格変動の影響でQ2は▲22%。

     


 

3. コスト構造と利益動向

 

  • 純利益急増の背景:1.5億ドル超のCircle株式評価益(IPOに伴う時価評価)や税効果。

     

  • 営業費用の増加要因

     

    • 取引費用(+28%):機関投資家向け流動性プロバイダーへのリベート増
    • 販売・マーケティング費(+43%):デジタル広告費、USDCリワード支払い増
    • 一般管理費(+10%):法務コスト増、サポート体制拡充
    • その他営業費用(+796%):データ流出事故に伴う顧客補償と直接法務費用

       


 

4. プラットフォーム成長と市場動向

 

  • 預かり資産(AOP)

     

    4,250億ドル(前年比+63%)
    → BTC価格上昇と保有数量増が寄与(数量増65.7億ドル、価格増97.6億ドル分)

     

  • 取引量(Trading Volume)

     

    • 総取引量:2,370億ドル(+5%)
    • コンシューマー:+16%
    • 機関投資家:+3%

       

  • 米国スポット市場シェアはQ2で減少(USDT取引量抑制による戦略的価格変更が影響)。

     


 

5. 戦略的動き

 

(1) デリバティブ強化

 

2025年5月、暗号資産デリバティブ取引所**Deribit(Sentillia B.V.)**を現金7億ドル+株式で買収契約。年内完了予定。


→ グローバルでのデリバティブ取引シェア拡大を狙う。

 

(2) 国際展開

 

2025年6月にEUでのMiCAライセンス取得。欧州での事業拡大と現地化を加速。

 

(3) プロダクト強化

 

  • Coinbase One Card発表
  • ShopifyとのUSDC統合
  • Base Chainの分散化進展、トランザクション速度向上
  • 新規スポット銘柄の上場拡大

     


 

6. リスク要因

 

  1. 価格変動リスク:収益の大半がBTC・ETH価格と取引量に依存。
  2. 規制リスク
    • 暗号資産の証券性判断の不確実性(SECの立場は変動的)
    • 米州・州規制当局によるステーキングサービス調査継続
  3. 競争激化:非規制取引所やDeFiとの競争、提供できる商品制限。
  4. サイバーセキュリティ:データ流出事故の再発懸念、カストディ資産の秘密鍵管理リスク。
  5. 金利低下リスク:USDC利回り減による収益圧迫。

     


 

7. 今後の見通し

 

Coinbaseは、短期的には規制・法務リスクの軽減とセキュリティ強化が課題。


中期的には、デリバティブ事業と国際展開が成長ドライバーとなる見込みです。


ただし、暗号資産市場のボラティリティと政策動向次第で業績は大きく変動するため、投資家はリスク許容度を見極める必要があります。

 

Tags: 個別株 COIN
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投資忍者 プロフィール

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「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。