
定額積立と定率積立の違いを徹底比較|インデックス投資に最適な積立方法とは
By Staff | 2025-08-23
Category: インデックス投資
インデックス投資を長期で続ける上で欠かせないのが「積立投資」です。
その中でも代表的な方法が「定額積立」と「定率積立」。
一見よく似ていますが、収入の安定性やライフスタイルによって結果は大きく変わります。
本記事では両者の違いを整理し、メリット・デメリットやシミュレーションを通じて、どちらが自分に合っているかを解説します。
定額積立とは
定額積立とは、毎月あらかじめ決めた金額を投資する方法です。
たとえば「毎月5万円をS&P500連動ETF(VOOなど)に投資」といった形です。
- 特徴:金額ベースでシンプルに管理できる
- メリット:暴落時に多くの口数を買える(ドルコスト平均法の効果が働く)
- デメリット:株価が大きく上昇している局面では投資額が固定されているため、リターン拡大の機会を逃すこともある
定額積立は「収入が安定している会社員」には特に適しており、家計管理がしやすいのも魅力です。
定率積立とは
定率積立とは「収入や資産額に応じて一定割合を投資する方法」です。
例えば、
- 毎月の手取り収入の10%を投資
- ボーナスの20%を投資
といった形です。収入が多いときには投資額が増え、少ないときには投資額が減ります。
メリット
- 収入が増えると投資額も自然に増え、資産形成が加速する
- 上昇相場では投資額も増えるため、成長を取り込みやすい
デメリット
- 下落局面では投資額が減ってしまい、安値で多く買う効果が弱まる
- 投資計画が収入に依存するため安定性がやや劣る
「結局、ほとんど同じでは?」という疑問
実際、収入が安定している人が「毎月5万円」と決めて投資する場合、それは「手取り50万円のうち10%」を投資しているのと同じ構造です。
このため、サラリーマンで収入が安定している人にとっては、定額積立と定率積立はほとんど差が出ません。
では、どこで違いが出るのでしょうか?
収入が変動する場合
→ 定額積立だと収入が減っても一定額を積み立てるため、生活を圧迫するリスクがある。一方、定率積立なら自動的に投資額が減り、無理なく継続できる。
収入が成長していく場合
→ 定額積立では投資額が固定のままですが、定率積立なら収入アップに合わせて投資額も増え、資産形成のスピードが加速します。
つまり、違いは「収入の安定性」や「将来の伸び」によって顕在化します。
定額積立と定率積立の比較(シミュレーション例)
過去20年のS&P500を例に考えてみましょう。
定額積立:2008年リーマンショックや2020年コロナショックの下落局面で多くの口数を買い、結果的に平均取得単価を下げられた。年率換算リターンはおよそ8〜9%。
定率積立:上昇局面では投資額が増えるため、強気相場で大きく資産を伸ばせる。ただし下落局面では買い増しが少なく、年率換算リターンは7〜8%程度に留まるケースもある。
このように、どちらが有利かは相場環境と収入スタイルによって変わります。
どちらが向いているか?
定額積立が向いている人
- 収入が安定しているサラリーマン
シンプルに継続したい初心者
定率積立が向いている人
- 収入が変動するフリーランスや歩合給の人
- これから収入アップが見込めるキャリア初期の人
上昇局面をより積極的に取り込みたい人
実践的には「定額をベースにしつつ、一部を定率で追加するハイブリッド方式」も有効です。
運用時の注意点
- 米国ETF(VOO、VTI)や投資信託(eMAXIS Slim米国株式)を活用
- 為替変動の影響に注意(ドル円相場で成果が変動)
NISAや特定口座を活用すれば税制面でも有利
まとめ
定額積立と定率積立は、一見すると同じように見えますが、収入の性質や将来の見込みによって大きな違いが表れます。
安定収入の人にとってはシンプルに続けられる定額積立が最適ですが、フリーランスやキャリア初期で収入が伸びる可能性のある人には定率積立が合理的です。
実際には「定額をベースにしつつ、一部を定率で追加する」ハイブリッド方式が現実的で、無理なく長期で続けやすいでしょう。
一括投資と積立投資をより広い視点で比較したい方は、ドルコスト平均法 vs 一括投資|メリット・デメリット徹底比較 もあわせてご覧ください。
FAQ
Q: 定額積立と定率積立はどちらが長期的に有利ですか?
A: 過去のデータでは「どちらが必ず有利」とは言えません。定額積立は暴落局面で安く買えるメリットが大きく、長期的に安定した成果を出しやすい傾向があります。一方、定率積立は収入や資産の成長に連動するため、強気相場ではリターンが伸びやすいです。投資スタイルや収入状況によって最適解は変わります。
Q: 定率積立は毎月変動するので管理が面倒ではありませんか?
A: 確かに定額積立に比べると多少の計算が必要になります。ただし「収入の10%を自動的に投資信託に回す」といった設定ができれば、管理の手間はほとんどありません。証券会社や投資信託のサービスによっては自動で金額調整が可能な場合もあります。
Q: ボーナスや臨時収入はどちらの方式で組み込むのが良いですか?
A: ボーナスのように収入が大きく変動する部分は「定率積立」で対応するのが自然です。例えば「ボーナスの20%を投資に回す」と決めておけば、生活費に支障をきたさずに投資額を増やせます。日常の給与部分は定額積立、ボーナス部分は定率積立とするハイブリッド方式がおすすめです。
Q: 為替リスクの違いはありますか?
A: 定額積立と定率積立で為替リスクに違いはありません。どちらもドル建て資産を購入するため、ドル円レートの変動によって評価額が増減します。ただし、定額積立の方が毎月同額をドルに換えるため「ドルコスト平均法」と同じく為替リスクも平均化しやすい傾向があります。
Q: 定額積立は収入が減ったときに続けられるか不安です。どうすればいいですか?
A: 無理のない金額を設定することが第一です。例えば毎月5万円を積み立てていた人が収入減で不安を感じるなら、一時的に3万円や2万円に減額しても構いません。積立の本質は「継続」ですので、金額を柔軟に調整しながら続けることが重要です。
Q: 定率積立の割合はどのように決めれば良いですか?
A: 一般的には「収入の5〜15%」が目安です。収入に余裕がある人は20%を目指すケースもありますが、生活費や予備資金を圧迫しない範囲で設定することが前提です。長期で続けることが最も大切です。
Q: 両方を組み合わせる場合の具体例は?
A: 例えば「毎月3万円を定額積立し、さらに収入の5%を定率積立で追加する」という方法があります。こうすることで最低限の積立を確保しつつ、収入に応じて投資額を増やすことができます。会社員でボーナスがある人は「給与は定額、ボーナスは定率」とする組み合わせも効果的です。
Q: 投資信託とETFのどちらで積立するのがおすすめですか?
A: 長期の積立では「投資信託」が便利です。証券会社で自動積立設定ができるため、ほぼ放置で運用できます。一方でETFは手動での買付けが必要ですが、信託報酬が低めで長期的なコスト効率に優れるケースもあります。利便性を重視するなら投資信託、コストを重視するならETFを選ぶのが一般的です。
Q: 定額積立でも定率積立でも、結局は「長期で続けること」が一番大事なのですか?
A: はい。どちらの方法を選んでも、途中でやめてしまえば効果は薄れます。20年、30年と継続して初めて複利効果が大きく働きます。自分に合った方法で「継続しやすい仕組み」を作ることが最大のポイントです。
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投資忍者 プロフィール
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「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。