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ホームデポ(HD)の配当政策と成長力を徹底解説|10年CAGR14.6%の実績

By Staff | 2025-09-15

Category: 配当成長投資

ホームデポ(HD)は米国を代表する住宅改善小売業者であり、全米2,000店舗以上を展開しています。

 

DIY需要からプロの建設業者まで幅広い顧客層を抱え、景気動向や住宅市場の影響を受けやすい一方で、規模の大きさと効率的なオペレーションによって安定的な収益を確保してきました。

 

同社は株主還元にも積極的で、配当政策と自社株買いを組み合わせた総還元戦略を掲げており、長期投資家にとって注目度の高い銘柄です。

 


 

配当政策の特徴と配当性向

 

ホームデポの配当政策は「利益成長に連動した持続的な配当引き上げ」です。

 

直近の配当性向は約61.9%(2025年時点予想)で、利益の半分強を株主に還元するバランス型の方針を維持しています。

 

この水準は高すぎず低すぎず、配当の安定性を担保しながら将来の増配余地も残している点が評価できます。

 


 

配当履歴と成長実績

 

ホームデポは長期的に力強い増配を続けてきました。

 

  • 2015年の年間配当:2.36ドル
  • 2020年の年間配当:6.00ドル
  • 2024年の年間配当:9.00ドル
  • 2025年予想年間配当:9.20ドル

 

この10年間で配当は約4倍に成長しており、CAGR(年平均成長率)は14.6%という非常に高い水準です。

 

さらに直近5年間でもCAGRは8.9%と堅実な成長を示しており、配当成長株としての強さを裏付けています。

 


 

配当利回りと株主還元の位置づけ

 

現在の配当利回りは約2.1%前後で推移しています。

 

高配当株というよりも、増配による将来的なインカム拡大を狙う「配当成長株」としての位置づけが適切です。

 

また、自社株買いにも積極的で、総還元額ベースで見ると非常に大きな株主還元を実現しています。

 

配当と自社株買いを組み合わせたトータルリターンは、S&P500の平均を上回るパフォーマンスにつながってきました。

 


 

成長力と今後の展望

 

配当成長を支えてきたのは、住宅市場の長期的な需要と企業の成長戦略です。

 

住宅着工やリフォーム需要は景気循環の影響を受けつつも底堅く、特に近年はEコマースやデジタル化投資を進めて新しい需要を開拓しています。

 

さらに、在宅需要や高齢化に伴うリフォーム需要など構造的な追い風もあり、今後も長期的に成長を続ける可能性があります。

 


 

投資家にとっての魅力とリスク

 

ホームデポの魅力は以下の点に集約されます。

 

  • 配当の長期的な増加と安定性
  • 配当性向の適正水準(約62%)による安全性
  • 自社株買いを組み合わせた総還元戦略
  • 住宅市場やリフォーム需要という長期成長ドライバー

 

一方で、リスク要因も存在します。

 

住宅ローン金利の上昇や景気後退による消費低迷、競合のロウズ(LOW)との市場シェア争いは注意点です。

 


 

まとめ

 

ホームデポ(HD)は配当利回り自体は控えめながら、10年以上にわたって高い増配を継続してきた「配当成長株」です。

 

10年CAGR14.6%という実績は、長期保有で配当額が急速に膨らむことを示しており、インカム投資とトータルリターンの両面で魅力があります。

 

今後も住宅市場の基盤と経営戦略を背景に、持続的な株主還元が期待できる銘柄と言えるでしょう。

 


 

FAQ

 

Q1. ホームデポの現在の配当利回りは?


→ 現在の配当利回りは約2.1%前後です。米国市場に多い高配当株と比べると見劣りするかもしれませんが、増配率の高さを考慮すれば、将来的な受取配当額の伸びが期待できます。

 

Q2. 配当性向は安全か?


→ 直近の配当性向は約61.9%で、利益の半分以上を配当に充てています。過度に高い水準ではなく、利益成長が続けば配当の持続性は十分に確保されています。

 

Q3. 直近の増配率はどの程度か?


→ 2020年の年配当6.00ドルから2025年予想の9.20ドルまで、5年間で年平均8.9%の成長を記録しています。特に2022年から2024年にかけては毎年引き上げが行われ、投資家にとって安定感のある増配となっています。

 

Q4. 10年間の増配実績は?


→ 2015年の年配当2.36ドルから2025年予想の9.20ドルへと約4倍に増加しました。CAGR換算で14.6%と、米国株の中でも非常に高い水準です。

 

Q5. 減配リスクはあるか?


→ ホームデポは過去数十年にわたり減配を行っていません。営業キャッシュフローは年間約178億ドル、フリーキャッシュフローは110億ドル規模と潤沢であり、現状で減配のリスクは低いと考えられます。

 

Q6. 配当以外の株主還元は?


→ 同社は配当だけでなく、自社株買いにも積極的です。特に景気が安定している局面では多額の自社株買いを実施しており、株主還元総額は配当と合わせて非常に大きな規模になります。

 

Q7. ロウズ(LOW)との違いは?


→ 両社とも住宅改善市場の大手ですが、ホームデポは売上規模と店舗数で優位に立ち、プロ顧客への比重が高い点が特徴です。一方のロウズはサービスや地域密着型戦略で差別化を図っています。

 

Q8. 景気後退が配当に与える影響は?


→ 住宅市場や金利動向に左右されやすいため、景気後退期には業績が一時的に低迷する可能性があります。ただし、配当性向が60%前後に抑えられているため、業績が落ち込んでもすぐに減配につながる可能性は低いです。

 

Q9. インフレや金利上昇は懸念材料か?


→ インフレによる資材コスト上昇や金利上昇による住宅ローン需要の減退はリスク要因です。しかし、長期的には住宅リフォーム需要や人口動態の変化が追い風となり、構造的な成長余地は残されています。

 

Q10. 長期投資家にとっての魅力は?


→ 高配当利回りを求める投資家には物足りないかもしれませんが、配当の伸びと株価成長を組み合わせたトータルリターンは非常に魅力的です。実際にS&P500をアウトパフォームする期間も多く、長期保有で大きなリターンが期待できます。

 

Q11. 今後も二桁成長の増配を期待できるか?
→ 足元のCAGRは10年で14.6%、直近5年でも8.9%を維持しています。ただし、経済状況や市場環境次第で成長率が鈍化する可能性はあります。長期的には5〜8%程度の安定した増配が続く可能性が高いでしょう。

 

Tags: 配当株 HD
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。