← トップ

米国債の金利はどのように決まるのか?仕組みと市場メカニズムを解説

By Staff | 2025-06-15

Category: 米国債

米国債の利回りは、世界の金融市場における“基準金利”とも呼ばれます。

 

株式、為替、不動産、そして日本の金融商品にも大きな影響を与えるため、投資家にとってその仕組みを理解しておくことは非常に重要です。

 

本記事では、「米国債の金利(利回り)はどのように決まるのか?」というテーマについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。

 


 

米国債の「金利」とは?

 

まずは基本用語の整理です。

 

  • クーポン金利:発行時に設定される固定の利率。例:2.0%。
  • 利回り(Yield):現在の市場価格に対する実質的な収益率。債券価格が変われば利回りも変動します。

     

米国債には、期間に応じてさまざまな種類(例:3カ月、2年、10年、30年など)があり、それぞれ異なる利回りを持ちます。

 


 

米国債の利回りはどのように決まるのか?

 

【1】発行時:一次市場での入札による決定

 

米国債は米国財務省(U.S. Treasury)によって発行され、投資家による入札で購入されます。

 

  • 競争入札(Competitive bidding):投資家が希望利回りを提示して入札。
  • 非競争入札(Non-competitive bidding):価格は市場に任せ、数量だけ指定して購入。

     

入札の結果により、実際に発行される利率が決まり、最初の利回りが確定します。

 

【2】流通市場(二次市場)での売買による変動

 

一度発行された米国債は、証券会社や機関投資家によって市場で売買されます。

債券の価格と利回りは逆に動く関係にあります。

 

  • 債券価格が下がる ⇒ 利回りは上昇
  • 債券価格が上がる ⇒ 利回りは低下

     

この価格変動は、投資家の需要や経済の見通しによって日々変動します。

 


 

利回りを動かす要因とは?

 

  1. 政策金利(FF金利)
    FRB(米連邦準備制度)が設定する短期金利。米国債の短期利回りと強く連動します。

     

  2. インフレ期待
    将来の物価上昇率が高まると、投資家は高い利回りを求めて債券を売る傾向が強まります。

     

  3. 経済指標
    CPI(消費者物価指数)、雇用統計、GDP成長率などのデータが金利に影響します。

     

  4. 需給バランス
    海外の中央銀行、年金基金、大手機関投資家などの購入動向も利回りを動かす要因になります。

     


 

利回り曲線(イールドカーブ)について

 

イールドカーブとは、期間ごとの米国債の利回りをグラフにしたものです。

 

  • 順イールド:長期金利 > 短期金利(通常の状態)
  • 逆イールド:短期金利 > 長期金利(景気後退の前兆とされる)

     

このカーブの形状から、投資家は将来の景気や金利動向を予測する材料を得ます。

 


 

米国債の金利情報を知るには?

 

以下の情報源が役立ちます:

 

  • 米財務省(Treasury.gov)
     公式発表としての入札結果や発行予定が確認できます。

     

  • 米連邦準備制度(FRB)
     政策金利や経済見通しに関する情報を提供しています。

     

  • 当サイトの記事ページ(こちら
     米国債の利回りデータを日次で掲載しています。過去数十年分の履歴データも閲覧可能です。

     

  • FOMC(公開市場委員会)の声明文やパウエル議長の発言
     市場が注目する発言や政策方針の転換点を読み取る手がかりになります。

     


 

日本の投資家にとっての視点

 

  • 為替リスク:ドル建てで投資する場合は為替変動に注意。
  • 円との金利差:金利差が広がると為替にも影響。
  • 購入方法:ETF、投資信託、証券会社を通じた直接購入など複数の選択肢あり。

     


 

まとめ

 

米国債の金利は、単なる固定の数字ではなく、市場の需給や経済指標、政策金利、インフレ期待などさまざまな要因によって日々変動します。

 

米国債の利回りは、世界の資産価格の“基準”として機能するため、投資家としてその動きを理解することは非常に大きな意味を持ちます。

 

 

Tags: 米国債
マーケット概況
Profile Image
投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。