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損益計算書(P/L)の基礎と注目ポイント|米国企業決算にも使える読み方ガイド

By Staff | 2025-08-14

Category: 投資の基礎知識

損益計算書(Profit and Loss Statement / Income Statement)は、企業が一定期間にどれだけの収益を上げ、どれだけの費用を使い、最終的にどれだけの利益を残したのかを示す財務諸表です。


企業の「稼ぐ力」を可視化するための最も重要な書類のひとつであり、長期投資、配当投資、成長株投資のいずれにおいても必ず確認すべき資料です。

 

米国企業では四半期ごと(Quarterly Report, Form 10-Q)と年次(Annual Report, Form 10-K)に公開され、投資家はここから企業の収益構造や成長性を読み取ります。

 


 

2. 損益計算書の役割

 

損益計算書は、一定期間(1四半期または1年)の**収益(Revenue)費用(Expenses)の結果としての利益(Profit)**を示します。


単に売上や利益の額を見るだけでなく、利益率の推移やコスト構造の変化を確認することで、その企業が本当に安定して稼げる体質かどうかを判断できます。

 

また、銀行や投資家、アナリストが企業の信用力や投資価値を評価する際の基礎資料にもなります。

 


 

3. 損益計算書の主な構成項目

 

(1)売上高(Revenue / Net Sales

 

  • 企業が商品やサービスを販売して得た総収益
  • 増加傾向は成長性のサイン

 

(2)売上原価(Cost of Goods Sold, COGS

 

  • 商品やサービスを提供するための直接コスト
  • 原価率(COGS / Revenue)の変化は収益性に直結

 

(3)売上総利益(Gross Profit

 

  • 売上高から売上原価を引いた利益
  • 企業の基礎的な稼ぐ力を示す
  • Gross Margin(売上総利益率)も注目指標

 

(4)営業利益(Operating Income

 

  • 本業によって稼いだ利益
  • 本業以外の一時的な要因に左右されにくい安定的な利益指標

 

(5)経常利益(Ordinary Income / Pre-tax Income

 

  • 営業利益に金融収支などを加味した利益
  • 米国企業の場合、この区分はNon-Operating IncomeIncome Before Taxesに相当

 

(6)当期純利益(Net Income

 

  • 最終的に株主に帰属する利益
  • 配当や内部留保の原資になる

 

(7)EPS(Earnings Per Share

 

  • 1株あたりの利益
  • 株価との比較でPER(株価収益率)算出に利用

 


 

4. 注目すべきポイント

 

  • 売上高と利益の成長トレンド

     

    • 売上や利益が継続的に伸びているか

     

  • 利益率の推移(Gross Margin, Operating Margin, Net Margin)

     

    • コスト効率や価格戦略の成果が反映される

       

  • 特別損益や一時的要因の有無

     

    • 例:訴訟和解金、資産売却益など

       

  • 同業他社との比較(Peer Comparison)

     

    • 同じ業界の平均水準と比較することで優位性を把握

       

  • 季節性や四半期ごとの変動

     

    • 小売や観光業は季節要因の影響が大きい

       


 

5. 損益計算書を読む際の注意点

 

  • 単年度や単四半期だけで判断せず、複数期間の推移を見る
  • 為替の影響(米国企業の海外売上比率が高い場合は特に重要)
  • 会計基準の違い(US GAAPとIFRS)を理解しておく
  • 一時的な費用や収益は、本業の稼ぐ力と分けて考える

     


 

6. まとめ

 

損益計算書は、企業の収益力を測るための基礎ツールです。


売上・利益・利益率の3点を軸に分析することで、その企業が長期的に成長できるかを判断できます。

 

米国株投資を行う場合も、英語表記(Revenue, Gross Profit, Operating Income, Net Income, EPS)に慣れておけば、10-Qや10-Kの決算書をスムーズに読み解けます。


長期的な投資判断の精度を上げるためにも、P/Lの読み方を身につけておきましょう。

 

 

 

Tags: 基礎知識
マーケット概況
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。