
Intel、2025年第2四半期で純損失29億ドル 構造改革加速と14Aノード継続可否が焦点
By Staff | 2025-08-12
Category: マーケット情報
米Intel Corporation(NASDAQ: INTC)は2025年7月24日、6月28日までの第2四半期(Q2)および上期決算を発表しました。
同社は純損失29.18億ドル(EPS▲0.67ドル)と厳しい結果となり、上期累計でも純損失37.39億ドル(EPS▲0.86ドル)を計上しました。
主因は2025年構造改革計画に伴う大規模なリストラ費用、資産減損、製造資産の加速償却、在庫評価引当の増加です。
1. 財務概要
- 売上高(Q2):128.59億ドル(前年同期比ほぼ横ばい)
- 粗利益(Q2):35.42億ドル(売上高比27.5%、前年35.4%から大幅低下)
- 営業損失(Q2):▲31.76億ドル(前年▲19.64億ドル)
- 純損失(Q2):▲29.18億ドル(前年▲15.95億ドル)
R&D+販管費(Q2):48億ドル(前年同期比▲13%)
粗利益率の低下は、Intel Foundry部門での7.97億ドルの資産減損・加速償却、Gaudi AIアクセラレーターの在庫評価損、その他一時費用が影響しました。
2. セグメント別業績
(1) Intel Products(CCG+DCAI)
- 上期売上:235.65億ドル(前年240.49億ドルから減少)
- CCG(クライアントコンピューティング):前年から9.16億ドル減、24年に行った購入加速インセンティブの反動で出荷減。
- DCAI(データセンター&AI):前年から4.32億ドル増、ハイパースケール需要によるサーバー販売増。ただし競争環境下でASPは▲9%。
DCAIは**Gaudi AIアクセラレーター在庫評価損(3.61億ドル)**を計上。
(2) Intel Foundry
- 上期売上:90.84億ドル(前年86.38億ドルから増加)
- 外部売上は小規模で、大半は社内向け。
- 営業損失:▲54.88億ドル(前年▲52.43億ドル)
主因:製造資産減損・加速償却(7.97億ドル)
(3) その他(Altera、Mobileye、IMS)
- 上期売上:19.96億ドル(前年15.24億ドル)
- Mobileye:+2.67億ドル(顧客在庫改善)
- Altera:+1.13億ドル(FPGA需要増)
- 営業利益:1.72億ドル(前年▲2.16億ドル)
Alteraの51%株式売却をSilver Lakeに合意(現金約44億ドル+繰延10億ドル)。
3. 構造改革(2025年構造改革計画)
- コア人員を年内に15%削減
- Q2でリストラ費用19億ドル(人員削減1.5億ドル、資産減損4.16億ドルなど)を計上
- 不採算事業・不動産統合で固定費削減
2024年構造改革計画(30億ドル規模)はQ2でほぼ完了
4. 資金・流動性
- 現金・短期投資:212.06億ドル(前年末から減少)
- 負債総額:507.57億ドル(やや増加)
- CHIPS法補助金:総額79億ドルの直接支給契約締結、うち22億ドル受領済み
- NAND事業売却:第2段階完了で19億ドル受領
- Mobileye株式7%売却:9.22億ドル調達(2025年7月)
クレジット枠:364日枠50億ドル(2026年1月満期)、回転枠70億ドル(2029年2月満期)
5. 戦略的課題とリスク
(1) Intel 14Aプロセスノードの将来
外部顧客の確保が条件
- 顧客未確保の場合:開発停止・撤退の可能性
- 最先端製造からの撤退はほぼ不可逆的
- TSMC・Samsung依存度上昇
- 米政府補助金の返還リスク
- SCIP契約違反による違約金(最大11億ドル)
オハイオ新工場などの資産減損リスク
(2) 地政学リスク
- イスラエル拠点(Intel 7製造)への戦争・政治的暴力リスクは自社保険なし
(3) 法務リスク
- EU競争法違反で4.01億ドル罰金(控訴中)
- VLSI特許訴訟:一部で約10億ドルの引当金計上
- セキュリティ脆弱性訴訟(Spectre/Meltdown/Downfall)継続中
6. 政策支援
One Big Beautiful Bill Act(2025年7月施行)
- 製造投資税額控除率を25%→35%に引き上げ
- 100%即時償却・国内R&D費全額即時控除の恒久化
- Intelは効果を評価中だが、製造投資戦略への追い風となる見込み
7. 今後の見通し
IntelはIDM戦略・Smart Capital戦略の下、製造能力拡大と先端プロセス開発に注力していますが、14Aプロセスノードの継続可否が今後の成長戦略の分水嶺となります。
短期的にはコスト削減と構造改革で損失縮小を目指す一方、中長期的には外部顧客確保と政府支援の最大活用が不可欠です。
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「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。