
1980年代にS&P500へ投資していたら:現在までのドル建て・円建てリターン
By Staff | 2025-09-06
Category: インデックス投資
1980年代は米国経済にとって大きな転換点でした。
インフレと高金利に苦しんだ時代から、レーガン政権の政策と金利低下を背景に株式市場は歴史的な上昇を経験しました。
では、この時期にS&P500に投資していたら、1989年末、そして現在の2025年には資産はどうなっていたのでしょうか。
1980年代の米国経済と株式市場
- 1980年代初頭はスタグフレーションと政策金利20%超という厳しい環境
- 1982年以降、金利低下とインフレ沈静化により株式市場が反発
- レーガノミクス(減税・規制緩和・軍事支出)による経済刺激
- S&P500は1980〜1989年の10年間で年率約17%のリターンを実現
1987年のブラックマンデーで一時的に大幅下落しましたが、10年間を通じて指数は約3倍以上に成長しました。
1980年から1989年の投資シミュレーション(ドル建て)
- 1万ドル投資 → 約5万ドル
- 5万ドル投資 → 約25万ドル
10万ドル投資 → 約50万ドル
この時期の年率17%というリターンは、インフレを大きく上回り、長期投資の力を示しました。
1980年から2025年の投資シミュレーション(ドル建て)
S&P500は1980年から2025年までで指数ベース約40倍、配当込みリターンでは約70倍となっています。
- 1万ドル投資 → 約70万ドル
- 5万ドル投資 → 約350万ドル
10万ドル投資 → 約700万ドル
これは年率約11〜12%の複利リターンに相当します。
為替を考慮した円建てリターン
日本の投資家にとっては為替の影響が無視できません。
1980年のドル円は1ドル=約240円、1989年末には145円、そして2025年現在は約145円前後です。
1980年に100万円をドルに両替(約4,167ドル)し投資
1989年末:約20,800ドル → 約300万円(円ベースで3倍)
2025年現在:約291,700ドル → 約4,200万円(円ベースで42倍)
円高でドルの価値が下がった1980年代でも、株式リターンが為替変動を上回りました。
さらに2025年まで保有し続けた場合、為替を含めても100万円が4,000万円以上に増えている計算です。
長期投資から学べる教訓
- 短期的にはブラックマンデーのように20%超の下落も経験
- しかし長期で見れば株式市場の成長が圧倒的に優位
- 為替が円高に動いても、株式の複利リターンが為替損失を吸収
- 配当再投資の効果が非常に大きく、資産形成の柱となった
1980年代と現在の比較
- 共通点:インフレ懸念や金利上昇を背景にした市場の不安感
- 違い:当時は人口増加と製造業の拡大、現在はテクノロジーとグローバル化が成長の源泉
- 長期投資においては「短期的なノイズではなく市場全体の成長」を重視する姿勢が変わらない
まとめ
もし1980年代にS&P500へ投資していたら、1989年末にはドルベースで約5倍、円ベースで約3倍になっていました。
そして2025年まで投資を続けていれば、円換算でも資産は約42倍に成長しています。
為替の影響があっても、米国株の成長力と複利の力が長期投資の有効性を示しています。
FAQ
Q1. 1987年のブラックマンデー後に投資していたらどうなった?
短期的には大きな損失でしたが、数年で回復し1989年末にはプラスのリターンとなりました。
Q2. 1980年代の高金利は株式投資に悪影響を与えなかったの?
序盤は逆風でしたが、1982年以降の金利低下局面で株価は大きく上昇しました。
Q3. 為替の影響を考えると日本から投資した場合のリターンは?
円高によりドル建ての成長が一部相殺されましたが、それでも円ベースで約3倍に成長しました。
Q4. 1980年から2025年まで投資を続けた場合のリターンは?
100万円の投資が約4,200万円となり、円換算で42倍の成長です。
Q5. 配当を再投資しなかった場合はどうなっていた?
再投資なしではリターンは低下します。配当込みリターンが70倍に対し、指数ベースでは約40倍にとどまります。
Q6. 積立投資をしていた場合はどうなった?
1980年代を通じて積立投資をしていれば、ブラックマンデーの安値でも購入でき、平均取得単価が下がりさらにリターンが向上しました。
Q7. 為替が円安に動いていたらリターンはどう変わった?
もし240円水準が続いていたら、4,167ドルの投資は2025年に約7,000万円相当になっていた計算です。
Q8. 日本株(日経平均)と比べるとどうだった?
日経平均も1980年代後半に急騰しましたが、1989年のバブル崩壊後に長期停滞。米国株はその後も成長を続け、結果的に大きな差が生まれました。
Q9. 1980年代のようなリターンは今後も期待できる?
同水準は難しいかもしれませんが、長期投資における複利の効果は変わらず有効です。
Q10. 当時と今の長期投資戦略の共通点と違いは?
共通点は「積立継続と分散の重要性」。違いは「現在はテクノロジー革新と国際分散の必要性」が強まっている点です。
Q11. インフレを考慮した実質リターンはどうだった?
1980年代の米国CPI上昇率は平均4%前後でしたが、S&P500の年率リターン17%を大きく下回り、実質的にも資産は大きく増加しました。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。