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ロウズ(LOW)の増配実績と小売業界:10年CAGR18%、60年以上の連続増配

By Staff | 2025-09-15

Category: 配当成長投資

ロウズ(Lowe’s, ティッカー:LOW)は、米国を代表するホームセンター大手であり、DIY需要や住宅改善市場を支える存在です。

 

ライバルであるホームデポ(HD)とともに住宅関連小売の二大巨頭とされ、長期投資家からは「配当成長株」として高く評価されています。

 

配当政策に目を向けると、ロウズは60年以上にわたる連続増配の実績を誇り、配当王の一角を占めています。

 

その成長スピードは他の小売株と比べても際立っています。

 


 

配当履歴と成長率の実績

 

過去10年の推移を具体的に見てみましょう。

 

  • 2015年の年間配当:約0.92ドル(四半期0.23ドル×4回)
  • 2025年の年間配当見込み:約4.80ドル(四半期1.20ドル×4回)
  • 10年間で 約5.2倍 に成長し、年平均成長率(CAGR)は 17.9%

 

さらに直近の増配ペースも非常に高く、2020年の年間配当2.20ドルから2025年の4.80ドルまでわずか5年で倍増。

 

直近5年間のCAGRは 16.9% に達しています。

 

このように、配当利回り自体は約1.7%前後と高くはないものの、増配率の高さによって長期投資で大きなインカム成長を享受できるのがロウズの魅力です。

 


 

現在の利回りと配当性向

 

  • 予想年間配当:4.80ドル
  • 株価:272ドル前後(2025年9月時点)
  • 配当利回り:約1.77%
  • 配当性向:約38%

 

配当性向が40%を下回っている点は注目に値します。

 

利益の多くを再投資に回しつつも、株主還元を持続的に実施できる余裕を持っていることを示しています。

 


 

財務基盤と株主還元余力

 

ロウズの営業キャッシュフローは年間約98億ドル、フリーキャッシュフローも約68億ドルと潤沢です。

 

一方で負債は390億ドル規模とやや多めですが、住宅改善需要に支えられる安定した収益構造により、配当や自社株買いを継続できる基盤があります。

 

実際、ロウズは配当に加え自社株買いにも積極的で、総還元額は小売業界でもトップクラス。

 

株主に対して「成長と還元の両立」を明確に示している企業といえるでしょう。

 


 

小売業界での位置づけ

 

小売業界はEコマースの影響を強く受けますが、住宅改善分野は依然として「実店舗の強み」が残る市場です。

 

リフォームやDIY製品は実際に商品を確認して購入するニーズが強く、オンライン一辺倒の流れに飲み込まれにくいのが特徴です。

 

ロウズはこの分野に特化しており、競合のホームデポと並んで長期的に成長を維持する余地を持っています。

 


 

投資家にとってのメリットとリスク

 

メリット

 

  • 60年以上の連続増配という安心感
  • CAGRが10年で17.9%、直近5年で16.9%という高い増配率
  • 配当性向38%という健全な水準
  • 配当だけでなく自社株買いを通じた株主還元も実施

 

リスク

 

  • 利回りは低く、短期のインカム狙いには不向き
  • 景気後退や住宅市場の低迷に業績が左右されやすい
  • 負債規模が大きく、金利動向の影響を受けやすい
  • ホームデポとの競争激化による市場シェアの変動リスク

 


 

まとめ

 

ロウズ(LOW)は高配当株ではありません。

 

しかし、60年以上の連続増配、そして直近10年で年率約18%という驚異的な配当成長を実現している点で、配当成長投資の代表的な銘柄といえます。

 

配当性向が低く、キャッシュフローも安定しているため、今後も高い増配余地を持っています。

 

短期的なインカム狙いよりも、長期保有による複利効果を最大化したい投資家にとって、ロウズは非常に魅力的な投資先になるでしょう。

 


 

FAQ

 

Q1. ロウズの配当利回りは高いのか?


→ 現在の配当利回りは約1.7%前後と米国株の中では低めです。ただし、利回りの高さではなく「高い増配率」にこそ価値があり、長期的に保有すると配当額が大きく成長する仕組みが魅力です。

 

Q2. どのくらい連続増配を続けているのか?


→ ロウズは60年以上にわたり連続して増配を行っており、配当王の一角を占めています。これは米国市場でも数少ない存在であり、経営の安定性や株主還元への強いコミットメントを示しています。

 

Q3. 直近の増配率はどの程度か?


→ 直近5年間のCAGRは16.9%と非常に高水準です。過去10年間でも17.9%を記録しており、米国小売業の中でも群を抜いた増配スピードです。

 

Q4. 配当性向は安全か?


→ 現在の配当性向は約38%で、利益の半分以下を配当に充てています。この水準なら景気後退時でもある程度の余裕を持って増配を続けることが可能と考えられます。

 

Q5. 景気後退が配当に影響する可能性は?


→ 住宅市場が冷え込むと短期的に業績が圧迫される可能性はあります。しかし、過去の実績からもロウズは不況下でも配当を維持し続けており、減配リスクは極めて低いと見られます。

 

Q6. ホームデポとの違いは?


→ ホームデポも配当成長株ですが、ロウズは価格戦略や地域密着型の運営を強みにしています。両社を比較すると、ロウズはやや規模で劣るものの、株主還元姿勢と増配率の高さでは引けを取りません。

 

Q7. 短期投資家と長期投資家、どちらに向く銘柄か?


→ 短期的に高配当収入を得たい投資家には不向きですが、長期保有で配当額の成長を享受したい投資家には最適です。特に10年、20年単位で複利を狙うポートフォリオに組み込みやすい銘柄です。

 

Q8. 自社株買いの実績はどうか?


→ ロウズは配当だけでなく、自社株買いにも積極的です。これによりEPS(1株当たり利益)を押し上げ、株価上昇と配当成長の両方を実現してきました。株主にとっては二重のリターンが期待できます。

 

Q9. 住宅市場の動向はどの程度影響するのか?


→ 金利上昇や住宅着工件数の減少は短期的にマイナス要因となり得ます。しかし、リフォームやDIY需要は景気に関わらず底堅く、長期的には安定した需要が見込めます。

 

Q10. 今後も20年、30年先まで増配を期待できるのか?


→ 絶対はありませんが、財務基盤が健全で配当性向も低いため、今後も長期的に増配が継続する可能性が高いと考えられます。インフレ環境下でも配当成長で購買力を維持できる点は大きな強みです。

 

 

Tags: 配当株 LOW
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。