← トップ

【NVIDIA決算速報】2025年Q1は売上+69%|AI・データセンター絶好調も中国リスクが浮上

By Staff | 2025-06-17

Category: マーケット情報

世界のAI・GPU市場をリードする**NVIDIA(NVDA エヌビディア)**が2025年第1四半期(会計年度2026年Q1)の決算を発表しました。

 

売上・利益ともに前年同期を大きく上回る好決算となりましたが、米国政府の輸出規制による影響も明確に現れました。

 


 

✅ 主な決算ハイライト(2025年2月〜4月)

 

  • 売上高:440億6,200万ドル(前年比 +69%)
  • 営業利益:216億3,800万ドル(+28%)
  • 純利益:187億7,500万ドル(+26%)
  • 1株当たり利益(EPS・希薄後):0.76ドル(前年 0.60ドル)
  • 粗利益率:60.5%(前年 78.4%)
  • 現金・有価証券:537億ドルに増加

     

粗利益率が大きく低下したのは、中国向け「H20」製品の在庫評価損4.5億ドルが主因です。

 


 

✅ セグメント別パフォーマンス

 

● Compute & Networking(AI・データセンター関連)がけん引

 

  • 売上:395億8,900万ドル(+75%)
  • データセンター単体での売上は391億1,200万ドルと、前年の約1.7倍に拡大
  • 新型「Blackwell」GPUの出荷が大手クラウドから地域プロバイダーまで拡大中

     

● Graphics(ゲーミング等)も着実に成長

 

  • 売上:44億7,300万ドル(+33%)
  • ゲーミング部門は37億6,300万ドル(前年:26億4,700万ドル)

     


 

✅ 地域別売上の動向

 

売上の約半分が米国外に分布しています。

 

  • 米国:207億3,900万ドル
  • シンガポール:90億1,700万ドル(ほとんどが米国企業による注文)
  • 台湾:71億5,800万ドル
  • 中国(香港含む):55億2,200万ドル

     

中国市場は成長しているものの、今後の動向には慎重な見極めが必要です。

 


 

✅ 輸出規制による影響とH20関連損失

 

2025年4月、米国政府が中国およびD:5国向けのH20製品に輸出ライセンスを義務化。これにより:

 

  • H20製品関連の在庫評価損と発注義務負債で合計45億ドルの費用発生
  • 粗利率が急落(60.5%まで低下)
  • 同製品の売上は46億ドルに達していたが、今後の見通しは不透明

     

NVIDIAは「米国の輸出規制に準拠した形で中国向けに競争力ある製品を供給できるかは不明」と明言しており、今後の中国市場撤退リスクが浮上しています。

 


 

✅ 資本政策と財務体質

 

  • 現金・有価証券残高:537億ドルに達し、短期・中期の運営資金は十分と明言
  • 自社株買い:1億2,600万株を145億ドルで買い戻し(前年同期の8億ドルから倍増)
  • 残存買戻し枠:243億ドル
  • 配当:1株あたり0.01ドル(2億4,400万ドルを配当支払い)

     


 

✅ サプライチェーンと在庫リスク

 

  • 在庫総額:113億3,300万ドル(前期比増)
  • H20関連だけで19億ドルの在庫評価損
  • 将来の調達義務は435億ドルに達し、うちFY2026中に314億ドルの支出見込み
  • 過剰在庫・発注リスク、品質問題、顧客需要の不確実性などが潜在的リスクに

     


 

✅ 規制・訴訟・戦略的課題

 

  • 米国やEU、中国などで競争・輸出規制の監視強化
  • AI関連製品・ファウンデーションモデル向けGPUに対する規制が拡大傾向
  • 仮想通貨マイニングとの関連訴訟が最高裁で差し戻し→継続中
  • デリバティブ訴訟も係属中(内部統制・在庫管理に関連)

     


 

✅ 今後の成長ドライバーと課題

 

NVIDIAはAIや加速計算、Omniverse、ロボティクスなど最先端分野で圧倒的なポジションを維持しています。

 

Blackwellアーキテクチャ自社製品の多様化・高頻度リリースにより、引き続き市場支配力を高めています。

 

一方で、地政学的リスク・規制対応コスト・競合(特に非米系)の台頭といった不確実性も増しており、安定成長のカギは「グローバル供給体制と政治環境への適応力」にかかっています。

 

 

 

Tags: 個別株 成長株 NVDA
マーケット概況
Profile Image
投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。