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S&P500に投資するならどのETF?VOO・IVV・SPY徹底比較ガイド

By Staff | 2025-10-14

Category: インデックス投資

S&P500に連動するETFの代表格といえば、VOO(Vanguard S&P500 ETF)・IVV(iShares Core S&P500 ETF)・SPY(SPDR S&P500 ETF)の3本です。

 

いずれも同じ指数をトラッキングしており、過去のリターンを比べても大きな差はほとんどありません。

 

ただし、コスト構造や流動性、配当の扱い、ETFの仕組みといった部分にはそれぞれ特徴があり、細かく見ると違いがはっきりと表れます。

 

それらの違いを理解しておくことで、将来の運用効率や再投資の判断をより的確に行えるようになります。

 

この記事では、VOO・IVV・SPYの特徴を横断的に比較し、さらに新たな低コストETFであるSPLGにも触れながら、S&P500 ETFの総合ガイドとして整理していきます。

 


 

S&P500 ETFとは?米国経済の“平均”に投資する仕組み

 

 

S&P500は米国を代表する大型株500社で構成される株価指数です。


時価総額ベースでは米国株市場全体の約80%をカバーしており、まさに「アメリカ経済の縮図」といえます。

 

過去50年以上のトータルリターン(配当込み)は年平均約10%強。


例えば、1970年に1万ドルをS&P500に投資していれば、2024年にはおよそ220万ドル前後に成長していた計算になります。


この数字は、長期的な複利効果と米国経済の持続的成長力を象徴しています。


この指数に連動するETFを保有すれば、個別株を選ばなくても、米国の成長そのものを取り込むことができます。

 

S&P500 ETF(VOO・IVV・SPY・SPLG)はいずれも同じ指数をベンチマークとしており、


「どのETFを買っても、米国上位500社への分散投資が実現する」という点が最大の魅力です。

 


 

基本スペックの比較:コスト・規模・上場市場

 

VOO・IVV・SPYの最もわかりやすい違いは、信託報酬と規模、そして上場市場です。

 

  • VOO:信託報酬 0.03%、純資産 約4,300億ドル、上場市場 NYSE Arca
  • IVV:信託報酬 0.03%、純資産 約4,600億ドル、上場市場 NYSE Arca
  • SPY:信託報酬 0.0945%、純資産 約5,000億ドル、上場市場 NYSE

 

VOOとIVVはほぼ同条件で、どちらも超低コスト運用。


一方SPYはややコストが高いですが、世界で最も取引量の多いETFとして知られています。

 

長期で積立投資を行うなら、VOOかIVVを選ぶことでわずかながらもリターンを改善できます。


コスト差は小さく見えますが、10年・20年と積み重なると数万円〜数十万円規模の差になることもあります。

 

詳しいデータはVOO・IVV・SPYの基本比較|信託報酬・純資産・取引所の違いで解説しています。

 


 

流動性とスプレッドの違い:短期と長期で視点が変わる

 

SPYの最大の強みは、その圧倒的な流動性です。


1日の取引量は他のETFを大きく上回り、スプレッドは0.01ドル前後と非常に狭い水準を維持しています。


短期売買や大口取引では、約定スピードの速さが大きなメリットになります。

 

一方、VOOやIVVのスプレッドも0.02〜0.03ドル前後と十分に狭く、長期の積立投資ではほとんど影響しません。


スプレッド差でリターンが変わることはまずないため、長期保有なら気にする必要はほぼゼロです。

 

取引スタイル別の考え方は、米国インデックスETFの流動性とスプレッド徹底解説で詳しく紹介しています。

 


 

投資スタイル別の選び方

 

ETFを選ぶ際は、数字だけでなく「どのように使うか」を考えることが大切です。

 

  • SPY:短期トレード向け。高流動性・約定の速さを重視する人に最適。
  • VOO:長期積立投資の王道。低コスト・高信頼・運用効率の三拍子がそろう。
  • IVV:貸株収益などの副次的リターンが期待でき、機関投資家にも人気。

 

どれも安心して保有できるETFですが、運用目的によって適したものが異なります。


具体的な判断シナリオは、VOO・IVV・SPYはどんな投資家に向いているか?で実例を交えて解説しています。

 


 

配当の仕組みと利回り

 

VOO・IVV・SPYはいずれも年4回(3・6・9・12月)に配当を支払います。


2022〜2024年の平均配当利回りは約1.4〜1.5%前後で、年度ごとに若干の変動があります。

 

配当金は自動的に再投資されず、投資家自身が再投資を行う必要があります。


ドル建てで受け取った配当をそのまま再投資することで、複利効果を高めることが可能です。

 

配当額は四半期ごとに変動し、企業利益や景気動向の影響を受けます。


2020年のコロナショック時には株価下落により一時的に利回りが2%を超えましたが、現在は落ち着いた水準に戻っています。

 

詳細はVOO・IVV・SPYの配当を徹底解説|利回り・支払い時期・再投資のポイントをご覧ください。

 


 

S&P500指数との乖離はほぼゼロ

 

2024年のS&P500トータルリターン(配当込み)は+25.0%。


VOO、IVV、SPYはいずれも+24.9%前後とほぼ完全に一致しています。


わずかな差が生じる原因は以下の通りです。

 

  • 経費率の違い
  • 配当再投資のタイミング
  • 貸株収益や税務処理の微差

 

いずれも投資成果に大きな影響を与えるものではなく、実質的な乖離はゼロに近い水準です。


より詳細なデータはVOO・IVV・SPYとS&P500指数の乖離はあるのか?で検証しています。

 


 

新興の低コストETF「SPLG」という選択肢

 

SPLG(SPDR Portfolio S&P500 ETF)は、SPYと同じ運用会社による新しい低コスト版ETFです。


経費率は0.02%と、VOO・IVVをさらに下回る水準。


構造はオープンエンド型で、SPYよりも再投資・税務効率に優れています。

 

取引量はVOOやSPYよりやや少ないものの、長期投資であれば十分な流動性を確保。


VOOやIVVと並ぶ、超低コストS&P500 ETFの第三の選択肢として注目されています。

 

詳しい比較はSPLGは選択肢になる?SPY・VOOとの違いを徹底比較で紹介しています。

 


 

構成銘柄を知ることで見えてくるS&P500の強さ

 

S&P500 ETFの中身は、米国上位500社の集合体です。


2025年時点の上位構成銘柄は以下のような顔ぶれです。

 

Apple、Microsoft、NVIDIA、Amazon、Alphabet、Meta、Berkshire Hathaway、UnitedHealth、Johnson & Johnson、Exxon Mobil

 

上位10社だけで指数全体の約34%を占めており、特にテクノロジーの比率が高まっています。


10年前と比べると、エネルギーや金融の比率が低下し、代わりにAIやクラウド企業が台頭しました。

 

S&P500 ETFを持つということは、米国経済の主役交代を自動的に取り込むことを意味します。


構成内容の変化は「S&P500 ETFの組入銘柄と構成比率を徹底解説」で詳しく説明しています。

 


 

まとめ:どのETFでも正解、だが選び方に「最適解」はある

 

VOO・IVV・SPYはいずれも、S&P500指数に連動する代表的なETFであり、どれを選んでも米国経済の成長をしっかり取り込むことができます。


長期のリターンや指数との乖離率を見ても、差はごくわずか。まさに「どれを選んでも間違いのないETF」といえます。

 

とはいえ、投資スタイルや重視するポイントによって、最適な選択肢は少しずつ異なります。


コスト効率を最優先にするなら、経費率が0.03%と低いVOOやIVVが理想的です。


短期売買やタイミング重視の取引を行うなら、圧倒的な取引量と約定スピードを誇るSPYが最適です。


そして、さらに低コストを追求したい人には、新興のSPLGも検討に値する選択肢です。

 

重要なのは、「どのETFなら自分が安心して長く持ち続けられるか」という視点です。


投資は数字だけではなく、心理的な安定や一貫した行動のほうが成果に直結します。


信頼できる運用会社のETFを選び、価格変動に左右されず淡々と積み立てていく。


その積み重ねこそが、長期投資で最も確実なリターンを生み出す道です。

 

S&P500 ETFは、米国の経済成長・企業の利益拡大・イノベーションを自動的に取り込める、非常にシンプルかつ強力な資産形成ツールです。


10年、20年という時間を味方につけて積み立てていくことで、株式市場の上昇とともに着実に資産が増えていきます。

 

結論として、VOO・IVV・SPYのどれを選んでも本質的な差はほとんどありません。


しかし、「自分の投資方針に最も合った一本」を選ぶことで、より長く、より快適に投資を続けることができます。


S&P500 ETFは、長期的な資産形成を目指す人にとって、まさに王道の選択肢といえるでしょう。

 

 


 

よくある質問(FAQ)

 

Q1. VOO・IVV・SPYのどれを選んでもリターンは同じですか?


基本的には同じです。どれもS&P500指数をトラッキングしており、構成銘柄や比率も共通です。
過去の実績では、1年間のリターン差は0.05%未満と誤差の範囲内です。
ただし、経費率や貸株収益などの細かい違いがあるため、長期的にはVOOやIVVのほうがやや有利になります。

 

Q2. SPYは他よりコストが高いのに、なぜ人気なのですか?


SPYは1993年に設定された世界初のETFで、歴史と取引量の多さが群を抜いています。
1日の売買代金は常にトップクラスで、短期トレーダーや機関投資家が中心に利用しています。
そのため、経費率は高めでも「流動性が最重要」という層から支持されています。

 

Q3. 配当は自動的に再投資されますか?


いいえ。VOO・IVV・SPY・SPLGはいずれも分配金支払い型ETFのため、自動再投資は行われません。
配当はドルで受け取る形となり、投資家が自分で再投資する必要があります。
再投資を行うことで複利効果を高めることができるため、長期保有では積極的な再投資が推奨されます。

 

Q4. 為替リスクはありますか?


あります。これらのETFは米ドル建てのため、為替レート(ドル円)の変動によって円換算の評価額が上下します。
ただし、長期で見れば為替変動よりも米国株そのものの成長がリターンの主因となるため、
多くの長期投資家は為替ヘッジなしで運用しています。

 

Q5. NISA口座でも購入できますか?


はい。新NISA口座ではVOOとIVVの取扱いが一般的で、多くの証券会社で購入可能です。
一方、SPYは一部の証券会社で取扱いが制限されている場合があります。
NISAでS&P500に投資するなら、VOOまたはIVVを選んでおくのが無難です。

 

Q6. SPLGはVOOやIVVより本当にお得ですか?


経費率は0.02%と確かに低いですが、取引量はVOOやIVVほど多くありません。
そのため、長期投資目的であれば有力な選択肢ですが、短期売買では約定コストがやや高くなる可能性もあります。
「低コストを最優先する長期派」にとっては、SPLGは魅力的な代替ETFです。

 

Q7. S&P500 ETFを複数同時に保有する意味はありますか?


基本的にはありません。どれも同じ指数をトラッキングしているため、複数を持っても中身は同じです。
ETFごとに運用会社が異なるだけなので、1本にまとめたほうが管理もシンプルです。

 

Q8. 今からS&P500に投資しても遅くないですか?


いいえ。S&P500は短期的に上下しますが、長期で見れば一貫して上昇してきました。
米国企業の生産性と人口成長、そしてイノベーションが支える市場であり、
10年・20年単位で見れば今からでも十分に長期リターンが期待できます。

 

Q9. 配当利回りが高いETFを選んだほうが有利ですか?


S&P500 ETFの配当利回りは1.4〜1.6%前後で大きな差はありません。
むしろ重要なのは「どれだけ効率的に再投資できるか」です。
配当が高くても、コストが高ければトータルリターンは下がります。
配当重視よりも、低コスト・長期成長重視のETF選びが結果的に有利です。

 

Q10. 為替ヘッジ付きのS&P500 ETFはありますか?


VOO・IVV・SPY・SPLGはいずれも米ドル建てで、為替ヘッジは行われていません。
ただし、為替ヘッジ付きの投資信託を利用すれば、同様の指数に円建てで投資することも可能です。
長期的には為替変動は平均化される傾向があるため、米ドル建てETFをそのまま保有する投資家が多いです。

 

Q11. ETFの分配金にかかる税金はどうなりますか?


米国ETFの分配金には米国で10%の源泉徴収がかかります。
さらに日本で課税(20.315%)されるため、二重課税のようになりますが、外国税額控除を利用すれば一部または全額を還付可能です。
特定口座を利用している場合でも、確定申告で調整すれば税負担を軽減できます。

 

Q12. 同じS&P500に投資するなら、投資信託とETFどちらがいいですか?


どちらにもメリットがあります。
ETFはリアルタイム取引ができ、透明性が高く、経費率が低い点が魅力です。
一方、投資信託は1日1回の基準価額で自動積立でき、為替手数料が不要な場合もあります。
少額からの積立なら投資信託、ドル建て資産を増やしたいならETFという使い分けがおすすめです。

 

Q13. いくつかのETFを分散して持つのは効果がありますか?


VOO・IVV・SPY・SPLGはいずれも同じS&P500指数をトラッキングしているため、複数を保有しても分散効果はほとんどありません。
ただし、投資信託や全世界株ETF(VTなど)と組み合わせることで、地域分散を強化することは可能です。
S&P500 ETFはポートフォリオの「中核」として位置づけ、その上で他の資産を追加していくのが理想的です。

 

 

Tags: インデックス投資
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。