
株価指数と不動産市場の関係性:米国株インデックスと米国REITの比較
By Staff | 2025-09-06
Category: インデックス投資
株式と不動産は、どちらも代表的な投資対象です。
株価指数は企業活動を反映する「成長資産」、不動産は賃料収入や現物価値を持つ「安定資産」として位置づけられます。
米国株インデックスを中心に投資を進める際、米国不動産市場やREITとの関係性を理解することはリスク分散の観点で重要です。
株価指数と不動産の基本的な性質
株価指数(S&P500やナスダックなど)は企業の収益や経済成長を反映し、過去長期で年率約10%前後のリターンを示してきました。
流動性が高く、いつでも売買できる点も特徴です。
一方、不動産は現物資産としての価値を持ち、インフレ耐性や賃料収入が魅力です。
ただし現物投資は流動性が低く、売買に時間がかかるという欠点があります。
そのため、多くの投資家は米国REITを通じて不動産市場に投資しています。
株と不動産の相関関係
株と不動産は同じ経済成長の恩恵を受けるため、長期的にはある程度連動します。
ただし短期的には金利や景気サイクルにより異なる動きを見せることが多いです。
金融緩和期:株価も不動産も上昇しやすい
金利上昇期:株価指数は割引率上昇で下落、不動産は借入コスト増で下落圧力
実際に2008年リーマンショックでは株と不動産が同時に急落しましたが、2020年のコロナショックでは株は急落後に急回復、不動産価格は低金利を背景にむしろ上昇を続けました。
データで見るリターン比較
- S&P500の過去20年平均リターン:約10%前後
- 米国REIT指数(FTSE NAREIT All Equity REITs)の過去20年平均リターン:約8〜9%
- 配当込みのリターンではREITが株式に迫る成績を示す時期もある
例えば2010年から2020年の10年間で、S&P500は年率約13.6%、米国REITは年率約9.3%でした。
両者とも長期で成長していますが、株の方がより高いリターンを生み出しています。
REIT市場の特徴と日本からの投資
REIT(不動産投資信託)は株式市場で売買できるため、現物不動産より流動性が高く、利回りも比較的安定しています。
米国REITは配当利回りが3〜4%程度あり、インカム収入を重視する投資家に適しています。
米国REIT ETFを直接購入するには、IBKRなどの海外口座を利用する必要があります。
国内証券会社経由では、米国REITを組み入れた日本の投資信託を通じて間接的に投資するのが一般的です。
株と不動産を組み合わせるメリット
株と不動産を組み合わせることで、景気サイクルや金利変動に強いポートフォリオを作れます。
- 株:成長性が高く、資産拡大の中心
- 米国REIT:安定した配当収入とインフレヘッジの役割
- 組み合わせにより、下落局面でも資産全体の変動を抑えやすくなる
株と不動産を組み合わせる際の注意点
- REITは株式市場で取引されるため、株価指数と同時に下落する局面もある
- 金利上昇局面ではREITに逆風となりやすい
- 比率を高めすぎると、株式の成長を取り込む力が弱まる可能性がある
日本からの実践的アプローチ
米国株インデックスを投資の軸とし、補完的に米国REITを組み入れるのが現実的です。
- 資産全体の5〜15%程度をREITに配分するのが一般的な目安
- 米国REITを組み入れた日本の投資信託を積立購入する方法がシンプル
- より本格的に米国REITに投資する場合は、IBKRなど海外口座を開設して直接投資する必要がある
まとめ
株価指数と不動産市場は同じ経済の影響を受けますが、短期的な動きは異なります。
株は成長を取り込む「攻め」の資産、不動産(REIT)は安定とインカム収入をもたらす「守り」の資産です。
両者を適切に組み合わせることで、長期にわたり安定した資産形成が可能となります。
FAQ
Q1. 株とREIT、どちらのリターンが高いですか?
長期的には株(S&P500)の方が高いリターンを示してきましたが、REITも配当込みで安定した成績を残しています。例えば2010〜2020年ではS&P500が年率約13.6%、米国REITは約9.3%のリターンでした。
Q2. REITと現物不動産はどう違いますか?
REITは株式市場で売買できるため流動性が高く、少額から投資可能です。現物不動産は安定感はあるものの、初期投資額が大きく流動性に欠けます。
Q3. 金利上昇時にはどちらが有利ですか?
金利上昇は株にも不動産にも逆風ですが、特にREITは借入コスト増や利回りの相対的魅力低下で打撃を受けやすいです。
Q4. 株とREITを同時に持つメリットは?
景気や金利の影響を分散でき、ポートフォリオ全体の変動幅を抑えられる可能性があります。また、株の成長とREITの配当を組み合わせることで安定感が増します。
Q5. 米国REITへの投資はどうやって行えますか?
国内証券会社では米国REIT ETFを通じて投資できます。本格的に個別REITへ投資する場合は、IBKR(Interactive Brokers)など海外口座が必要です。
Q6. REITは株式市場とどれくらい相関がありますか?
相関は中程度です。株価が大きく下がる局面ではREITも下落することが多いですが、配当収入により下落幅を抑える効果があります。
Q7. REITはインフレに強いと聞きますが本当ですか?
はい。インフレ時には賃料の上昇や不動産価値の上昇が起こりやすいため、長期的にはインフレヘッジ効果があります。ただし短期的には金利上昇の影響で株式と同様に調整することもあります。
Q8. 日本のREIT(J-REIT)と米国REITはどう違いますか?
J-REITはオフィスビルや商業施設が中心で利回りは3〜4%前後、米国REITは住宅、物流、ヘルスケアなど多様なセクターがあり、成長性と分散効果に優れます。米国REITの方が規模が大きく歴史も長いです。
Q9. 配当課税はどのようになりますか?
米国REITの分配金は米国で源泉徴収され、日本でも課税対象となります。二重課税を避けるためには外国税額控除を利用できます。ETFを通じた投資でも同様の仕組みが適用されます。
Q10. 株とREITの比率はどう決めれば良いですか?
一般的には株をメイン(70〜90%)、REITをサブ(10〜30%)とするのが多いです。インカム収入を重視するならREITの比率を増やし、成長性重視なら株を厚めにするのが現実的です。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。