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円高局面で米国ETFを買った場合の成績:ドルと円で見る投資効果

By Staff | 2025-09-06

Category: インデックス投資

米国ETFに投資する際は、株価の動きだけでなく為替の変動も投資成果に大きな影響を与えます。

 

特に円高局面は「安くドルを買える」タイミングであり、長期投資家にとっては有利なエントリーポイントになることが多いです。

 

実際に過去の円高局面でETFを買った場合の成績を、ドル建てと円建ての両方で検証してみましょう。

 


 

為替が投資成績に与える影響

 

  • ドル建てで利益が出ても、円高が進むと円換算リターンは減少する
  • 逆に円安が進めば、株価が横ばいでも円換算ではプラスになることがある
  • 投資成績は「株価リターン+為替リターン」で決まる

 

この仕組みを理解しておくと、円高時に米国ETFを買う戦略の有効性が見えてきます。

 


 

歴史的な円高局面の例

 

  1. 1995年:1ドル=79円(戦後最強水準)
  2. 2011年:1ドル=75円(リーマンショック後、東日本大震災後に円高加速)
  3. 2020年:コロナショック後に一時的な円高(1ドル=102円前後)

 

これらの局面で米国ETFを購入した投資家は、その後の円安によって為替差益を得られました。

 


 

シミュレーション:2011年に米国ETFを購入した場合

 

  • 2011年10月、1ドル=75円で1万ドル分のETFを購入(投資額75万円)
  • ETF価格がその後2倍になり、2025年には2万ドルに成長
  • 2025年のドル円=145円で換算すると、2万ドル×145円=290万円
  • 円建てリターンは75万円→290万円で約3.9倍

 

ドル建てリターンは+100%ですが、為替の円安効果が加わり、円建てでは+286%に拡大しています。

 


 

シミュレーション:2020年コロナショック時に購入した場合

 

  • 2020年3月、1ドル=102円で1万ドル分のETFを購入(投資額102万円)
  • 2025年にそのETFが2万ドルに成長
  • 2025年のドル円=145円で換算すると、2万ドル×145円=290万円
  • 円建てリターンは102万円→290万円で約2.8倍

 

わずか5年ほどで投資額が3倍近くになった計算です。

 

株価上昇に加え、為替の円安効果が資産を押し上げています。

 


 

円高で買うメリット

 

  • ドル資産を割安に仕込める
  • 株価の上昇と円安が重なるとリターンが増幅
  • 為替の動きに助けられる形で、予想以上の成績になることがある

 


 

円高で買う際のリスク

 

  • 円高局面は世界的なリスクオフ局面と重なることが多く、株価も同時に下落している場合が多い
  • 投資直後に含み損を抱える可能性がある
  • 為替の方向性を正確に予測するのは困難

 

したがって「絶好の円高局面で全額投資」というよりも、積立を継続しながら円高時に追加投資を行う方が現実的です。

 


 

長期投資家への示唆

 

  • 為替水準を完璧に予測するのは不可能
  • しかし過去のデータを見ると、円高で買った人ほど長期的に有利になりやすい
  • 為替差益と株価成長を同時に取り込むことができるため、円高局面は「仕込みのチャンス」と考えるのが自然

 


 

まとめ

 

円高局面で米国ETFを買っていた場合、株価の上昇に加えて為替の円安効果で円建てリターンは大幅に拡大していました。

 

2011年に1ドル=75円で投資したケースでは、ドル建てで2倍のリターンが円建てでは約3.9倍に。

 

2020年の円高局面でも同様に約2.8倍の成績を残しています。


為替を完全にコントロールすることはできませんが、長期投資の観点から「円高は仕込みの好機」であることは過去のデータが示しています。

 


 

FAQ

 

Q1. 円高と円安、どちらのタイミングで米国ETFを買うのが有利ですか?


円高時に買うとドル資産を割安に取得でき、その後円安になれば為替差益が得られます。ただし円安時でも株価上昇が大きければ十分なリターンを得られるため、長期投資ではどちらも有効です。

 

Q2. 円高局面はどうやって判断できますか?


1ドル=100円を大きく割り込む水準や、過去数年の為替レンジの下限に近いときが円高局面の目安です。ただし「これ以上円高にならない」と断言するのは難しいため、分割して投資するのが現実的です。

 

Q3. 為替ヘッジ付きETFを選んだ方がいいですか?


短期投資では有効ですが、長期投資ではコスト負担が積み重なり不利になるケースがあります。米国ETFに長期で投資する場合は、ヘッジなしの方が結果的に有利になることが多いです。

 

Q4. 円高の時は米国株も下がることが多いのですか?


はい。円高は世界的にリスクオフの環境で起こることが多く、そのタイミングでは米国株も同時に下落しているケースが多いです。ただし長期で見れば株価は回復するため、円高局面は「安く仕込むチャンス」となります。

 

Q5. 円安の時に投資しても損をするのでしょうか?


必ずしもそうではありません。たとえ円安でドルを高く買っても、その後の株価成長が大きければリターンは十分にプラスになります。円安時は株価水準にも注目しながら投資判断をするとよいでしょう。

 

Q6. 為替相場を気にせず積立投資しても効果はありますか?


あります。毎月の積立投資なら円高・円安を平均化できるため、為替リスクを自然に分散することができます。長期で資産を育てたい人にとっては合理的な方法です。

 

Q7. 過去の最強の円高局面はどのくらいの水準でしたか?


1995年に1ドル=79円、2011年に75円を記録しました。この水準で投資できた人は、その後の円安によって為替差益が大きくリターンを押し上げています。

 

Q8. 為替リスクを避けたい場合はどうすればいいですか?


為替ヘッジ付き投資信託や国内ETFを活用する方法もあります。ただしコストや長期的なリターンへの影響を考慮する必要があります。

 

 

Tags: インデックス投資
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。