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【UNH決算】UnitedHealth Group 2025年Q2決算を解説|増収も医療費高騰で減益、2026年回復見込み

By Staff | 2025-07-29

Category: マーケット情報

2025年7月29日、米最大の医療保険企業であるUnitedHealth Group(UNH)は、第2四半期決算とともに一時停止していた2025年通期見通しを再提示しました。

 

売上は両事業(UnitedHealthcare・Optum)で伸びた一方、医療費の上昇とメディケア財源の削減が収益を圧迫する形となりました。

 


 

✅主要業績ハイライト(前年同期比)

 

  • 売上高:1,116億ドル(+12.9%)
  • 営業利益:52億ドル(−34%)
  • 純利益率:3.1%(前年4.3%)
  • EPS(希薄化後):$3.74(−17.6%)
  • 調整後EPS:$4.08(前年$6.80から大幅減)
  • 医療費比率(MCR):89.4%(+4.3pt)
  • 営業コスト比率:12.3%(−1.0pt)
  • 営業キャッシュフロー:72億ドル(純利益の約2倍)
  • 株主還元:配当5%増($2.21)+45億ドルの配当・自社株買い実施

 


 

🏥セグメント別の業績と見通し

 

UnitedHealthcare(保険・給付サービス)

 

  • 売上:861億ドル(+17%)
  • 営業利益:21億ドル(−48%)
  • 営業利益率:2.4%(前年5.4%)
  • 医療給付利用者数:5,000万人(年初から77万人増)
  • 主な課題:単価上昇と患者数増加による医療費高騰(Medicare Advantageの医療費トレンドは+7.5%、価格設定は+5%程度)
  • 通期売上見通し:3,440〜3,455億ドル(前年比+15%以上)
  • 営業利益見通し:90〜93億ドル
  • 2026年以降の価格・給付設計を再構築中(医療費上昇が加速するとの想定)

 

Optum(医療サービス部門)

 

  • 売上:672億ドル(+6.8%)
  • 営業利益:31億ドル(−21%)
  • 営業利益率:4.6%(前年6.2%)
  • 通期売上見通し:2,660〜2,675億ドル
  • 営業利益見通し:125.5〜128.5億ドル

 

◉Optum Health(診療・ケア関連)

 

  • 売上:252億ドル(−7%)
  • 営業利益:6.36億ドル(前年19億ドルから大幅減)
  • 主因:旧契約の影響・Medicare削減・価格設定ミス・患者ミックス悪化
  • Value-Based Care対象者数:500万人(当初計画より減少)
  • 通期売上見通し:1,011〜1,016億ドル(前年比−4%)
  • 営業利益見通し:30〜31億ドル

 

◉Optum Insight(情報・アナリティクス)

 

  • 売上:48億ドル(+6%)
  • 営業利益:9.98億ドル(前年5.46億ドルから急増)
  • 要因:Change Healthcareサイバー攻撃影響の軽減、製品ミックスの改善
  • 通期売上見通し:190〜195億ドル
  • 営業利益見通し:35.5〜36.5億ドル

 

◉Optum Rx(薬局サービス)

 

  • 売上:385億ドル(+19%)
  • 営業利益:14億ドル(前年同水準)
  • 営業利益率:3.7%(前年4.3%)
  • 処方件数(調整後):4.14億件(+7.2%)
  • 通期売上見通し:1,510〜1,515億ドル
  • 営業利益見通し:60〜61億ドル

 


 

⚠️リスクと対応

 

  • 医療費トレンド:価格上昇+利用率増で利益圧迫(2026年は+10%を想定)
  • Medicare予算削減:両セグメントに影響
  • 個人保険市場の損失:6.2億ドル含む12億ドルの一時的損失計上
  • 過少価格設定:完全リスク型契約が想定外のコスト増を招く
  • オペレーション改善(Optum):展開地域と医師ネットワークの質に集中し、拡大計画を一部縮小

 


 

🔮今後の展望と戦略

 

  • 2025年通期見通し(再提示):

     

    • 売上高:4,455〜4,480億ドル
    • EPS:$14.65以上(調整後$16.00以上)
    • 営業キャッシュフロー:約160億ドル
    • 医療費比率:89.25%±0.25pt

 

  • 2026年以降の回復を見据える

     

    • 経営陣は「高品質で手頃な医療提供を維持しつつ、収益成長軌道への回帰を目指す」と明言
    • 価格設定・給付設計の見直し、オペレーション改善、コスト管理を強化中

       


 

✍️編集部コメント

 

UnitedHealth Groupの2025年Q2は、表面的には減益で厳しい結果に見えますが、背後にある要因は業界全体に共通する「医療費インフレ」と「制度改正」です。

 

その中でも同社は売上をしっかりと伸ばし、キャッシュ創出力も維持。2026年以降の利益回復に向けた準備が着々と進んでいます。

 

医療制度の動向に敏感な銘柄ではありますが、長期的視点での成長余地と安定したキャッシュフローは、ポートフォリオのディフェンシブ枠としての魅力を持ち続けています。

 

Tags: 個別株 UNH
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投資忍者 プロフィール

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「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。