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米国小型株インデックスETF資金流入状況とリターン分析

By Staff | 2025-09-07

Category: インデックス投資

米国小型株は成長余地が大きい一方、景気動向に敏感で値動きが激しい資産クラスです。

 

小型株インデックスETFを活用すれば、個別株を選ばずに幅広い企業に分散投資できます。

 

この記事では、最近の資金流入状況や過去のパフォーマンスを確認し、投資戦略のヒントを探ります。

 


 

米国小型株インデックスETFとは

 

小型株とは時価総額が数億〜数十億ドル規模の企業を指し、米国経済の内需や景気循環の影響を受けやすいのが特徴です。

 

代表的なインデックスとETFには以下があります。

 

  • Russell 2000に連動するIWM(iShares Russell 2000 ETF)、VTWO(Vanguard Russell 2000 ETF)

     

  • S&P SmallCap 600に連動するIJR(iShares Core S&P Small-Cap ETF)、SLY(SPDR S&P 600 Small Cap ETF)

     

これらのETFは数百から2000社規模の銘柄を網羅しており、大型株中心のS&P500とは異なる動きを見せます。

 


 

資金流入・流出の現状

 

最近の資金フローをみると、2023年は米金利上昇と景気減速懸念により小型株ETFから資金流出が目立ちました。

 

特にIWMは2022年のインフレ局面で1年間に約80億ドルの資金流出を経験しました。


一方で2024年初頭はFRBの利下げ観測が強まり、数十億ドル規模の資金が戻りつつあります。

 

投資家のリスク選好姿勢が回復する局面では、小型株ETFへの資金流入が加速する傾向があります。

 


 

過去の資金動向とパフォーマンス

 

歴史的にみても資金フローは景気サイクルと連動しています。

 

  • 2010年代後半:IWMは好調で、2016〜2019年にかけて年平均約8%のリターンを記録し、資金流入が続いた
  • コロナショック後:2020〜2021年にかけて小型株が急騰し、IWMは2020年だけで約20%上昇、2021年前半には一時40%超のリターンを示した
  • 2022年:金利急上昇の影響でIWMは約−20%と大幅下落、資金流出に転じた

 


 

小型株ETFの5年・10年リターン

 

代表的ETFのリターン(2023年末時点、配当込みトータルリターン)は以下の通りです。

 

  • IWM(Russell 2000連動)

     

    • 5年リターン:約+18%(年率換算3.3%)
    • 10年リターン:約+90%(年率換算6.6%)

       

  • IJR(S&P SmallCap 600連動)

     

    • 5年リターン:約+30%(年率換算5.3%)
    • 10年リターン:約+120%(年率換算8.2%)

       

比較としてS&P500(VOOなど)は

 

  • 5年リターン:約+85%(年率換算13%強)
  • 10年リターン:約+185%(年率換算11%)

     

小型株は米国株全体と比べると短期的な弱さが目立ちますが、長期では一定の成長を示しています。

 


 

小型株ETFの特徴と注目点

 

  • 成長性:新興企業やイノベーション企業が多く、高い成長ポテンシャルを持つ
  • 景気循環:景気回復局面では資金が集まりやすい
  • ドルの影響:海外比率が低く米国内市場依存度が高いため、為替より米景気の影響が大きい
  • 分散効果:大型株中心のポートフォリオを補完できる

     


 

資金流入が意味すること

 

小型株ETFへの資金流入は投資家のリスク許容度の高まりを反映します。

 

特にFRBの金融緩和局面では資金が小型株へ回りやすく、株価上昇を後押しします。

 

逆に資金流出が続く局面では景気悪化懸念が高まっているサインとなることもあります。

 


 

投資戦略の考え方

 

小型株ETFはボラティリティが高いため、ポートフォリオのコアではなくサテライトとして活用するのが現実的です。

 

  • 比率は5〜15%程度が目安
  • 景気循環に左右されやすいため、一括投資より積立で時間分散するのが有効
  • 新NISAでは成長投資枠を活用し、IWMやIJRを少額ずつ積立する方法が考えられます

 


 

まとめ

 

米国小型株インデックスETFは、資金流入動向から投資家心理や景気サイクルを映すバロメーターでもあります。

 

短期的な成績は不安定ですが、長期では一定の成長力を発揮してきました。

 

大型株一辺倒のポートフォリオに小型株を加えることで、分散効果とリターン拡大の可能性を高めることができます。

 


 

FAQ

 

Q1. 小型株ETFは大型株ETFよりリスクが高い?


A. 値動きは大きく、景気減速局面では下落幅も大きくなります。ただし分散効果を考えれば長期的にポートフォリオの一部として活用する意義はあります。

 

Q2. 景気後退局面ではどうなる?


A. 小型株は米国内需要に依存するため、景気悪化時には大型株以上に下落する傾向があります。

 

Q3. 為替リスクはどの程度考慮すべき?


A. 小型株は米国内企業が中心のためドル円の影響は直接的ではありません。ただし円建てで投資する場合はドル円の変動が最終的なリターンに反映されます。

 

Q4. 新NISAで小型株ETFを積立するのは有効か?


A. 成長投資枠で少額ずつ積立するのは有効です。コアではなくリスク分散の補完として利用するのが現実的です。

 

Q5. 小型株ETFとグロース株ETFの違いは?


A. グロース株ETFは大型テック企業が中心ですが、小型株ETFはより幅広い産業を含み、内需依存度が高いのが特徴です。

 

Q6. IWMとIJRのどちらを選ぶべき?


A. IWMは銘柄数が多く分散度が高い一方、IJRは信託報酬が低く過去のリターンも相対的に良好です。長期投資なら低コストのIJRが有力候補となります。

 

Q7. 小型株ETFは長期投資に向いているのか?


A. 短期的には景気や金利動向で大きく上下しますが、10年以上の長期で見れば成長余地がある資産クラスです。積立投資との相性は良いといえます。

 

 

Tags: インデックス投資
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。