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VOO・IVV・SPYの基本比較|信託報酬・純資産・取引所の違いをわかりやすく解説

By Staff | 2025-10-13

Category: インデックス投資

S&P500に連動するETFとして定番のVOO・IVV・SPYは、いずれも高い人気を誇ります。


どれも同じ指数をベンチマークとしているため、リターンに大きな差はありません。


しかし、運用会社や信託報酬、純資産規模、上場市場などの基本的な仕様を見ると、意外と違いがあることが分かります。

 

こうした違いを知っておくと、自分の投資スタイルに合ったETFをより納得して選ぶことができます。


この記事では、VOO・IVV・SPYの信託報酬・純資産・取引所の違いを中心に、基本情報を整理します。

 


 

運用会社とETFの概要

 

 

まず、それぞれのETFを運用している会社から見ていきましょう。


VOOを運用するのはVanguard社。

 

1975年設立以来、「低コスト・長期投資」を掲げており、個人投資家に根強い支持があります。


IVVはBlackRock社のiSharesブランドで提供され、機関投資家からの信頼も厚いETFです。


一方、SPYはState Street社が運用するSPDRシリーズの旗艦ETFで、1993年に世界で初めて上場したETFとして知られています。

 

それぞれが異なるブランド背景を持ちながらも、いずれも世界最大級の資産運用会社によって管理されています。

 

どれを選んでも運用面での信頼性は非常に高いといえるでしょう。

 

 


 

信託報酬(経費率)の比較

 

 

VOOとIVVはいずれも年率0.03%と超低コストで運用されています。


一方、SPYは0.0945%とやや高めの設定です。

 

SPYの経費率が高い理由は、ETF黎明期に設計された古い信託構造を採用しているためです。


その後に登場したVOOやIVVは、運用効率を改善した新しい設計でコストを大幅に引き下げています。

 

この差は一見わずかに見えますが、長期保有ではじわじわと効いてきます。


たとえば100万円を10年間、年率7%で運用した場合、経費率0.03%と0.0945%の差によって最終的な資産額は約9,000円ほど変わります


単純計算では6,000円程度の差ですが、複利の効果を考慮すると「機会損失」としてもう少し大きくなるのです。

 

年単位では小さな差でも、10年、20年と積み重なれば確実にリターンを押し下げる要因になります。


したがって、コストを重視する長期投資ではVOOやIVVがより有利といえます。

 

 


 

純資産総額と取引量の違い

 

 

3つのETFはいずれも世界最大級の規模を誇りますが、2025年時点では順位にわずかな変化が見られます。


SPYの純資産は約6,830億ドル、IVVは約6,309億ドル、VOOは約6,568億ドルと、いずれも6,000億ドルを超える規模に成長しています。

 

かつてはSPYが常に最大でしたが、近年ではVOOとIVVが急速に資産を伸ばしており、VOOがSPYに迫る勢いとなっています。


この背景には、低コスト志向の長期投資家がVanguardやBlackRockのETFを選ぶ傾向が強まっていることが挙げられます。

 

もっとも、取引量という観点では依然としてSPYが圧倒的です。


1日の平均売買代金は依然として数兆円規模に達しており、流動性では他のETFを大きく上回ります。


一方、VOOとIVVも個人投資家が不自由を感じることのない十分な出来高を持っています。

 

 


 

上場市場(取引所)の違い

 

 

VOOとIVVはNYSE Arcaに上場しています。


これは電子取引を中心とした市場で、ETFの取引に最も適した環境です。


一方、SPYはNYSE(ニューヨーク証券取引所)本体に上場しており、こちらはより伝統的な取引市場です。

 

上場市場の違いが投資家に直接影響することはほとんどありませんが、取引量の多さという点ではSPYが圧倒的です。


そのため、短期的な売買や大口取引では、SPYの方がスプレッドが狭く約定も速い傾向にあります。

 

もっとも、一般的な個人投資家が日本の証券会社を通じて取引する場合、3銘柄とも流動性は十分に高く、スプレッドの差を体感することはほとんどありません。


つまり、短期トレーダーにはSPY、長期保有派にはVOO・IVVという使い分けで考えれば十分です。

 

 


 

その他の基本仕様の違い

 

 

細部を見ていくと、ETFの設定時期や配当の扱いにも若干の違いがあります。


SPYは1993年に上場した世界最古のETFで、IVVは2000年、VOOは2010年に登場しました。


登場時期が新しいほど信託構造が効率化されており、VOOとIVVのコスト優位性につながっています。

 

また、SPYは四半期ごとの配当支払いが最も早く、VOOとIVVはやや遅れる傾向があります。


さらに、IVVには貸株収益を投資家に還元する仕組みがあり、わずかですがその分配当金が上乗せされる年もあります。

 

こうした違いは運用面ではごく小さいものの、投資スタイルに合わせて選ぶ上で参考になります。

 

 


 

比較から見える選び方のポイント

 

 

数値上の違いはわずかですが、目的に応じた使い分けができます。


たとえば短期的な売買や市場ヘッジを行うなら、圧倒的な流動性を持つSPYが最適。


一方、長期積立やNISA口座での運用を想定しているなら、低コストのVOOやIVVが有利です。

 

VOOはVanguardの「長期・低コスト運用」の哲学を体現しており、個人投資家の積立投資との相性が抜群です。


IVVはBlackRockによる堅実なマネジメントと貸株収益の仕組みが魅力で、安定性を求める長期投資家に向いています。


SPYは歴史と流動性で抜きん出ており、短期トレーダーやプロ投資家からの支持が根強いETFです。

 

 


 

まとめ:数字で見れば小さな差、どれを選んでも安心できる3銘柄

 

 

VOO・IVV・SPYはいずれもS&P500に連動し、信託報酬・純資産・取引量の面で世界でもトップクラスのETFです。


SPYは取引量で群を抜き、VOOとIVVはコスト面で優れています。

 

リターン差は誤差の範囲にとどまるため、最終的には投資スタイルと保有期間に合わせて選ぶことが重要です。


どれを選んでも、S&P500という米国市場の成長を効率的に取り込むことができます。


安心して長期保有できるETFを選び、シンプルな積立投資を続けていくことが、最も確実な資産形成への道です。

 

それぞれのETFの特徴を数字で理解したうえで、次は自分の投資スタイルに合った銘柄を見極めることが大切です。


詳しくは、以下の記事でVOO・IVV・SPYを総合的に比較し、最適な選び方を解説しています。


S&P500に投資するならどのETF?VOO・IVV・SPY徹底比較ガイド

 


 

FAQ

 

 

Q1:SPYが最も有名なのに経費率が高いのはなぜ?


設計当初の古い信託構造を維持しているためで、コスト引き下げが難しいためです。

 

Q2:純資産が多いETFを選ぶメリットは?


流動性が高く、スプレッドが狭くなりやすい点です。大口取引でも約定がスムーズになります。

 

Q3:信託報酬の差はどの程度リターンに影響しますか?


短期ではほぼ影響しませんが、10年以上の長期保有では小さな差が積み重なってリターンに差が出ます。

 

Q4:日本のNISAで買うならどれがいい?


長期投資を前提とするNISAでは、低コストで積立に適したVOOまたはIVVが現実的です。

 

 

Tags: インデックス投資

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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。