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VOO・IVV・SPYの配当の仕組みと違いを解説|利回り・支払い時期・再投資のポイント

By Staff | 2025-10-12

Category: インデックス投資

S&P500に連動するETFの中でも、VOO・IVV・SPYは長期投資の定番といえます。


どれも同じ指数をベンチマークにしているため、リターンの差はほとんどなく、配当の扱いもほぼ同じです。

 

それでも、配当の支払いタイミングや利回りにはごくわずかな違いがあります。


長期的には投資成果に大きな影響はありませんが、仕組みを理解しておくとETF選びへの安心感が高まります。

 


 

ETFの配当と分配金の基本

 

 

ETFの配当は、組み入れ銘柄から受け取る配当金を投資家に分配する形で支払われます。


米国ETFでは、配当金は通常「四半期ごと」に支払われ、VOO・IVV・SPYもすべて3月・6月・9月・12月に分配があります。

 

配当の仕組みはシンプルです。

 

  • ETFが保有する企業から配当金を受け取る
  • それをETFホルダーに「分配金」として支払う
  • 投資家はその分配金をドルで受け取り、必要に応じて手動で再投資できる

 

VOO・IVV・SPYはいずれも分配金支払い型ETFで、自動再投資機能はありません。


配当を活用して買い増しをしたい場合は、自分で再投資を行うことができます。

 


 

VOO・IVV・SPYの配当スケジュールと利回り

 

 

それぞれのETFは年4回の配当を実施しており、時期はほぼ同じですが、支払日や金額は若干異なります。

 

配当支払いの一般的な時期

 

  • VOO:3月下旬、6月下旬、9月下旬、12月下旬
  • IVV:3月中旬、6月中旬、9月中旬、12月中旬
  • SPY:3月上旬、6月上旬、9月上旬、12月上旬(3つの中で最も早い)

 

2024年の配当利回り(ドル建てベース)

 

  • VOO:約1.43%
  • IVV:約1.45%
  • SPY:約1.47%

 

このように、3つのETFの利回り差はわずか0.04%程度。

 

2024年のS&P500指数のトータルリターン(配当込み)が約+25.0%であったことを考えると、配当部分の違いは実質的に誤差の範囲です。

 


 

配当額は固定ではなく、四半期ごとに変動する

 

 

VOO・IVV・SPYの配当額は「固定」ではありません。


四半期ごと、そして年ごとに金額が変わります。

 

これはETFが受け取る企業配当が、経済状況や企業業績によって変動するためです。

 

ETFの分配金は次のような流れで決まります。

 

  • ETFが保有するS&P500構成銘柄から配当を受け取る
  • その合計額から経費を差し引き、ETFホルダーに分配する
  • よって、構成企業の増配・減配がETFの配当に直接反映される

 

たとえば、2023年と2024年を比較すると、S&P500企業全体の増配率が約5〜6%だったことを受け、VOO・IVV・SPYの年間分配金もそれに合わせて上昇しました。


逆に、景気減速期や企業利益が落ち込む年には、分配金が一時的に減ることもあります。

 

このように、ETFの配当は「安定的だが一定ではない」という点を理解しておくことが大切です。


特に四半期配当の金額は毎回異なるため、配当利回りを比較する際は「直近12か月分配金(TTM)」などの指標を使うと、より実態を把握しやすくなります。

 


 

S&P500連動ETFの配当利回りの推移と特徴

 

 

VOO・IVV・SPYといったS&P500連動ETFの配当利回りは、過去10年間を通しておおむね安定しています。


株価水準や金利環境によって多少の変動はあるものの、「おおむね1.5%前後で推移する」というのが長期的な特徴です。

 

2010年代半ばまでは利回りが2%近くありましたが、その後の株価上昇に伴って利回りは低下傾向となりました。


たとえば、

 

  • 2016年〜2018年頃は 約1.8〜2.0%
  • 2019年〜2021年頃は 約1.3〜1.6%
  • 2022年〜2024年は おおむね1.4〜1.5% の範囲で推移しています。

 

コロナショック期(2020年) には株価の急落で一時的に 2%超 まで上昇しましたが、これは配当額が増えたというより、株価が下がったために利回りが高く見えたものです。

 

長期的に見ると、S&P500企業の配当は緩やかな増配傾向が続いており、ETFの分配金もそれに連動して少しずつ増加しています。


この安定性こそ、S&P500連動ETFが長期保有に向いている理由の一つです。

 


 

わずかな違いを生む3つの要因

 

 

1. 経費率の違い

 


VOOとIVVはともに経費率0.03%、SPYは0.0945%。


この小さな差が、純配当額にごくわずかな影響を与えます。

 

 

2. 貸株収益の還元方法

 


IVVは貸株収益の一部を投資家に還元する仕組みを持っており、これがわずかに分配金に上乗せされるケースがあります。

 

 

3. 支払いタイミングと構造の違い

 


SPYは信託構造が他の2つと異なり、分配金の処理が早くなる傾向があります。


VOO・IVVはより新しい構造を採用しており、効率面では優れていますが、配当支払いはSPYよりやや遅いことが多いです。

 

これらの違いは年単位で見ればごく小さく、長期的にはほぼ同じリターンに収束します。

 

 


 

配当の再投資で複利効果を最大化

 

 

VOO・IVV・SPYはいずれも自動再投資型ではないため、受け取った配当金をそのまま保有口座に残すと、次の成長に活かせません。


再投資を行うことで複利効果が得られ、10年以上の運用では結果に大きな差が出ます。

 

たとえば、VOOを10年間保有し、毎回の配当を再投資した場合としなかった場合では、トータルリターンに約15〜20%程度の差が生まれるというシミュレーションもあります。


配当を自分で再投資する習慣を持つことで、より効率的に資産を増やせます。

 


 

日本での課税と注意点

 

 

米国ETFの配当には、米国源泉税10%が自動で差し引かれ、日本ではさらに20.315%(所得税・住民税)が課税されます。


つまり、トータルで約30%前後の税負担となります。

 

  • NISA口座では日本側の税金が免除されるが、米国源泉税10%は課税される
  • 外国税額控除を利用すれば、条件によっては米国源泉税の全額または大部分を取り戻すことができる
  • 為替レートの変動によって、円換算の受取額は増減する

 

ドル建てで受け取る場合と、円に自動換算して受け取る場合でも、受取金額にわずかな違いが出ます。

 

 


 

配当利回りでETFを選ぶ必要はある?

 

 

S&P500連動ETFの利回り差はごく僅かであり、長期的には投資成果に大きな影響はありません。


むしろ重要なのは以下の3点です。

 

  • 経費率を抑えること(長期ではリターンを押し上げる)
  • 再投資を続けることで複利を活かす
  • 自分の投資スタイルに合ったETFを選ぶ

 

配当はETF選びの一要素であり、VOO・IVV・SPYのいずれを選んでも本質的なリターン構造は同じです。

 


 

まとめ:3つのETFの配当はほぼ同じ、理解しておくと安心

 

 

VOO・IVV・SPYはいずれも年4回の配当を行い、利回りはおおむね1.4〜1.5%でほぼ横並びです。


長期的に見れば、どのETFを選んでもリターンの差はごくわずかです。

 

それでも、配当の仕組みや税制を理解しておくことで、再投資のタイミングや運用方針をより自信を持って判断できるようになります。

 

結論として、VOO・IVV・SPYはいずれも安心して長期保有できるETFであり、主な違いは管理コストだけです。

 

配当の仕組みを理解したうえで、実際にどのETFを選ぶかを検討する際は、コストや流動性なども総合的に比較しておくと安心です。


詳しくは、以下の記事でVOO・IVV・SPYを横断的に比較しています。


 S&P500に投資するならどのETF?VOO・IVV・SPY徹底比較ガイド

 

 

Tags: インデックス投資

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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。