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VT(全世界株ETF)の特徴と注意点|分散投資ガイド

By Staff | 2025-08-20

Category: インデックス投資

「1本で世界中に投資できるETF」として人気を集めているのが、バンガード社の提供するVT(Vanguard Total World Stock ETF)です。

 

米国株だけでなく先進国や新興国までカバーしており、手軽に国際分散投資を実現できる点が魅力です。

 

日本でもインデックス投資が浸透するなか、全世界株ETFへの注目は高まっています。

 

本記事では、VTの特徴やメリット、注意点を日本人投資家目線で整理し、活用方法を考えていきます。

 


 

VTとは?

 

VTは「Vanguard Total World Stock ETF」の略称で、バンガード社が運用するETFです。

 

投資対象は全世界の株式市場で、その数はおよそ9,000銘柄にものぼります。

 

米国株だけでなく欧州、日本、新興国市場まで含まれるため、まさに「世界経済丸ごと投資」を可能にします。

 

信託報酬は0.07%と低コストであり、世界分散型ETFとしては非常に優れたコスト水準です。

 

時価総額も数千億ドル規模と大きく、流動性も確保されています。

 

指数は「FTSE Global All Cap Index」に連動しており、大型株から小型株まで網羅するのが特徴です。

 


 

VTの特徴

 

VTの最大の特徴は、1本でグローバルな分散投資が完成する点にあります。

 

  • 米国株が約60%、欧州・日本などの先進国株が約30%、新興国株が約10%(目安)
  • 銘柄数は9,000を超え、個別株や地域の偏りを減らせる
  • 指数に連動して自動的にリバランスが行われるため、投資家が手動で比率調整する必要がない

 

特に初心者にとっては「VTを買うだけで世界に投資できる」というシンプルさが大きな魅力です。

 


 

VTのメリット

 

圧倒的な分散効果

 

米国、欧州、日本、中国、インドなど幅広い地域をカバーし、地域リスクを分散できます。米国一本に偏ることなく、世界全体の経済成長を取り込むことが可能です。

 

投資の手軽さ

 

投資信託や複数のETFを組み合わせなくても、VT1本でグローバルポートフォリオが完成します。特に初心者にとっては「迷わず持てる」点が大きなメリットです。

 

低コスト運用

 

全世界株をカバーしながら信託報酬0.07%と非常に低コスト。長期投資においてコストはリターンに直結するため、この水準は大きな魅力です。

 

長期投資との相性

 

世界経済の成長は長期的にプラスが期待されるため、積立投資やNISAでの長期保有に適しています。

 


 

VTの注意点

 

米国比率の高さ

 

「全世界」とはいえ、実際の構成比率では米国株が6割以上を占めています。結果的に米国株ETFに近い動きをする場面も多く、「米国依存型ポートフォリオ」になりやすい点は理解しておく必要があります。

 

新興国リスク

 

中国やインドなど新興国も含まれるため、政治不安や通貨下落といったリスク要因があります。新興国比率は1割前後ですが、ボラティリティには影響を与える可能性があります。

 

配当課税

 

VTは四半期ごとに配当を支払いますが、日本の投資家は米国で10%源泉徴収された後、日本でも課税されます。二重課税は外国税額控除で調整可能ですが、手続きが必要です。また、日本の証券会社ではDRIP(自動再投資制度)は利用できず、配当は現金で受け取る形になります。

 

為替リスク

 

ドル建て資産であるため、円高局面では評価額が下がる可能性があります。長期的には為替変動は相殺される面もありますが、短期的には大きな影響を受ける場合もあります。

 

パフォーマンスの伸び悩み

 

直近10年は米国株(VTIやVOO)が世界市場を大きくアウトパフォームしており、VTの成績は米国株ETFより劣後しました。「分散=リターンの低下」につながることもある点は押さえておきましょう。

 


 

VTと他のETFとの比較

 

VT vs VTI(米国株ETF)

 

VTIは米国市場全体に投資するETFです。過去10年のリターンはVTIがVTを上回っています。しかし米国偏重になるリスクを避けたい投資家にとって、VTは地域分散ができる点で魅力的です。

 

VT vs 国内投資信託(全世界株インデックス)

 

SBI・楽天・eMAXISなどが提供する全世界株インデックス投信は円建てで積立しやすく、NISAやiDeCoにも対応しています。一方でVTは米国ETFのためドル建てですが、海外資産を直接保有できるメリットがあります。

 


 

日本人投資家にとっての活用法

 

  • 長期積立:楽天証券やSBI証券で定期的に買い付けることでドルコスト平均法を実践可能
  • NISA口座:一般NISAでは購入可能。つみたてNISAは対象外だが、投信なら代替可能
  • これ一本で完結:VOOやVTIなどと併用せず、シンプルに世界分散を目指すポートフォリオ設計も可能

     


 

まとめ

 

  • VTは「全世界分散」を実現できる王道ETF
  • 米国・先進国・新興国まで幅広く投資でき、1本でポートフォリオが完成する
  • 初心者からベテランまで利用できるが、実際には米国比率が高い点に注意
  • リターンを最大化したいなら米国ETF、リスク分散を重視するならVTが選択肢になる
  • 日本人投資家はNISAや積立と組み合わせて長期資産形成に活用できる

     


 

FAQ

 

Q1. VTとVTIどちらが有利?


A. 過去の実績ではVTIが上回るが、地域分散を求めるならVT。

 

Q2. VTの配当利回りは?


A. 年利2%前後。四半期ごとに支払い。

 

Q3. 新興国比率はどのくらい?


A. 約10%前後。政治・通貨リスクを含む。

 

Q4. 円建てで同じような投資はできる?


A. eMAXIS Slim 全世界株式など国内投信を利用すれば円建てで同様の分散が可能。
拡張しますか?

 

Tags: インデックス投資
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。